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日中共同声明

日中共同声明 1972,9,29

時の保守政府は、サンフランシスコ「講和」条約締結以来、独立国でありながら、一方でアメリカの従属的なポジションともいえる軍事同盟を結んだ。

その路線の一環として、中国に対しても社会主義政権の中華人民共和国ではなく、国民党の台湾を支持し、52年4月には「日華条約」(日台条約)を結んだ。それが破綻すると、今度は「2つの中国」論を展開し、なかなか共和国を唯一中国政府とは認めなかった。

ところがこの年、ニクソンが訪中し、米中関係の改善に取り組み(2月)、田中角栄内閣も日中問題を懸案としていた事から交渉は公式・非公式に進められ、この日の「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」(日中共同声明=北京で署名)発表にこぎ着けた。戦後史上、大きな出来事である。

この共同声明は、日中両国の法的な戦争状態にピリオドをうつ積極性をもつ反面、いったん結んだ台湾との条約に対する処理は曖昧のそしりを免れなかった。「台湾問題」は、アメリカの対中国政策における干渉という面も絡む以上、その曖昧さは好ましいものとはいえない。

日中共同声明の内容は以下の内容が盛り込まれた。

1.日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。
2.日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
3.中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基く立場を堅持する。
4.日本国政府及び中華人民共和国政府は、1972年9月29日から外交関係を樹立することを決定した。両政府は、国際法及び国際慣行に従い、それぞれの首都における他方の大使館の設置及びその任務の遂行のために必要なすべての措置をとり、また、できるだけすみやかに大使を交換することを決定した。
5.中華人民共和国政府は、日中両国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。
6.日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。
7.日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。
8.日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。
9.日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の関係を一層発展させ、人的往来を拡大するため、必要に応じ、また、既存の民間取決めをも考慮しつつ、貿易、海運、航空、漁業などの事項に関する協定の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。

この声明で同意されたものをもとに、78年8月12日には、「日中平和友好条約」が締結された。
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タッチおじさん

改めて、
国の重要事項の経緯を知る事が出来嬉しく思います
by タッチおじさん (2010-10-16 09:12) 

銀狼

ご来訪・nice!頂き、ありがとうございます^^
by 銀狼 (2010-10-16 10:01) 

林じゅん

nice!とコメントをありがとうございます。
たくさんの人に見てもらえるように努力が必要ですね。
by 林じゅん (2010-10-16 10:32) 

ゆうのすけ

こんにちは!御訪問・nice! ありがとうございます!^^
by ゆうのすけ (2010-10-16 21:22) 

emily

田中角栄さんが、良いも悪いも、
今の日本のいしづえ
を築いたのは間違いない事で、
また歴史も繰り返されるかなぁ⁉

勉強になりました。

また訪問させてもらいます。
by emily (2010-10-18 23:32) 

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