小泉純一郎元総理が、予備校に在籍する高校生の間で「理想のリーダー」になった、とネットで話題になっています。出典は「日刊ゲンダイ」（12月19日付）の「小泉純一郎を崇める日本人の未熟」というタイトルの記事です。それによると、「東進ハイスクール」という予備校が、高1～高3の生徒3535人にアンケート調査した結果、1位のスティーブ・ジョブズ（250栗）に続いて、2位に小泉純一郎氏（226票）がランクイン。3位以下は坂本龍馬（180票）、バラク・オハマ（102票）、エーブラハム・リンカーン（96栗）と続いています。
このアンケート結果。反新自由主義の「日刊ゲンダイ」ですから、当然批判的に報じています。記事に掲載されている小泉純一郎氏の写真の上には、「ペテン師」という白抜きの見出しつきです（笑）
小泉は01年に、「自民党をぶっ壊す」と言って総理になり、新自由主義や市場原理主義、規制緩和を国民に押し付けた人物。現在のようにワーキングプアが増えたのは国民が小泉のプロパガンダに乗せられたからだ。
なのになぜ、10代の若者が小泉を評価するのか。
「彼らの親が批判精神を欠いているからです」と指摘するのは社会学者で作家の岳真也氏だ。
「郵政解散選挙で小泉政権が大勝したのが7年前。いま17歳の高校生はまだ10歳でした。当時、彼らの親は物事を深く考えもせず小泉をホメたたえ、熱狂朗に支持した。その子供たちは、親の言いなりで小泉を信奉するようになった。〝無批判″という負の遺産を受け継いでしまい、小泉の欺瞞に気づかないのです。実際、最近の大学生は批判精神が希薄になっています」
小泉純一郎氏の名前が出たのは、中身がどうであろうが、コロコロと総理大臣が変わる昨今、比較的高い支持率で安定した政権運営を行ったことがあると思います。
それに、新自由主義大いに結構、という立場から見れば、批判精神も何も、小泉純一郎元総理は正しいことをしたじゃないか、と思うでしょう。思想信条の問題ですから、そういう意見があっても別にかまわないと思います。
ただ、私が小泉純一郎氏を「理想のリーダー」として名前を挙げられるかというと、正直なところ、おそらくそれはないだろうと思います。
小泉純一郎氏は、論敵を「守旧派」とレッテルを貼って自分の勇ましさを演出したり、自分の意に沿わない同志に対して、他党に移ったわけでもない（つまり利敵行為はしていない）候補者に対してすら刺客を送りつけた上に、国民の信託を得て当選してもさらに離党勧告まで行う執念深さを見せました。
こういうやり方を支持してしまうというのは、自己実現のためには他人を傷つけてもかまうもんか、という現代人の冷徹で、ときには陰険な風潮をあらわしているような気がします。
とことん相手の逃げ道をふさぐやり方は、もしかしたら自分の方が間違っているかもしれない、という自省や留保が抜け落ちてしまうと思います。
私は、人間は間違いうる、という考えを持っているので、そのようなオール・オア・ナッシングの手法は受け入れがたいのです。
YKKなる反田中派の派閥横断同盟を組んだり、自由民主党をぶっ壊すと啖呵をきったりした小泉純一郎氏は、さぞや自由民主党で不条理な立場にあった異端者だろうと思われがちですが、私はそんなことはないと思います。
所属していた派閥の清和研究会というのは保守本流ですし、小泉純一郎氏自身が「対米従属のタカ派」という、わが国特有の類型的保守思想の持ち主だからです。
「自由民主党をぶっ壊す」といったのは、田中角栄の流れを汲む竹下派が大きくなってしまったのと、年功序列の仕組みなどで冷遇（小泉純一郎氏は総裁選で2度苦杯をなめています）されていた構造を壊したいという、要するにたんなる党内事情や怨念を語ったに過ぎないのです。
小泉純一郎氏がそれほど強気で言いたい放題、やりたい放題で、少なくとも任期後半には「格差」の発生に批判も出ていたのに、それでも高い支持率を維持して長期間安定した政権運営ができたのは、小泉純一郎氏のギミックをそのまんま拡大再生産して国民に信じ込ませたマスコミのおかげです。
もちろん、そのマスコミ報道を鵜呑みにする迂闊さは教訓として国民は考えるべきかもしれませんが、批判精神がないというのなら、第一義的にはマスコミに責任があると私は思います。
それにしても、こういう調査では、だいたい出てくる面々が決まっているのです。星野仙一氏とかね。本人のことも知らないで、マスコミ報道を通した印象だけで……。
どれだけその人の実態を知ってるのか、と突っ込みたくなります。
でも、誰かといわれれば誰かを答えなければならない。
こうしてみると、この手のアンケートって、なんかむなしいですね。
2012-12-20 04:10
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毎日マスコミで同じような報道があると、
鵜呑みにしてしまいがちですよね。
by pandan (2012-12-20 05:42)
ご訪問＆niceありがとうございました。
by ken (2012-12-20 10:39)
仰るとおりです。それを上手く利用したのが前政権でしょう。
そろそろ気付いても良いんじゃないかな？テレビしか見ない
有権者の方々も。まあ勤め先云々もございましょうが・・・、
ではまた、ありがとうございました。
by PopLife (2012-12-20 11:15)
こんにちは＾＾
良いところ、悪いところ、どこで線引きするかですね。
進次郎さんの与党での仕事に興味があります。あの歯切れある話し方が途切れることなくイケるのかｗ
by 川島 (2012-12-20 12:44)
分母というか前提条件がわからないアンケートなどが
氾濫していて鵜呑みにできない情報だらけに感じます。
TV雑誌のこうした情報を見て、思考の省略化をしてしまい
安易に信じてしまう人間の性質みたい?のをマスコミは
わかっててやっているんでしょうね。怖い怖い＾＾；
私はネットやTV・雑誌・新聞などは話半分、
そんな考え方もあるんだなぁ程度に捉えるようにしています。
ま、関心の薄いものは鵜呑みにしちゃってますが（笑
by 昆野誠吾 (2012-12-20 13:24)
最近のマスコミ離れが加速しているのは、案外こんな事が繰り返されるからでしょうか？？（＾＾；）ゞ
by さうざんバー (2012-12-20 15:13)
後継の安倍氏は1年ほどで首相の座を退いて、再登板の機会を得ましたが。
今度はパパ小泉並みの長期政権を築けるでしょうか。
パパ小泉は「長いこと首相の座に居座って、やりたい放題やった人(にすぎない)」というのが自分の評価です。
毎年のように首相が変わることを望ましいとは到底思えませんが、辞めた(辞めさせられた)方たちにも各自理由があるでしょうから、無責任にきつい言い方はできませんが。
パパ小泉は、一部の経済界人や彼のお友達の意に沿う政治をやり、彼らを大いに潤しましたよね。
安倍氏もまた、彼のお友達たちを潤すための政治をやるのでしょうか。
by tooshiba (2012-12-20 15:31)
軽薄さを人間に表すとこういう人物になるのではないかというのが小泉純一郎でしたね。建前と異なる息子への世襲を行った父親も父親ですが、当たり前のように地盤を受け継いだ息子の進次郎。原理原則を語る以前の問題が、進次郎自身にあるんじゃないの？ と思いますが、それをまた持ち上げるマスコミ。私から言わせれば、政治の世界であってはならないことだと思いますがね。
by うーさん (2012-12-20 16:57)
確かに、北朝鮮に乗り込んでいったことは評価します。
いままで誰ひとりやれなかった事ですから
でも評価は、それだけです。
by ふぢたしょうこ (2012-12-20 17:37)
良く小泉さんの事をマスコミが語る時にカリスマってつけますけど、今回の選挙では息子の進次郎氏にそうやってつけてましたよね。
息子の進次郎氏が、これからどんなふうに自民党内部を壊して新しい風を吹かせるのかわかりませんが、お父様の小泉さんに関してはかなり好き勝手をした独裁者って感じがします。
by ゆりあ (2012-12-20 17:38)
アイデアマンではあるかもね。
だってサプライズ好きだったもんね。
by utamaroco (2012-12-20 18:19)
最近の高校生が知っている
一番人気のあった総理大臣だったんだから
名前が挙がってないと困りますよね
by chima (2012-12-20 18:43)
いっぷく さん、こんばんは。
小泉の功罪はいろいろありますけど
国会答弁を見ていて情けなく思ったことは
何度もありますね。
by uryyyyyy (2012-12-20 21:32)
そうですね、小泉政権から日本がおかしくなってきましたね。
医者不足、派遣問題、あと、どさくさに数の勢いで、いろんなことを勝手に決めてしまった。
心配事が一つ、、、。
麻生さんが副総理。。。やめてよ。。。マンガ殿堂造ると言い出すんでは……（笑）
by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2012-12-20 21:56)
小泉氏は、唯一「公約を守った政治家」だと思いますよ＾＾；）
by 風来鶏 (2012-12-21 00:41)
偉そうな小泉批判、評論家のようなコメントばかりでうんざり。
何が出来るか対案もないくせに偉そうなことを言う事こそ、軽薄で無責任だということが分かってらっしゃらないようだ。
日本が良くならない原因はそこにあるような気がする。
by ICE (2013-02-28 23:07)