SSブログ

「対米追従」の戦後史を読む [政治]

戦後史の激動。このブログの政治の戦後史は、自由民主党結党以前からの保守政治を中心に、革新勢力にも注目してきました。

私は以前、わが国における「保守本流」というのは、親米、親官僚、タカ派、反共の要件が揃わなければならない、と書きました。

さらにいえば、それらがばらばらではなく、渾然となった思想でないと真の日本的保守とはいえないと思います。

日本の保守というのは、「自主」「対米追従」という、本来は相対立する両方の顔が矛盾せずに見えなければなりません。たとえ、どちらももっている政治家でも、ちょっとでもそのバランスが崩れると放逐されます。

今、その分野で話題になっている書籍があります。

「戦後史の正体」(創元社)という書籍です。著者の孫崎享氏は、「日刊ゲンダイ」(8月11日付)の記事、というよりペイドパブ(記事の体裁をした広告)だと思いますが、1ページを使って政治の戦後史について語っています。

一口にいうと、孫崎享氏は、同書で「対米追従」の視点から保守政治を見ています。日本の戦後政治は「自主」路線と 「対米追随」路線とのせめぎ合い、相克だったというのです。

孫崎享氏曰く、「『アメリカの意向』という観点から論じることは日本の言論界ではタブー」であるといいます。いわゆる「星タブー」です。
「戦後が始まって以来、多くの政治家や官僚が『自主』と『対米追随』の問で苦悩し続けてきたのです。もちろん日本のため、時には『自主』路線を貫こうとした政治家、官僚もいましたが、そうした人たちは一人の例外もなく、排斥されています。芦田均や鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、細川護願、鳩山由紀夫などがそうですね。竹下登や福田康夫もおそらく排斥されたグループに入るでしょう」
枚挙された政治家が、日米安保に反対だった、ということではありません。「自主」と「対米追従」の折り合いをつけられなかったときに放逐されたのです。

その意味では、タカ派的言動とアメリカに気を使った新自由主義を両立させた小泉純一郎という人が、長く安定的に政権運営を続けられたことも説明がつきます。

人気総理だったからという意見もあるかもしれませんが、要するにマスコミが叩かなかったからということでしょう。

では、そうした“対米追従の政治”を作った人は誰か。外交官出身の吉田茂総理です。
「『対米追随』路線のシンボルといえるのが吉田茂なのです。吉田に関してはその業績を高く評価した本が数多くありますが、占領中の『対米追随』路線が戦後70年以上も変わらずに、むしろ美化されて継続されることになってしまったことこそが、日本の最大の悲劇だと私は思いますね。いずれにしても、吉田の歴史的評価については今改めて検証しておく必要があるでしょう」(中略) 「アメリカの要求に立ち向かっていくこと、それはたしかに大変なことですよ。それでも、かつてはアメリカのいうことを聞いていれば、それで日本も安泰だったのですが、そんな時代はすでに20年も前に終わっています。今こそ、どんなに国難でも日本にとって譲れない立場や問題については堂々と主張し、アメリカの理解を得ていくことが必要でしょうね」

そのデンでいえば、TPPやオスプレイなどは「『対米追随』路線のシンボル」ということになります。

中には、オスプレイは言われているほど危険ではない、などという「科学的」根拠でオスプレイ反対を無知呼ばわりしている人もいます。

が、この世の中は万事、科学的に「真」だから許されるわけではなく、科学をいかなる価値で使うかが問われるべきことなのです。

「譲れない立場や問題については堂々と主張」……中国や韓国や北朝鮮やロシアに対しても通じることです。

左右、保革といった政治的立場の違いに関わらず、普遍的な戦後政治史のキーワード「追従」を同書で改めて考え直してみてはいかがでしょうか。

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

  • 作者: 孫崎 享
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2012/07/24
  • メディア: 単行本


nice!(89)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 89

コメント 3

hatumi30331

いろんな意見、考えを見て、聞いて・・・・・
自分の意見をまとめて行く。
そうしてこそ、初めて・・・・・
「私はこう思う!」って言える人になるからね!
いつも、良い情報をありがとうございます。^^
by hatumi30331 (2012-08-12 07:40) 

hnhk

>アメリカのいうことを聞いていれば、それで日本も安泰だったのですが、そんな時代はすでに20年も前に終わっています。
ソ連崩壊以降、米国が日本にアメを与える必要性はなくなったのですから、当然の結果というところでしょうか?
政治家や官僚の多くが、「追従」を通り越して「依存症」になっている気がしてなりません。
このような方にこそ『戦後史の正体』読んでもらいたいですね!
by hnhk (2012-08-12 11:14) 

shion

まったきに、ご同慶の至りに存じます。


さて現代史、
【初の朝鮮人朱貞明が母】となって、
【子供をつくる機能ゼロ】の【脳性麻庫の大正天皇】の
【子供でナイ昭和ヒロヒト天皇】が製造されました。

この製造メンバーは
吉田茂、吉田岳父牧野伸顕、
陸軍上層樺山資紀.愛輔親子、
愛輔を岳父とする「ヒロヒトと義兄弟」の白州次郎、
ザ.原爆原発トラスト戦争屋代表格のG.ウォーバーグの終身スパイ白州次郎。

▼私論ですが【愛国心とはスパイでナイ】こと。
▼「追従」とは【スパイである】こと。

▼外交の場で【腹を割った仲】等と【酒場談義をしている】ゆえ
▼【グルーへ丸10年間も内政密告!】(スパイ行為の認識ナシ)

マッカーサーが吉田へ【Dear My YOSHIDA】と書簡を寄越した等と
形式と外交辞令とを、全く理解し得なかった吉田茂。

記者をバカヤロー呼ばわりした吉田は
記者らへ【OSS-CIA報酬をバラまいていた】のでしょぅか?
by shion (2012-08-16 19:10) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます