オサムイズム: “小さな巨人”スズキの経営（中西孝樹著、日経BPマーケティング（日本経済新聞出版） [文学]
鈴木修の生き様と功績をまとめた『オサムイズム: “小さな巨人”スズキの経営（中西孝樹著、日経BPマーケティング』（日本経済新聞出版）です。四輪車・二輪車を中心とした製造を行う世界大手の輸送機器及び機械工業メーカーを率いた人物伝です。（文中敬称略）
年末にまた訃報です。
鈴木修・スズキ前会長（すずき おさむ、1930年1月30日 - 2024年12月25日）です。
スズキ株式会社（英: SUZUKI MOTOR CORPORATION）といえば、日本の静岡県浜松市に本社を置く、世界大手の輸送機器及び機械工業メーカーです。
1958年に、一中小企業に過ぎなかった鈴木自動車工業（現スズキ）に入社。
1963年に取締役に就任し、常務、専務を経て78年に社長に昇格。
2000年に会長になったものの、08年に会長を兼務しながら社長に復帰するなど同社の隆盛に貢献しました。
「生涯現役」を掲げて企業経営に邁進してきた修の、独創的な経営と成功の本質に迫ったのが、本書『オサムイズム: “小さな巨人”スズキの経営（中西孝樹著、日経BPマーケティング』（日本経済新聞出版）です。
自動車メーカー、スズキの社長や会長として40年以上にわたって経営を担い、世界的なメーカーに成長させた鈴木修氏が25日、亡くなりました
— NHKニュース (@nhk_news) December 27, 2024
94歳でした
▼こちらの記事で情報を随時更新します▼https://t.co/ds5vReSCvI#nhk_video pic.twitter.com/rKsaDOzQRp
Amazonの販売ページには、こう書かれています。
パートナーであるGM(ゼネラルモーターズ)の破綻、VWとの提携解消問題、自身の後継者問題など
次々と襲う危機をどのように乗り越え、それはスズキにどのような影響をもたらしたのか。
本書では氏の人間像に迫り、仕事観・経営哲学を深掘りすると同時に、
世界の自動車業界の現状やその中におけるスズキのポジション、成功要因や強み、弱み、競争力なども再考します。
「中小企業のおやじ」の、独創的な戦略とその経営哲学を明らかにした著書です。
大企業が手を出しにくい小型車市場に注力
鈴木修は、岐阜県益田郡下呂町（現在の下呂市）に生まれます。
旧姓は松田です。
戦後、東京都世田谷区の小学校で、教員として働きながら、中央大学法学部に在籍。
終戦直後は、教員の数が不足していたため、正式な教員免許を取得していなくても、大学生や教員志望者が臨時教員として教壇に立つことがあった時代でした。
この世代のプロフィールで、たまに目にする「代用教員」です。
教え子には、第32代参議院議長の山東昭子がいたそうです。
以前、漫才の昭和のいる・こいるをご紹介しましたが、のいる（眼鏡を掛けている方）が、やはり大学卒業前の代用教員出身でした。
『昭和のいる・こいる ヘーヘーホーホー40年！』（ポニーキャニオン）を観ました。リリースされたのは2005年ですが、50年間、このコンビのパターンはほとんど変わりませんでした（笑）https://t.co/V96Ei03zZ5 #昭和のいる・こいる #漫才を問う #漫才 #漫才PARTY7 pic.twitter.com/tFtoF0wrD4
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) December 27, 2024
修はその後、中央相互銀行（現在の愛知銀行）入行し、1958年にスズキの2代目社長の鈴木俊三の娘婿になり、「松田修」から「鈴木修」になります。
そして、同年4月にスズキに転職。
当然、跡継ぎを前提とした入社です。
修は、大企業が手を出しにくい小型車市場に注力し、そこに特化した戦略を展開しました。
そして、消費者が求める製品を提供するため、製品開発から販売まで迅速かつ柔軟に対応。
さらに、各国の市場に適した製品開発を推進し、地域特化型のビジネスモデルを確立しました。
軽自動車では、アルト（Alto）、ワゴンR（Wagon R）、スペーシア（Spacia）、ハスラー（Hustler）、ジムニー（Jimny）など。
コンパクトカー（小型車）では、スイフト（Swift）、ソリオ（Solio）、イグニス（Ignis）、クロスビー（XBEE, Crossbee）、バレーノ（Baleno）などがあります。
その他、海外市場モデルやハイブリッドカーも生産しています。
日本は、このビジネスモデルが得意ですね。
パソコン市場を例にとりますと、全体としてアメリカ人よりも華奢ながら細かい作業の得意な日本独自の市場を背景に、持ち運びに便利な、サブノートというサイズのパソコンが普及しました。
海外にも似たようなコンセプトの小型ノートPCが存在しますが、日本市場が特にこのカテゴリを強く求めた結果といわれています。
ソニーのVAIO Uシリーズ（2002年）とか、NECのバーサプロやLAVIE、Let’s note Wシリーズ（パナソニック）、ThinkPadのXシリーズ（Lenovo）、Omnibookシリーズ（HP）など、サブノートモデルがありますね。
地域的、業種的に競合していると思われるトヨタは、一方ではスズキと資本業務提携している親戚会社です。
トヨタの規模と技術力が、スズキの成長を支援し、スズキの機動力と小型車技術が、トヨタに新たな市場を提供する両社winwinの関係だそうです。
成功者は日本の文化や技術や市場を守り発展させる
鈴木修相談役が遂に亡くなった。
— 【日本車】応援TV局長のつぶやき (@japancarTV) December 27, 2024
偉大な経営者だったね。ホントに心からそう思う。
フォルクスワーゲンとの提携とか失敗はあったけど米中からの撤退は英断だったし、何よりインド進出の決断は日本車の未来を救ったと言っても過言じゃないと思う。… pic.twitter.com/on1sHoHC13
今回の訃報を受けて、トヨタ自動車の豊田章男会長は、提携に向けて協議すると発表した2016年の共同記者会見に一緒に出席した時を振り返り、「軽自動車という日本独自のクルマ文化を守ってこられた経営者としての覚悟。厳しい競争を生き抜いてきた、そして、これからも絶対に生き抜いていくという気迫を肌で感じた」とのコメントを発表しました。
このトヨタ会長のコメントからは、偉人・成功者の共通点を見つけることができました。
「日本独自のクルマ文化を守ってこられた経営者」のくだりです。
日本の文化や技術や市場を守り、発展させる、という強い信念です。
昨日の服部時計店の服部金太郎も「輸入ものの転売ではなく、日本独自の時計開発」にこだわりました。
それを意識しているかどうかこそ、起業家の質を見極めるひとつのポイントといえるかもしれません。
生前のご遺徳お偲び申し上げます。
それにしても、日産が落ち目のため、ホンダとの経営統合が話し合われており、日野と三菱ふそうがトヨタの傘下に入るとなると、自動車業界もいよいよ銀行のように「メガ」化してますね。
スズキの小型自動車や軽自動車は、利用されていますか。
オサムイズム: “小さな巨人”スズキの経営 - 中西 孝樹
資本の集積、ですな。
by おっつぁん (2024-12-29 23:37)
不正検査がどーのこーのの時、計り直したらかえって燃費が良くなったって話が好き。けど仕事車のエブリーも愛車GSR250もエンジンが止まる癖がある（笑）
by pn (2024-12-30 06:24)
来年も楽しみにしております。
よろしくお願いいたします。
by ＨＯＬＤＯＮ (2024-12-30 06:53)
家は軽自動車しか乗らないけど、今まで、スズキと日産は避けていましたが、これを読んでスズキ良いなと思って来ました。
by mutumin (2024-12-30 07:00)
ウチの会社（前職）の超お得意様でした。
会社にお越しいただいてご講演を賜ったこともあります。
また、カリスマ経営者がいなくなりましたね。
合掌
by HOTCOOL (2024-12-30 07:24)
オサムちゃんに褒められるようないい車作ろう！！
それが技術屋さんをはじめ社員の秘かな思いだったんだとか
わたし、ハスラー乗ってます いい車です！
by taku1_lily (2024-12-30 09:33)
今年も一年お世話になりました。
どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
by 風神 (2024-12-30 09:53)
前の職場の車がアルトやハスラーでした
コンパクトでいい感じだったなぁ
by mau (2024-12-30 10:06)
今年一年ありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい。
by ずん♪ (2024-12-30 11:18)
軽自動車と言えばスズキですよね。
日本を支えてきた経営者の訃報はとっても残念です。
良いお年をお迎えください。
by まつき (2024-12-30 11:35)
鈴木修氏の「大企業が手を出しにくい小型車市場」に注力する戦略や、消費者視点での迅速な対応は素晴らしいと思います。
by かずい (2024-12-30 12:18)
両親の介護で広島にいた期間、どうしても足が必要で中古のアルトを買いました。初めての軽でしたが小回りが利いて本当に重宝しました。
主流は軽でも今回発売したフロンクスはＳＵＶ車としても優れものだと思います。
by 十円木馬 (2024-12-30 13:04)
こんばんは。
金融機関がこんなに合併するとは昔なら考えられない事です。
自動車メーカーも然り。
HONDA と日産が合併すれば世界第三位とのことですが、それで安泰かどうかはなんとも言えませんね。
by センニン (2024-12-30 18:04)
最初に買ったのがアルトでした。
by 夏炉冬扇 (2024-12-30 21:21)
スズキの名物社長も他界されてしまいましたね。
こんな車が「有ると」良いなと言うコンセプトで「アルト」と言う車が生まれ、それを社長が「45万円で売れ！」と号令を出したものの47万円で販売することになり、マイティーボーイで45万円で販売出来たと言う話が有りましたね。
日本の軽自動車業界を引っ張った一人であることは間違いありませんね。
by アコモ (2024-12-31 06:23)
みなさん、コメントありがとうございます。
> 資本の集積
マルクスですか。
> エンジンが止まる癖
それはまずいですね。
> よろしくお願いいたします
こちらこそよろしくお願いいたします。
> 家は軽自動車しか乗らない
雪道でも大丈夫なのでしょうか。
> カリスマ経営者がいなくなりました
日本のため、社会のためにという信念を感じます。
> オサムちゃんに褒められるようないい車作ろう
社員にこう思わせる社長、いい会社ですね。
> どうぞ良いお年をお迎えくださいませ
こちらこそありがとうございました。よいお年をお迎えください。
> コンパクトでいい感じ
名前もいいですね。
> 良いお年をお迎え下さい
こちらこそありがとうございました。よいお年をお迎えください。
> 良いお年をお迎えください
こちらこそありがとうございました。よいお年をお迎えください。
> 「大企業が手を出しにくい小型車市場」に注力する戦略
目の付け所がよかったですね。
> フロンクスはＳＵＶ車としても優れもの
かっこいい車ですね。
> これで安泰かどうかはなんとも言えません
今後に注目したいですね。
> 最初に買ったのがアルト
アルトいいですよね。
> 軽自動車業界を引っ張った一人
まさにその通りですね。
by いっぷく (2024-12-31 21:23)