大胡田誠弁護士の「女性差別なんて生っちょろい」発言を考える [障害者]
大胡田(おおごだ)誠弁護士。
このブログでご紹介したことがありますが、覚えておられますか。
大胡田誠弁護士は全盲の弁護士。
以前、「3つの決断」でこんにちの生活を切り開いた話をご紹介しました。
支援学校(盲学校)出身でも弁護士資格を取得した
支援学校(盲学校)の女生徒と結婚した
視覚障害者夫妻で子どもを産み育てている
以前ご紹介した記事のOGPです。
この大胡田誠弁護士の発言が、テレビ番組で炎上しました。
22日のNHK・Eテレの福祉情報番組『ハートネットTV』で、大胡田誠弁護士がこう語ったことが問題視されました。
「『女性差別』と世間が騒いでくれてうらやましいなと思います。障害者差別はもっとエゲつないことがたくさんあるのに、全然騒いでくれない」
「視覚障害のある女の子が交通事故に遭ってしまったのですが、『健常者と同じ仕事ができないから損害賠償の額は7割』という判決が出ちゃったりしているんです」
「女性差別なんて生っちょろいぞ、なんて思うんだけど、世間は(障害者差別については)あんまり騒いでくれないんですよね」
この発言を番組サイドが切り取り、公式ツイッターで「女性差別問題を『生っちょろい』とぶった切る!?」と宣伝。
それに対して、ネットでは批判が殺到。
「女性差別問題を『生っちょろい』とはトンデモない」
「これがハートネットTVから出てきてしまうことが、かなりショック」
「編集の段階でストップかからなかったのか」
そこで、ツイート自体も、もとの発言をした大胡田誠弁護士にも批判の嵐、という展開で、ツイートは削除されたというものです。
みなさんは、いかが思われますか。
まずこのツイートは、大胡田誠弁護士の発言の真意とは別に、女性差別自体を「大したことない」と軽視しているかのように受け取れますから、ツイートについては全面的に番組に責任があると思います。
たぶん、挑発的なツイートにすれば、多くの人の注目を集めると思ったんでしょうね。
次に、大胡田誠弁護士の発言ですが、差別の比較自体は、客観的には意味がないと思います。
交通事故で亡くなったか、がんで亡くなったか、ではどっちが不幸か、という議論をするようなものです。
今、こういうご時世ですし、まあ「物議を醸す」ことは十分に考えられますね。
では、大胡田誠弁護士が、主観として、障害者差別を女性差別より重いと考えることは意味がないか、間違いかと言うと、そんなことはありません。
障害者当事者だからこそ、わかること、言えることがあると思いますす。
伊達や酔狂で、「女性差別などなまっちょろい」と言っているわけではなく、女性差別は「差別」で、障害者差別は「区別」という社会的な風潮はおかしいというのが真意であることは、上掲ogpのご本人のFacebookの投稿でも明らかですから、ではそれはどんなものかを聞き出す、つまり障害者差別を掘り下げて理解を広めるチャンスだったのです。
私は全盲の障害の経験はありませんが、思うに、女性差別は、いうなれば男性の風下に立つ不条理。
が、障害者差別は、やまゆり園事件のように、生命そのものの尊厳が否定されているのです。
それなのに、「女性差別と比べるなんてけしからん」と、大胡田誠弁護士を居丈高に糾弾したら、そこで議論は終わっちゃうんですよね。
そして、誰も女性差別問題を、怖がって真面目に触れなくなってしまう。
残念ですよね。ホント残念。
だったら、女性差別こそ最悪と考えるあなたは、障害者差別の何を知っているんだ、と私は逆に問いたい。
詰問したいですよ
「生っちょろい」という表現を徹底攻撃して、障害者差別の何がどう問題かという本質にアプローチできなくなったことが、この問題を不毛にしていると思います。
それにしても、森発言以来、「反女性蔑視」の潮流は、残念ですが問題解決の方向には向かってないですね。
電車の乗り降りでぶつかった諍いを「女性差別だ」と騒ぐ日本共産党の前国会議員も話題になっていますが、いずれにしても「糾弾」「断罪」でねじ伏せるやり方では、結局問題解決を遠ざけるだけだと私は思います。
どうしてきちんと議論を広げられないのでしょうか。
全盲の僕が弁護士になった理由 - 大胡田誠
決断。全盲のふたりが、家族をつくるとき (単行本) [ 大胡田 誠 ] - 楽天ブックス
このブログでご紹介したことがありますが、覚えておられますか。
大胡田誠弁護士は全盲の弁護士。
以前、「3つの決断」でこんにちの生活を切り開いた話をご紹介しました。
支援学校(盲学校)出身でも弁護士資格を取得した
支援学校(盲学校)の女生徒と結婚した
視覚障害者夫妻で子どもを産み育てている
以前ご紹介した記事のOGPです。
『全盲の夫婦がみつけた、家族のかたち』懸念を覆した3つの決断。#大胡田誠 弁護士は「決断とは、自らつかみ取ること。勇気を持って人生を切り開くこと」と語っています。 https://t.co/mIhTab4qRx pic.twitter.com/lQjQVWgxcw
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) March 31, 2021
この大胡田誠弁護士の発言が、テレビ番組で炎上しました。
ハートネットTV「女性差別なんて生っちょろい」問題
22日のNHK・Eテレの福祉情報番組『ハートネットTV』で、大胡田誠弁護士がこう語ったことが問題視されました。
NHKの福祉情報番組が〝女性差別〟に関する不適切表現を謝罪 ツイートも撤回 https://t.co/In6FTmpwBy
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) March 31, 2021
「『女性差別』と世間が騒いでくれてうらやましいなと思います。障害者差別はもっとエゲつないことがたくさんあるのに、全然騒いでくれない」
「視覚障害のある女の子が交通事故に遭ってしまったのですが、『健常者と同じ仕事ができないから損害賠償の額は7割』という判決が出ちゃったりしているんです」
「女性差別なんて生っちょろいぞ、なんて思うんだけど、世間は(障害者差別については)あんまり騒いでくれないんですよね」
この発言を番組サイドが切り取り、公式ツイッターで「女性差別問題を『生っちょろい』とぶった切る!?」と宣伝。
それに対して、ネットでは批判が殺到。
「女性差別問題を『生っちょろい』とはトンデモない」
「これがハートネットTVから出てきてしまうことが、かなりショック」
「編集の段階でストップかからなかったのか」
そこで、ツイート自体も、もとの発言をした大胡田誠弁護士にも批判の嵐、という展開で、ツイートは削除されたというものです。
みなさんは、いかが思われますか。
発言をどう見るか
まずこのツイートは、大胡田誠弁護士の発言の真意とは別に、女性差別自体を「大したことない」と軽視しているかのように受け取れますから、ツイートについては全面的に番組に責任があると思います。
たぶん、挑発的なツイートにすれば、多くの人の注目を集めると思ったんでしょうね。
次に、大胡田誠弁護士の発言ですが、差別の比較自体は、客観的には意味がないと思います。
交通事故で亡くなったか、がんで亡くなったか、ではどっちが不幸か、という議論をするようなものです。
今、こういうご時世ですし、まあ「物議を醸す」ことは十分に考えられますね。
では、大胡田誠弁護士が、主観として、障害者差別を女性差別より重いと考えることは意味がないか、間違いかと言うと、そんなことはありません。
障害者当事者だからこそ、わかること、言えることがあると思いますす。
伊達や酔狂で、「女性差別などなまっちょろい」と言っているわけではなく、女性差別は「差別」で、障害者差別は「区別」という社会的な風潮はおかしいというのが真意であることは、上掲ogpのご本人のFacebookの投稿でも明らかですから、ではそれはどんなものかを聞き出す、つまり障害者差別を掘り下げて理解を広めるチャンスだったのです。
私は全盲の障害の経験はありませんが、思うに、女性差別は、いうなれば男性の風下に立つ不条理。
が、障害者差別は、やまゆり園事件のように、生命そのものの尊厳が否定されているのです。
議論の契機としない対決型の「問題提示」は不毛
それなのに、「女性差別と比べるなんてけしからん」と、大胡田誠弁護士を居丈高に糾弾したら、そこで議論は終わっちゃうんですよね。
そして、誰も女性差別問題を、怖がって真面目に触れなくなってしまう。
残念ですよね。ホント残念。
だったら、女性差別こそ最悪と考えるあなたは、障害者差別の何を知っているんだ、と私は逆に問いたい。
詰問したいですよ
「生っちょろい」という表現を徹底攻撃して、障害者差別の何がどう問題かという本質にアプローチできなくなったことが、この問題を不毛にしていると思います。
それにしても、森発言以来、「反女性蔑視」の潮流は、残念ですが問題解決の方向には向かってないですね。
電車の乗り降りでぶつかった諍いを「女性差別だ」と騒ぐ日本共産党の前国会議員も話題になっていますが、いずれにしても「糾弾」「断罪」でねじ伏せるやり方では、結局問題解決を遠ざけるだけだと私は思います。
どうしてきちんと議論を広げられないのでしょうか。
全盲の僕が弁護士になった理由 - 大胡田誠
決断。全盲のふたりが、家族をつくるとき (単行本) [ 大胡田 誠 ] - 楽天ブックス
「差別問題」を、解決しようとせずに対決しようとする姿勢でいたままだと解決にはいつまで経っても至らないのだろうなと思います…
by ナベちはる (2021-04-01 01:12)
私のいっぷくさんの意見に同感です。
「女性差別は、いうなれば男性の風下に立つ不条理。
が、障害者差別は、やまゆり園事件のように、生命そのものの尊厳が否定されているのです。」
鋭く本質を云い当てていると思います。
by 風の友 (2021-04-01 01:52)
差別全てに目を向けろと言いたかっただけじゃないのかな?
by pn (2021-04-01 06:26)
言葉尻だけを捉えてのバッシング。またかと言う感じですね。
その真意に目を向ける「思考のクセ」をつけるべきです。
by Rinko (2021-04-01 08:26)
最近はダイバーシティで、LGBTQも差別しないといいつつも、世間の大半は変態呼ばわりですよ。
四肢欠損などの障がい者は好奇心でみられるし。
表向き、きれいごとを並べても、人間の本性は
急には変わらないんです。
幼児の頃から、みんな同じなんだよ、差別はいけないよ、と教え込まないと。
大人になって得たにわか知識では、脳があの人たちは違うと拒絶しますよ。
by とし@黒猫 (2021-04-01 10:53)
まったくおかしな現象ですね。
今は昔のあんぽんたん総理の発言のせいで女性差別と見えればすべて騒ぎ立てているようにも感じます。
その発言の一番言いたいことはどこかをよく考えて話をしたいものですね。
by なかちゃん (2021-04-01 12:58)
差別は難しい問題。
白人に黒人が差別だと行動を起こしますが
その人たちはアジア人差別は正当だと思っている人が
多々あること。全員が内から歩み寄れる問題ではなく
個の体験、環境を通してできるものだと思います。
盲目の弁護士さんは、弁護士なだけに相手に突っ込ませない話術があり その手法かと。
by ぴーすけ君 (2021-04-01 17:34)
切り取らずに聞くと問題発言とは言いがたいですが、メデイアの手法は昔も今も変わりませんね。
by kou (2021-04-01 17:50)
またまた難しい問題を取り上げられましたね。
by ヨッシーパパ (2021-04-01 19:36)
本質を全く理解しないでバッシングしているんですね。
障害者の方は全て後回しという感じでお気の毒です。
by エンジェル (2021-04-02 18:07)
女性差別に限らず、最近は「とりあえずぶっ叩け!」というインテリジェンスに欠ける争いが目立ちますね。結局、本当に問題を解決しようという気が無いのでしょう。マスコミも、国民も、レベルの低下に歯止めがかかりませんね。
by Caelum (2021-04-04 20:24)