『馬を売る女』(1982年10月23日、TBS)というサスペンスドラマが、来る2月13日、TBSチャンネルで放送されます。松本清張原作のドラマ化です。放送に先んじて、DVDで観てしまいました。風吹ジュンが地味で切ない社長秘書役を、泉谷しげるが気が弱くて「決められない男」を演じています。(上画像はTBSチャンネルより)
『
馬を売る女』は、1982年10月23日に、TBSの「ザ・サスペンス」という枠(21:02~22:53)で放送されました。
1980年代前半は、各局、単発2時間ドラマのレギュラー放送枠をふやしていった時期です。
どうしてそうなったかはわかりませんが、1970年代が、1時間の連続ドラマ枠がたくさんあり、先日ご紹介した『
美しきチャレンジャー』のような30分ドラマも何本かありました。
それが、80年代に入り、1社単独提供の番組枠が減少する一方で、番組の放送時間の大型化が進みました。
この頃になると、70年代にあった、「何曜日の何時は何を見る」という「茶の間のテレビ鑑賞」の習慣が、父親の残業、子供の塾通いなどで崩れつつあったために、連続ドラマよりも単発ドラマの枠が増えていったのかもしれません。
その意味で、テレビ、就中テレビドラマの性質は、この80年代に入った頃に、大きく変わったといえるでしょう。
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自己表現が苦手な女性がつまらない男に引っかかってしまった
Google検索画面より
本作『馬を売る女』は、主人公が
風吹ジュンです。
私が子供の頃、『じんじんの仁』(1974年1月8日~3月26日、東京12チャンネル)という、落語家の弟子を描いたドラマがあったのですが、そこで、主人公が憧れているマドンナ役で風吹ジュンが出演していました。
主役だった
日の下金太郎は、その後、ケンちゃんシリーズなど、ドラマに2~3作出て消えてしまいましたが、風吹ジュンは、そこから三ツ矢サイダーのCMが注目されて、アイドルとしてブレイク。
しかし、その後、学歴詐称等週刊誌でいろいろ書かれて、しばらく不遇の頃がありました。
若さ以外の取り柄がない、たんなるアイドルならそこで芸能人生も終わっていたのでしょうが、彼女はそこから女優として第一線にカムバックします。
それで、本作が放送されたのは82年。
前年に結婚しているので、本作は既婚者としての出演ですが、
泉谷しげると、少なくとも上半身は何も付けない睦み合いのシーンがいくつか含まれています。
普段は、強い近眼で地味で目立たない秘書が、一転してそこでは、男なら誰でもとって代わりたいような大胆な濡れ場に切り替わるのです。
実は、「ものすごくいい女」なのに、それをうまく表現できずに縁遠く、挙句につまらない男に引っかかってしまった、ということをあらわすために必然的なシーンだったのでしょう。
それにしても、いくら役者といっても、既婚者がそのような大胆なシーンを演じると、観ている方が逆にハラハラしてしまいます。
ということで、放送は来月なので、あえて、あらすじをここまで書かずに進めてきましたが、TBSチャンネルの公式ページに書かれている範囲でご紹介します。
風吹ジュンは、社長(
高橋昌也)が趣味で馬主になり、トレセンから得られる競走馬情報を盗聴して、その情報を会員を募って売っていました。
どう見ても自分より地味な同僚(
泉ピン子)まで結婚して、自分の将来(結婚)に絶望している彼女は、お金をためてアパートを建て、家賃収入で余生を過ごそうと思って始めた「内職」でした。
しかし、彼女の挙動に気づいた人事部長(
仲谷昇)は、孫受け工場で資金繰りも厳しい泉谷しげるに、子会社にするという条件で、風吹ジュンの調査を依頼しました。
泉谷しげるは、そこで風吹ジュンに近づきます。
泉谷しげるは、依頼されていたのは競馬情報の調査だけだったのに、風吹ジュンと関係し、さらに彼女の貯めたお金を当てにするようになります。
泉谷しげるは、妻帯者であることは隠していませんが、それでも夢中になってしまうほど、風吹ジュンは寂しかったのです。
公式サイトでは、風吹ジュンを「悪女役」と表現していますが、私には、「切ない役」にうつりました。
『馬を売る女』。2月の13日に放送です。
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