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『積木くずし』最終回視聴率45.3%のお化けドラマが19日から放送 [懐かし映画・ドラマ]

『積木くずしー親と子の200日戦争ー』(1983年)というドラマが、8月19日からTBSチャンネル2で放送されます(HDリマスター版)。当時、最終回の視聴率が、45.3%という数字を叩き出したお化け番組です。続編も出て毀誉褒貶ありましたが、親子や家庭の危うさは決して他人ごとではないでしょう。

積木くずし
TBSチャンネル2より

原作は、もちろん穂積隆信の『積木くずしー親と子の200日戦争ー』(桐原書店)。不良少女となった娘・穂積由香里との200日間の葛藤を描いた作品として話題になりました。

その後も、穂積隆信が離婚したり、娘が逮捕されたりなどハッピーエンドにならず、続編も上梓。

『積木くずし あとさき悩める親からのアドバイス』(毎日新聞社)『積木 その後の娘と私たち』(東京出版)『積木くずし(続)』(角川出版)『積木くずし崩壊 そして…』(近代映画社)『積木くずし終章』(アートン)『積木くずし 最終章』(駒草出版)……。

Wikiによると、『積木くずし』関連の書籍は10冊もあったんですね。

ひとつの家庭の出来事で、ここまで多くの書籍が出たことはないと思います。

それだけ世間の注目を集めたのでしょう。


過去に、「積木くずし 最終章、真相はどこに?」で書きましたが、『積木くずし 最終章』がドラマ化された時、過去の『積木くずし』について書いた記事のアクセスが急上昇。このブログがSo-netブログのアクセスランキングで1位になったことがあります。

まあそれは1日天下だったのですが、当時のこのブログの順位は3桁でしたから、いかに『積木くずし』に対する注目度が高かったか、ということがいえるのではないでしょうか。

ただ、その記事にも書いたように、「注目」の中身がちょっと気になりました。

『積木くずし 最終章』のレビューや、ドラマ化のニュース記事のコメントを見ると、穂積隆信に対して厳しいコメントばかりが目についたからです。

穂積隆信の前妻は、もともとウラに男がいたタチの悪い女で、娘・由香里もその男が産ませ(つまり由香里は穂積隆信の子ではなく)、男によって前妻はあらゆる財産を持ち逃げしたばかりか多額の借金をこさえた、という話が『積木くずし 最終章』には書かれています。

当時のコメントは、そんなの嘘っぱちだろう、という主旨のものがいくつもありました。

私には、いまだに頭から否定する理由が理解できません。

同書は、穂積隆信が、自身の愛人の話まで告白しているので、たしかに穂積隆信の生き様を絶賛したり、人格を高く評価したりするようなものではありません。

しかし、一人のお人好しでおっちょこちょいな男の生き方として、「ああ、そういうこともあったんだ」と別段抵抗なく私には読めました。

少なくとも、実際に無一文になった穂積隆信がそう書いているのだから、第三者が憎悪の気持ちを抱き、ムキになって否定する方が不自然で感情的に見えます。

そもそも、第三者が、実の娘かどうかという話について、否定する根拠もないでしょう?

なんでそんな他人のことに一生懸命になれるのでしょうか。

考えられることは、

ひとつは、

死者に鞭打つことは悪である

という日本的な価値観と

娘がグレるのは100%親(穂積隆信)の責任である

という美学が多くの人にあるのではないかということです。

前者については、必ずしも否定はしません。

死人に口なしですから、亡くなった人のことを悪く言おうと思えばいくらでもいえます。それをどう見るか。批判的に見ることは必ずしも悪いことではありません。

ただし、後者について、私は懐疑的です。

佐世保の事件についての記事でも書きましたが、子ども自身が持つ異常もあり得るからです。

もちろん、親として関わり方や振る舞いに反省すべき点がなかったわけではないでしょう。

ただ、医学的にもいろいろなことが解明されてきた現在、子の不始末の責任を全面的に親に還元する発想は正しいのかな、と疑問に思います。

いずれにしても、細かい事情の信ぴょう性は、第三者が議論しても真相にたどり着ける話ではありません。

それより、悪役バイプレーヤーとして売れていた俳優の家庭で、子どもがグレた。さて自分だったらどうするだろう。

親子や家庭といっても、いつ壊れてしまうかわからないこんなにも危ういものなのか、という本来のテーマに忠実に感情移入した方が、作品の意味や意義を感じることができると思います。

積木くずし 最終章

積木くずし 最終章

  • 作者: 穂積 隆信
  • 出版社/メーカー: 駒草出版
  • 発売日: 2012/03/24
  • メディア: 単行本


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