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『特捜最前線 BEST SELECTION VOL.1』二谷英明、藤岡弘、 [懐かし映画・ドラマ]

特捜最前線

『特捜最前線』(1977年4月6日~1987年3月26日、東映/テレビ朝日)の傑作選DVD『特捜最前線 BEST SELECTION VOL.1』を観ました。特命捜査課という、警視庁捜査一課直属のセクションで、通常のモラルやルールを超えた捜査を求められるハードな設定ですが、展開されるストーリーは哀愁が感じられます。(画像は劇中より)



特捜最前線』は有名なドラマの一つだと思うのですが、もう放送終了してから28年もたつとは……。

ということは、今40代以上の人でないと、リアルタイムの視聴経験がないのかもしれませんね。

『特捜最前線』は、当時、番宣で主演の二谷英明が、「10年は続けたい」と抱負を語っていたのを覚えていますが、調べてみると、ちょうどまる10年放送されていますね。

1クール(3ヶ月)が当たり前の、今のドラマでは考えられないでしょうね。

その前に放送されていたのが、『特別機動捜査隊』という、日本で初めてといっていいドラマ史に残る連続刑事ドラマの枠なので、その数字を引き継げるということで、恵まれたスタートだったと思います。

最初は、試行錯誤もあったようですが、1クールすぎたあたりからエンジンがかかってきて、それぞの刑事の人間性を全面に出した、哀愁刑事ドラマとしての独自性を確立していったように思います。

ファウスト・チリアーノの歌『私だけの十字架』も哀愁を帯びていました。

出演者の交代も、のべ13人出てきた刑事のうち、殉職は2人だけです。

それ以外は、刑事という仕事に悩み、他部署への栄転や退職をすることになっており、そのへんもヒューマンな設定です。

ただ、そうしたドラマはどうしても地味な作り方になりますから、午後10時という、就寝前に大人の番組を静かに観たい時間帯だからこそ、成功したのだと思います。

今の『報道ステーション』の前の番組である、久米宏の『ニュースステーション』が始まるために、午後9時に放送時間が繰り上がると、視聴率を落としてあっという間に終了してしまいました。

もっとも、今なら「午後10時」も「就寝前」の番組とはいえません。

今やテレビも人々も、夜中まで活動していますからね。

その意味では、久米宏の『ニュースステーション』が、テレビの編成だけでなく、人々の生活をかえる契機、もしくは結果であり、『特捜最前線』の終了は、「昭和時代らしい古き好きドラマ」の終焉だったのだろうと思います。

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ハードボイルドの中のヒューマニズム


DVD第1巻に収録されているのは、第1話「愛の十字架」、第13話「愛・弾丸・哀」、第94話「恐怖のテレホン・セックス魔!」、第105話「さようなら、高杉刑事! 」です。

特命捜査課の刑事

第1話は、神代恭介・特命捜査課課長(二谷英明)の尊敬する先輩刑事(中村竹弥)が、定年後の再就職のことでヤクザ(志賀勝)と接点をもち、それが原因で負傷。

先輩刑事(中村竹弥)は解雇を覚悟しますが、課長(二谷英明)は、事件に加担したわけではない以上、たんなる被害者として見逃すという話です。

これは、今なら、というよりこの頃でもあり得ないストーリーですね。

いくら事件と無関係でも、警察関係者がヤクザと接点を持つこと自体ダメでしょう。

しかも、同時収録の第13話「愛・弾丸・哀」では、特命課刑事は犯人を2人も射殺しています。

さらに、第105話では、櫻井刑事(藤岡弘)が、台湾の売人に潜り込んでいます。

つまり、特命捜査課というのは、モラルや本来の捜査方法などは無視した、グレーもしくはブラックな捜査の裁量があるセクションという設定なのです。

拳銃を使わない人情捜査の世界とは対極にある、ハードボイルドな設定のはずなのです。

見方を変えれば、それだけ危険な事件を扱っているというわけです。

にもかかわらず、刑事とは何か、などと書生臭い葛藤に悩んだり、第94話の「恐怖のテレホン・セックス魔!」では、“たかが”いたずら電話のために、ベテラン刑事(大滝秀治)が寝食を忘れて取り組んだりするギャップが面白かったドラマといえるかもしれません。

要するに、どんな凶悪犯罪の超法規的捜査だろうが、捕まえる刑事は人間なのだ、というモチーフなのだと思います。

いずれにしても、久しぶりにドラマを鑑賞して感じたのは、時の移ろいです。

同時期の人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』に比べても出演者が多く亡くなっているような気がします。

二谷英明、大滝秀治、本郷功次郎、荒木しげる、夏夕介……

西田敏行は、次期代表とまでいわれた青年座を健康上の理由で退団し、横光克彦も政治家引退を表明しました。

そうしてみると、藤岡弘、はがんばってますね。

特捜最前線 BEST SELECTION VOL.1【DVD】

特捜最前線 BEST SELECTION VOL.1【DVD】

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD


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