『
渡る世間は鬼ばかり』第1シリーズ（1990年10月11日～1991年9月26日）の話を、昨日に引き続き書きます。計506話にわたる“超大作”の「そもそも」の部分にあたる1～3回。昨日は「養子縁組」についてでしたが、同時に話題になっていたことは、もうひとつの舞台である中華料理店「幸楽」の相続の問題です。（画像はDVDより）
岡倉家の次女、五月（泉ピン子）は、中華料理店「幸楽」で両親とともにはたらく小島勇（角野卓造）と結婚。姑の小島キミ（赤木春恵）には何かというと嫌味を言われていますが、文句も言わず働いています。
人気ドラマだったので、舞台となった中華料理店「幸楽」の名前を商品名にした、幸楽ラーメン（サンヨー食品）まで発売されましたが、私は残念ながら食べることなく販売が中止になってしまいました。
このパッケージでは、赤木春恵がニッコリ笑っていますが、ドラマの中では、いつも憎まれ口ばかりきいています。
ドラマ『
水もれ甲介』（1974年10月13日～1975年3月30日、ユニオン映画／日本テレビ）では、実の息子ではない甲介（
石立鉄男）と輝夫（原田大二郎）にも慕われる優しいお母さん役でした。
役者というのは、いろいろなキャラクターを演じなければならないので大変ですね。
私は以前、『ああ家族』（1987年1月5日～2月27日、TBS）という、橋田壽賀子脚本のドラマに鑑識の役で出させてもらったことがあるのですが、
『ああ家族』より。左から大空真弓、山口崇、私、ベンガル
赤木春恵が姑の役で、休憩時間には、奥のセットでタバコをふかしながら、やはり石井ふく子ドラマの御用達女優である、大鹿次代を相手になにか話をしていました。
大御所感がたっぷり出ていましたね。
それはともかく、以前ご紹介した、喜劇駅前シリーズの『
喜劇駅前開運』（1968年、東京映画／東宝）では、フランキー堺が働く、東京・赤羽駅前商店街スーパーマーケットの“ショップブランド”として作られた「駅前ラーメン」が、エースコックから発売されたことがあります。
黒柳徹子も出演した『喜劇駅前開運』より
インスタントラーメンやカップ麺というのは、コラボ商品化しやすいのかもしれませんね。
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長男が割を食う「相続」
昨日は、岡倉大吉（
藤岡琢也）、節子（
山岡久乃）の四女の養女がドラマのテーマだったとご紹介しましたが、並行して、「幸楽」は相続について一悶着ありました。
五月（
泉ピン子）は嫁として働かされ、給料もありません。
その一方で、実の娘たち、山下久子（沢田雅美）と小川邦子（東てる美）にキミ（赤木春恵）は甘く、久子（沢田雅美）の夫がサラ金から350万の借金をすると、自分の判断ですぐに肩代わりしてしまいます。
そこで、五月（泉ピン子）は遺産相続の話を勇（角野卓造）にすると、それがキミ（赤木春恵）の耳に入り激怒。
五月（泉ピン子）はいったんは岡倉の家に戻りますが、結局自分から頭を下げて小島の家に帰るところまでが第3回です。
これも昨日の「家制度」の話の続きになりますが、法定相続が子供に平等である以上、結局「長男」は損をするようにできていると私は思います。
たとえば、長男と長女の間で、親の面倒を見ないかわりに遺産相続は放棄する、なんて約束をして長男が親の面倒を見ても、いざ親が亡くなったら、長女がどういう態度を示すかわかったものではありません。
そのままほうっておいても、長女の相続人としての権利は残ります。
もっとも、遺産分割未了のままですと、たとえば不動産なら税金や取り壊し費用や想定外のアクシデントの賠償責任なども相続人全員に責任が発生するので、こと不動産に関しては、必然的に責任を持てる人が相続することになると思いますけど、やっぱり問題はドラマにあるように現金でしょうね。
まとまったお金を、長男に相談なしに渡してしまう母親には困ったものですが、だからこそ、長男だから家を守らなければならない、などという旧弊な意識はとっとと捨てるべきだと思います。
ドラマの方は、一応久子（沢田雅美）は相続を放棄したり、その後は「幸楽」で働いたりしているので、まだ許せるのでしょうけど。
第4回以降は、岡倉の長女・野田弥生（長山藍子）が専業主婦から看護師に復帰する際の、家族、とりわけ夫（前田吟）の強い反対があります。
妻の職場復帰というのも、家庭にとっては一大事なんですね。
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