清水アキラが、ものまねタレント引退宣言をしたと報じられた。
最近息子の清水良太郎がマスコミに取りざたされる機会が増えてきたが、東京・中野サンプラザでの親子公演開演前の会見で、「来年いっぱいで、ものまねからは離れようかな。ちょっと休もうと思っています。それと、自分がふたをしてると息子が育たない。ものまねの審査員とかはしたいけど」と話したという。
清水アキラといえば、コロッケ、栗田貫一、ビジーフォー(グッチ裕三、モト冬樹)らとものまねタレント四天王としてブレイクしたが、声や歌を似せるのではなく、デフォルメした動作や顔のつくり方を売りとするまね方で、4組の中ではもっとも評価の分かれる「王」だった。
栗田貫一やビジーフォーは、声や歌を似せることに職人的なこだわりを見せていたし、当初は形態模写からスタートしたコロッケも、この頃は声や歌も似せることに芸域を広げていた。
番組が声や歌を似せるタイプだけをそろえると構成として単調になってしまうことから、清水アキラのような「際物ものまね」をひとりは上位の常連にしようと番組としてプッシュしたのだろう。
昭和の時代にやっていた寄席形式の演芸番組なら、厳しい芸だったのではないか。ラジオではなくテレビだからこそ成功した芸である。
とにかく四天王の一人にくくられたことで、清水アキラの芸能界での立ち位置がグンとよくなった。
だが、笑いを取るモノマネは、声や歌を似せるモノマネ以上に消耗がはやい。次々新しいことを考えなければ飽きられてしまうし、エスカレートしすぎると「マネ」ではなくなってしまうしで、ジレンマもあったのではないか。
そんな清水アキラにも「夏の歌の戦後史」にくくれる歌があった。
ザ・ハンダース時代の「想い出の渚」(CBSソニー)だ。
清水アキラも一員だったザ・バンダースのデビューシングルである。どこかで聞いたことあるタイトルと思うのは当然で、ザ・ワイルドワンズの持ち歌を、アゴイサムのナレーション(進行)によってメンバーがいろいろなタレントの物まねで歌っていくという構成である。
だから、歌のタイトルだけでなく、「作詞」「作曲」もオリジナルと同じである。ただ、その横に一応「ナレーション/アゴイサム、ソロ/清水アキラ」と書かれている。
そんなパロディーのリリースでも当時、30万枚を売ったというのだから良い時代だった。
グループは、せんだみつおが司会をしていたTBS放映の夕方帯番組『ぎんざNOW!』の名物コーナーだった「素人コメディアン道場」で、勝ち抜いた人物が集まったコメディ集団である。
「バンダース」は「半ダース」からとった6人組だったが、ジャケットは5人。すでにこの時点でリーダーの小林まさひろが離脱していた。
メンバーだった鈴木末吉が最近のインタビューで、会ったこともなかった同士がグループを組まされて同じアパートに寝起きさせられ、喧嘩が絶えなかったと述べている。
だから長続きしなかったのか、清水アキラやアパッチけん(現中本賢)、鈴木末吉と次々抜けてしまった。
残った桜金造とアゴイサムがしばらくの間、アゴ&キンゾーとして活動していたが、これも解散。やがて全員がピンで仕事をするようになった。
その後はザ・ワイルドワンズのように07年に再結成して、『バンダースの想い出の渚2007』を披露したが、それっきり目立った活動はない。アゴイサムのように、芸能界から足を洗って一般人になった者もいる。
2012-07-16 05:00
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こんにちは
アゴイサムがハンダーズの中では一番面白かったし、あの中ではインパクトあった記憶がありますが
消えさるのも小林君と同様に早かったような。
by 本物ホネツギマン (2012-08-15 14:28)