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韓国大統領と反日思想の戦後史 [政治]

戦後史の激動。今日は日韓問題、政治利用の戦後史です。

オリンピックの選手や李明博大統領の言動が問題になっています。戦後史上、少なくとも日韓条約締結以来、これほど露骨な反日的な言動はありませんでした。

もちろん、冷静に判断することは大切ですが、「遺憾」などというどうとでもとれる言葉で受け流すような為政者のコメントに、多くの国民が物足りなさを感じるのは当然のことと思います。

いったいどのような目的で、公人中の公人たる大統領が、あえて国家間の軋轢を生むような言動に走ったのか。そこはきちんと見ておく必要があります。

李明博・第17代韓国大統領は、格差拡大を招いた為政者としての責任が国内で問われています。

国会議員の実兄秘書が逮捕され、夫人のいとこも逮捕済み。李明博大統領自身も土地不正購入の疑惑事件の渦中にあるといわれています。

今は、そんな風当たりをそらすために、反日感情を盛り上げ、その「期待」に李明博大統領が応えているかのような光景に見えます。

こういう光景は、昔も見たことがあります。

少なくとも私が実感したのは、全斗煥大統領の時代に起こった出来事です。

1979年9月9日、埼玉県上福岡市(現・ふじみ野市)のマンションで、市立上福岡第3中学校1年生の少年が「いじめ」を苦に自×殺(グーグル規制から×を挟んでいます)しました。

この少年は在日朝鮮人3世でした。

そこで、「いじめ」は教育問題でありながら、これを民族問題として取り上げた在日朝鮮人2世の有名なルポライターがあらわれました。

少年に対して、民族差別的悪罵はあったでしょうが、それは少年をいじめる口実、つまり「でぶ」とか「きたない」といった、通常いじめに使われるいわれのない悪罵のひとつとして使われたのだろうと思われます。

つまり、「いじめ」という行為の中に「差別」の因子が含まれていたということであり、「差別」の部分だけを取り出して固有の問題としてみてしまうことが、果たして「いじめ」の問題解決になるのか、私は疑問に思いました。

そこで、当時、若さゆえの単純で直情的な正義感から、私はそのルポライターに、教育問題を民族問題に“矮小化”していいのか、とクレームの手紙を送り付けました。

それに対するルポライターの答えは、教育問題ということはわかっているが、その中に民族的な差別はなかったのかという疑問をもって取材をしたのだ、ということでした。

“だから、それはあったかもしれないが、だからといってそれだけを取り出すのは……”などと再反論しても平行線だと思って、その一往復でやりとりは終わりました。

もちろん、ルポライターが独自の視点を持った取材活動から本を書くことは何の問題もありません。それはそれでひとつの見識だと思います。

しかし、そのルポライターの意図や自覚がどうあれ、実際にその自殺が民族問題として政治利用されたのも事実なのです。

韓国では、自×殺した少年を「アリタ」という名前の主人公にして、差別による自×殺と断定してドラマ化。

それだけでなく、ご丁寧に葬式まで開催し、少年とは面識がないはずの韓国人少女に弔辞を読ませる光景をテレビ中継。日本人の差別を憎む演出が派手に行われました。

日本でも、当時夜のワイドショーとして人気番組だった「11PM」(日本テレビ)が、5回シリーズ「アジアと共に生きる・韓国朝鮮と日本」の最終回の中で、このドラマをダイジェストで放送しています。

当時、日韓政府間には借款問題があり、韓国政府が国民の反日感情を盛り上げる必要があったのです。

つまり少年は、悪い言葉で言えば政治的に利用されたといわざるを得ませんでした。

全斗煥大統領は、朝鮮半島が日本の植民地となったことについて、大韓帝国にも責任があったと認める一方で、反日感情を「克日」なるスローガンで上手に救い上げ、「日米韓軍事一体化」と「反日」を両立させました。

本来なら、「いじめ」問題というのは、日本人対在日という「対決」ではなく、社会と教育のひずみとして、両者が「共通の敵に対する共同の戦い」として手を携えて取り組むべきなのに、ことさら「民族問題」が強調されることで、「いじめ」問題の焦点がボケてしまっただけでなく、日韓両国民の、さらには国内における日本人と在日の人々の友好や連帯という点でも微妙な影響を与えてしまったと私は今も残念に思っています。

ですから、今回も大統領保身のために国民の反日感情をあおるようなやり方をきちんと批判的に見抜くことが求められるのではないかと思います。

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TOQ

日韓問題は謝罪の歴史です。不用意な政治家の発言が
謝罪の的となってきました。しかし、民主党の政権に
なってからまだ火を煽るような発言はないと記憶して
います。国家主導の政治ショウへの審判は後世の歴史
が下すことになるでしょう。
by TOQ (2012-08-18 06:44) 

citron

こんばんは。
ご訪問ありがとうございました。
by citron (2012-08-18 19:35) 

uryyyyyy

いっぷく さん、こんばんは。

反日政策で嘘の歴史を教えられるのは
哀れみでしかありませんけど
それにより日本も甚大な被害を被っているのですから
どこかで断ち切らないといけませんね。

by uryyyyyy (2012-08-18 22:11) 

枝動

今この時を契機に、きっちり方をつけてもらいたいです。
河野談話は、頭を下げて間違いだったと破棄して、改めて正しい歴史認識を発表すべきと考えます。領土問題は、一日も早く単独提訴して、その理由資料を公開すべきです。日本も朝鮮も、歴史(経緯)を教えないから知らない者が多いと思います。
戦争を生き抜いた人達は、もうご高齢です。この人達の証言をちゃんと残さない限り、もう真実を伝える者は居ません。「戦争を知らない子供たち」が、何を言っても信憑性に欠けます。
陛下を侮辱したこと、いつまでも誤った認識でたかること、嘘で領土を侵略すること、これらは決して許してはなりません。あらゆる出来る手段を持って、償ってもらわなければなりません。
by 枝動 (2012-08-18 22:11) 

U3

勉強させて頂きました。
ありがとうございます。
by U3 (2012-08-19 00:39) 

TAMO2

小生が呆れて左翼運動から離れた理由の一つが、差別問題にあるんですよね。

被差別部落問題、朝鮮問題について、針小棒大に、他の要素を捨象して取り上げるくせに、「名付けられない差別」への無頓着。要するに、左翼(主としてマルクス主義者)ほど、本当はとんでもない差別意識にまみれたイデオロギーはないと思っています。

書かれたことはそういうことかと。この問題では、差別意識が先にあったのではなく、いじめが先にあり、その利用手段として差別言説があったのだと思います。
by TAMO2 (2012-08-19 10:53) 

いっぷく

TOQさん、コメントありがとうございます。
いずれにしても、殺気立ってギスギスした
関係というのはいやなものですね。
by いっぷく (2012-08-19 16:14) 

いっぷく

citronさん、コメントありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
by いっぷく (2012-08-19 16:14) 

いっぷく

uryyyyyyさん、コメントありがとうございます。
歴代内閣は、トラブルは御免だという感じで
及び腰のような気がしますね。
総理が代わっても、また同じようなトラブルが
今後もおこるのかもしれませんね。
by いっぷく (2012-08-19 16:15) 

いっぷく

枝動さん、コメントありがとうございます。
報道では、韓国マスコミも大統領発言には批判的だそうですね。
李明博大統領には、相当な焦りがあったのかもしれません。
それにしても韓国歴代大統領の末路はみな悲惨ですが
李明博大統領も例外ではなさそうですね。
by いっぷく (2012-08-19 16:15) 

いっぷく

U3さん、コメントありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いします。
by いっぷく (2012-08-19 16:15) 

いっぷく

TAMO2さん、コメントありがとうございます。
まあ、マルクス主義といっても、マルクス本人に
そう認めてもらったわけではない「自称」ばかりですから。
自分がすぐれているという独善的な言い分を
いくら並べるよりも、「左翼」にはとにかく
結果を出してほしいと思います。
by いっぷく (2012-08-19 16:21) 

hnhk

私も90年代の初めに、記事中の著作を読んだことがありますが、
うかつにも、このような政治利用は知りませんでした。
また一つ目からウロコが落ちました。ありがとうございました。

by hnhk (2012-08-20 21:15) 

じーもん

はじめまして。
先日は私の稚拙なブログにコメントいただきありがとうございます。

「いじめ」と「反日感情」という、日本が内的・外的にかかえる根深い問題がこのような形でからみ合うことを知らされ、目からウロコでした。

これからもよろしくお願いします!
by じーもん (2012-08-20 23:48) 

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