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清水国明が起こした確認訴訟とは…… [芸能]

戦後史の激動。ここのところレビューや現在の出来事について書いていましたが、たまには過去の出来事も蒸し返します。

10年前の今ごろ(10月18日)になりますが、清水国明ら2名が、外来魚の再放流(キャッチ・アンド・リリース)禁止などを盛り込んだ滋賀県の「レジャー利用適正化条例」に対し、従う義務がないことの確認などを求める訴訟を大津地裁に起こしました。

同月、滋賀県議会では、外来魚が在来種を食べて生態系を乱しているとして、同条例を成立。清水国明側は、在来種の減少は生息環境の悪化などが原因としたうえで、在来種の減少を阻止するのなら、外来魚駆除事業で一緒に捕れた在来種を再放流するべきと主張。

釣り人ばかりを規制するのは法の下の平等や、思想、良心の自由を保障した憲法に違反していると主張しました。

正確には、「オオクチバス再放流禁止義務不存在確認等請求事件」といいます。漢字が17文字続いてますね。

この訴訟で注目すべきは、確認訴訟というめずらしい争いになっていることでしょう。

つまり、「オオクチバス再放流禁止義務」を決めた滋賀県がレジャー利用適正化条例違反で清水国明らを訴えるのではなく、決めた条例自体がおかしいですよね、という訴えを起こしたわけです。

通常トラブルがあると、普通はルールを破られたとする側が訴え、相手は訴えられたら応訴する形でたたかいます。

確認訴訟というのは、文句を言われた側に自信があるか、そのトラブルが公然とすること自体都合が悪いとき、自分に問題がなかったことを証明するために、あえて自分のほうから訴えを起こすことが多いです。

清水国明らは、「トラブル」が公然としたわけではありませんが、そのような条例が成立していることが「不都合」だと主張したわけです。

芸能界における確認訴訟といえば、松本零士氏が槇原敬之の歌について、「銀河鉄道999」のフレーズを盗作したなどと主張したところ、槇原敬之が盗作をしていないことを確認する訴訟を起こしたのが記憶に新しい。

松本零士氏はメディアを使って攻撃していましたから、槇原敬之は自分の名誉を守るために黙殺というわけには行かず、確認訴訟で決着をつけざるを得なかったのでしょう。判決は盗作かどうかについて直接答えを出しませんでしたが、松本零士氏に賠償責任を認めています。

清水国明に話は戻りますが、「オオクチバス再放流禁止義務不存在確認等請求事件」は第一審で棄却され、清水国明は原告から外れました。

その後、清水国明は5年生存率が50%という十二指腸がんを3年前に経験。現在は山梨に開園したアウトドアパークに東日本大震災の被災者を受け入れるボランティア活動を続けています。

もし、そのまま原告団に残って最高裁までたたかう、などということになっていたら、養生も現在の活動もできなかったかもしれません。

裁判というのは受験勉強のようなもので、実らないと空しいですよね。

やってみなければわからないといいながらも、しょせんは後ろ向きな営みですから、原告・被告、いずれであっても精神衛生上いいものではありません。

ですから私の意見は、少なくとも個人レベルで行政に対する確認訴訟というのはできれば避けたいところ。
議会に住民の声が届くようなシステムが実現するようになってもらいたいなと思います。

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コメント 4

1stdmain

裁判はされたら受けなきゃ負けですが、自分からは余程のことがないとしない方がいいですね。弁護士使って話し合うのはいいですけど。
by 1stdmain (2012-10-06 01:21) 

pandan

そんなことがあったのですね、
裁判って何にしても
お金や時間がかかるイメージがあります。
by pandan (2012-10-06 05:58) 

chima

裁判は嫌ですね~…。
そんなことにかかわらないで生きていきたいです。
by chima (2012-10-06 10:33) 

bamboo

清水国明さんもいろいろあったんですね。
by bamboo (2012-10-07 04:19) 

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