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マッスル北村の「死因」を議論する「毒親」というキーワード [スポーツ]

マッスル北村の「死因」を議論する「毒親」というキーワード

マッスル北村(マッスルきたむら、本名北村克己、1960年10月6日~2000年8月3日)の命日ということで、その壮絶な人生を振り返る投稿がFacebookなどでありました。生前は、ボディビルダーとして活躍しただけでなく、タレントとしてテレビ出演なども積極的に行っていました。




ボディビルダーとして、過度な減量で39歳で命を落としたというマッスル北村。

彫刻家の父親が厳格な人で、マッスル北村も、「人は何の為に生まれてきたのか。僕はまだ何をすべきかはわからないけど、生まれてきたからには、自分が見つけた目標に限界まで挑みたい」とのストイックな信条の持ち主でした。

東京学芸大学教育学部附属高校から、猛勉強して東京大学理科II類に入学。

「スポーツ万能で比較的体格が良かったため、先輩に進められるがまま、ボディビルの関東学生選手権へ出場します。しかしそこで、鍛え上げられた他の選手と、ボディビル経験ゼロの自分のあまりの差に愕然とします。それがきっかけで、マッスルさんのとことん追求する性格に火がついたのです。」(http://www.imishin.me/musclekitamura/より)

筋力トレーニングのほか、卵20~30個、牛乳2~3リットル、鯖の缶詰3缶、プロテインの粉末300gの摂取で、筋肉はどんどん肥大化し、急速にボディビルダーの体になっていきます。




ボディビルは、筋肉を発達させながら皮下脂肪も減らすために、競技会の前には試合前のボクサーのように過酷な減量を行います。

マッスル北村は、その減量をかなり過激な方法で行ったといわれます。

ボディビルの世界選手権のために、20kgの急な減量を行った結果、異常な低血糖状態で急性心不全による絶命でした。

このマッスル北村の早逝について、Facebookのタイムラインに、「ある意味では、彼も毒親に殺されたのかもしれません」という投稿が流れてきました。

201808022102.png
http://www.imishin.me/musclekitamura/ より

というのは、生前のマッスル北村は、父親との衝突を本人も認めていました。

たとえば、父親は、東大時代に勉強せずにトレーニングに明け暮れるマッスル北村の頭をダンベルシャフトで殴りつけ、マッスル北村は網膜剥離を起こしたそうです。

それでも、マッスル北村はボディビルを諦めず、東京医科歯科大学医学部に入り直すもそれも中退。

その際も父親は、マッスル北村がボディビル大会で獲得したトロフィーや盾を全て窓から投げ捨てたそうです。

つまり、そんな親に認めてもらいたいという欲求が、マッスル北村を絶命するほどストイックにした、毒親が悪いのだ、というわけです。

ところが、それに対して、「マッスル北村は成人しており、早逝に陥ったのも本人の自己管理の問題だ。親には全く責任がない」と、毒親論を真っ向から否定する投稿が出たため、他の人も「論争」に参加し、116もコメントが続いていました。

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子どもの判断や行動の結果を、全面的に親に還元するのは、いささか粗雑かもしれません。

しかし、子は親を選べず、人格形成時は親の背中から学ばざるを得ないわけですから、「本人が成人してからの問題だ」と、子の人格や生き様から全面的に「親の影響」を切り離す見方も合理性を欠いています。

ましてや、「網膜剥離」「トロフィーや盾を全て窓から投げ捨て」そして、マッスル北村自身がメディアで父親との確執を告白している状態から見て、少なくともマッスル北村の心に、父親の存在は決して小さくなかったと考えるほうが順当です。

ムキになって、毒親が悪いという考え方を否定したがるのは、その人が親で苦労したことがないお幸せな境遇であるか、実はその人自身が毒親としての要件に当てはまっているのかもしれません。

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暴力を振るわなくても毒親である


以前このブログでは、杉田かおるが母親の介護に限界を感じて、施設にお願いしたことをご紹介したことがありました。

その際、「鬼畜の親ならともかく、そうでないなら親子は本当は分かち難い関係なのだから施設行きは寂しい話だ」と、親を施設に送ることに反対するコメントがありました。

しかし、そもそも「悪い親」というのは、「鬼畜」だの「暴力」だの「虐待」のあるなしが全てではないと私はおもいます。

一言で述べれば、「子離れできない親」はすべて毒親というのが私の見解です。

マッスル北村の父親も、要は子離れできていなかったのではないでしょうか。

自分が勝手に思い描いた子どもの生き様に無理にあてはめようとしたから、そうならない息子を感情に任せて網膜剥離にしたり、トロフィーを捨てたりしたのです。

マッスル北村の人生を追い込んだ責任がどのくらい父親にあるかはもう少し丁寧に見る必要がありますが、毒親とは何だろうということを考えさせる、マッスル北村父子のあり方ではあるとおもいました。

みなさんは、マッスル北村のストイックな早逝をどうおもわれましたか。

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うつ夫

網膜剥離って・・・
傷害罪にならなかったのかな。
by うつ夫 (2018-08-03 00:15) 

ナベちはる

ストイックすぎるのも、また恐ろしいことになりますね。
今回の記事のように、命に関係してくるようなことも…(汗)
by ナベちはる (2018-08-03 01:02) 

末尾ルコ(アルベール)

マッスル北村の「死因」を議論する「毒親」というキーワード・・・マッスル北村という人はまったく知りませんでした。民放バラエティ番組などを観ないからでしょうか。最近のお笑い芸人などもほとんど知りません。俳優系や音楽系は最近の人でも一定は知ってますが、邦楽ヒットチャートを見ると、(何、この人たち?)と今でも首を傾げる人が多いです。2000年に亡くなっているということは、わたしが最も民放地上波を観てなかった時期に当たるのかもしれません。
それはさて置き、マッスル北村の「ストイックな姿勢」というものには興味があります。「ストイック」の内容にもよりますが、わたしの憧憬する境地の一つです。
もっともボディビルという体の鍛え方はどう見ても健康に悪そうな感があります。書店でよくボディビル雑誌の表紙を目にするのですが、あの異常に可視的な筋肉や血管の付き方を美しいとする人たちが世界に少なからずいるというところからも、人間の美的感覚の個人差を感じますね。
マッスル北村の親に関しては、これはどう見ても「毒親」です。ダンベルシャフトで殴るとか、これなんかもう警察沙汰ですよね。トロフィーなどを投げ捨てる行為も幼児的です。この親が彫刻家なのですか。確かにこの親の影響を「全く責任がない」とするのは、親子関係に関しての認識が浅薄ですね。人間というもの、親の育て方や家庭環境の影響からはそうそう容易に抜け出すことはできません。

>実はその人自身が毒親としての要件に当てはまっているのかもしれません。

それはすごくありそうですね。内心では子どもに大きく依存していることに気がついているので、殊更過敏に反応してしまう。あるいは内心まったく気づいてなかった自分の本当の姿を突きつけれらながらも、それを正面から受け入れることができない・・・そんなところなのでしょうね。
わたしの場合、両親とも少々毒親的なところはありました。しかしそれはもう、今は自分なりに水に流しております。もちろん特に亡父の考え方や家族に対する方針はいまだ納得できないものはありますが、「いいところ」もあったという事実も忘れてはならないとも思っています。それとわたしはどういうわけか早い段階で、親の世界観から大きく逸脱する世界観を持ったことはとてもよかったと思っております。親が理解できない世界を多く持ったことで、精神的窮屈さはかなり薄らいだですね。

この前、「ニコリ(ニコライ)・ボルコフ死去」の報道がありました。イワン・コロフと並んで、ロシアギミックの2大巨頭というイメージがあります。イワン・プトスキーとかもいましたね。近年は国際情勢がらみのギミックはあまりないのかどうかは、WWEなどを細かくチェックしてはいないので知りませんが、そう言えば最近矢野通が「日大殺人タックル」をやったとかいうニュースは見かけました。こういう時事ネタは、ポリティカルコレクトネスにうるさい昨今ではやや難しいかもしれませんが、わたしは嫌いではないですね。やっていいこと・悪いことの線引きは難しいですが。

>実家が朝からしっかり食事をさせる

そうなのですか!家庭がしっかりしていると、当然ながら、子どもはしっかりと成長する可能性はとても高くなりますね。もちろん、しっかりしてない家庭を否定するわけではありませんし、「しっかりしている」という概念自体かなり込み入ってはおりますが(笑)。
わたしはAKB的なものにかなり強い拒否反応を持っていた時期がありまして、前田敦子が「卒業→女優転向」という話題の頃も、(冗談は吉野作造 笑)くらいに思っていたのですが、その後彼女の映画や女優というものに対する並々ならぬ真剣な愛情を知り、緩やかに応援するようになりました。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-08-03 01:50) 

犬眉母

「毒親」を否定するのは、
戦前復古調の「親は絶対」という
思想が働いているのかもしれません。
by 犬眉母 (2018-08-03 02:05) 

☆ミルキーウェイ☆

子供が自分の道を進もうとしてるのに、それを認めない親は子供を自分の所有物だと思ってるのかなって思います。
確かに、この方の父親は子離れ出来ていないんでしょうね。
by ☆ミルキーウェイ☆ (2018-08-03 02:40) 

斗夢

最近発覚した大学不正入学でもその原因は子離れのできない
親に問題ありと思います。
多くの動物は子供が生きようが死のうがある一定の子育て期間が
過ぎると突き放します。たまたま少し脳みそが多い人間は
本能ではなく脳みそにフ振り回されているんだと思います。
by 斗夢 (2018-08-03 05:32) 

pn

ダンベルシャフトで頭・・・普通に殺人未遂では(^_^;)
by pn (2018-08-03 06:14) 

kou

そんなことがあったんですね。
現在でははやはり犯罪に近いのではないかと思いますね。
by kou (2018-08-03 07:17) 

ヤマカゼ

死にいたるまでの減量とは凄いですね。
by ヤマカゼ (2018-08-03 07:30) 

エンジェル

かなり頭も良い方のようですし、お父様との確執がなければきっとボヒービルの世界で成功されていたんだと思います。
by エンジェル (2018-08-03 07:35) 

Rinko

親のあり方が子の心の成長に少なからず影響を与えと思います。
子は親の所有物ではないですよね。。。。

by Rinko (2018-08-03 07:51) 

チャー

マッスル北村さん 凄い筋肉!ストイックさはハンパないんでしょうね でも 笑顔がステキです
by チャー (2018-08-03 09:54) 

たじまーる

マッスル北村は知ってましたが
父親にボディビルを反対されて
あまりにも大変な思いをされていたことは
知りませんでした。
by たじまーる (2018-08-03 12:42) 

ヨッシーパパ

この方も、私の知らない方ですが、不幸な人生だったのですね。
by ヨッシーパパ (2018-08-03 19:13) 

よいこ

興味深く読ませてもらいました
まるで超人ハルクみたいな異形の筋肉になるまで、ストイックに闘い続けたのは、親に認められたい思いが背中を押したのもあると思う。才能ある方が、つらくもったいない死ですね
by よいこ (2018-08-03 21:35) 

えくりぷす

マッスル北村という名前は記憶にありませんが、東大出身の有名ボディビルダーで、交通の邪魔になる軽自動車を抱えて動かした話を雑誌で読んだ覚えがあります。
悲しい話です。程よい加減に生きていくのが良いようです。
by えくりぷす (2018-08-04 10:15) 

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