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かつお節エキス、たん白加水分解物、BSE、本当の話 [食べもの]

かつお節

かつお節エキスとは、文字通りかつお節もしくはそれに加えてさば節など魚介製品のだし汁を分解濃縮加工したものです。たん白加水分解物は、穀物や肉など由来の調味料です。どちらも市販の食品の多くに含まれており、食品添加物とともに、しばしばその安全性が取り沙汰されます。



今から14年前、BSEが問題になった頃、どの食品に牛の危険部位が入っているかで、Web掲示板が虚実ないまぜの情報を開陳しあってパニック状態になったことがありました。

その中で、「お菓子会社のアルバイト」を経験したことがあると称する書き込みが、私の目に止まりました。

商品名は特定していませんでしたが、かつお味は、牛の危険部位(脳)を使ったものである、と「暴露」していたのです。

牛の脳みそって、かつお味なのでしょうか。

もちろん、常識的に考えて、アルバイトに、そんな企業機密に関わるセクションの仕事をさせるのかは甚だ疑問です。

しかし、末端アルバイトまで伝播する社内の噂が、実は真実ということは、必ずしもあり得ない話ではありません。

以来、カツオエキスや、カツオエキスパウダーを使った食品を見るたび、そして口にするたび、その話をちらっと思い出すことはありました。

……そして、時は流れ2016年。

スナック菓子(ポップコーン)、めんつゆ、煎餅など、「かつお味」の食品を子供が続けざまに口にするようになったため、念のため、カツオエキス(パウダー含む)を製造しているメーカーのサイトをいくつか確認しました。

すると、あるメーカーでは、鰹エキスパウダーの「備考」として

BSEフリー

と書かれていました。

BSEを心配する牛危険部位は使っていない、という意味です。

一見、問題解決のようですが、でも、これ、実はちっとも「いい意味」ではないんです。

むしろ、心の底に、参考程度に沈殿させていた、「お菓子会社のアルバイト」の話を、「万が一現実では」と思わせるものとなりました。

だって、「鰹節」の「エキス」なら、牛なんか使う余地はないわけですから、本来ならわざわざ「BSEフリー」と断る必要はないわけです。

それを、わざわざ断っているということは、

この会社がたまたま使っていないだけで、他社なら

鰹節エキスパウダーにも牛危険部位を使うことはあり得る!

ということを示しているからです。

それと、もうひとつ。

私は、「お菓子会社のアルバイト」の話について、カツオエキスや、カツオエキスパウダーを疑っていましたが、メーカーの表示を見ると、疑わしきは「カツオエキス」てはなく、「かつお節エキス」、つまり「」がつく方だったのです。

「カツオエキス」は、鰹そのものの煮汁、「かつお節エキス」は、かつお節の煮汁です。

どちらも、調味料を作る会社が扱っています。

そこで、新年早々、私はカツオエキス(パウダー)メーカーに、

会社によっては、「鰹節エキスパウダー」が「BSEフリー」とことわっているところもあります。
「鰹節」でありながら、ウシ由来のものを使うことがあるのでしょうか。


という質問を送りました。

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その結果は……


あるメーカーは、こう回答しています。(事前に公開すると断っていないので原文ではなく要旨をご紹介)

製品を構成する原料は、1品だけではなく数種の原料を組み合わせる事が多々ある。
「鰹節エキスパウダー」を構成する原料には、場合によっては牛由来の原料を構成の一部として用いる事もある。


やはり、「かつお節」の煮汁エキスに、「牛由来の原料」が含まれる可能性があるということです。

もし、かつお節に何かを加えるとすれば、コクや旨味を増すための調味料以外考えられません。

そこでクローズアップされるのが、たんぱく加水分解物です。

これは、今最も問題になっている「食品添加物」(正確には調味料)です。

市販されている多くの廉価な食品(菓子含む)の原材料を見ると、必ずと言っていいほど含まれています。

カレー、ラーメン、シチュー、煎餅、スナック菓子等々……。

ラーメンライス.jpg

カレーライス

では、たんぱく加水分解物とは何かというと、動植物の、もはや売り物として店頭に出ない部分を、酵素や塩酸で加水分解して得られたアミノ酸のことです。

動植物の売り物にならなくなった部分は、多岐にわたります。

たとえば、大豆の搾りかす。ムシって残った鳥の羽。豚の内臓……。

この中に、牛の危険部位が含まれる可能性があることが、まず心配されています。

それともうひとつ。塩酸による分解では、発がん性を疑われている物質が生成されるということです。

そして市販されている食品に使われているたんぱく加水分解物の多くは、塩酸による分解の方が多いので、問題である、というわけです。

もっとも、塩酸処理は、ことBSE対策に関して言えば有益であるとする説もあります。

私は化学専門家でないので、その真偽はわかりませんけどね。

いずれにしても、14年前のweb掲示板の得体のしれない書き込みの真偽はいまだ明らかではありませんが、かつお節という、牛とは全く接点のない食材が、エキス(パウダー)になるとBSEと関わりが出てくるということが今回わかった、という話です。

食品添加物ほんとうの話

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  • 作者: 三輪 操
  • 出版社/メーカー: あさ出版
  • 発売日: 2015/12/24
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