『卵を食べれば全部よくなる』(佐藤智春著、マガジンハウス)を読みました。著者は、血液栄養診断士を名乗っています。分子整合栄養医学協会が認定している資格だそうです。分子栄養学については賛否いろいろ意見がありますが、論より証拠でとにかく同書を読んでみようと思いました。
分子栄養学とは、栄養素をバランス良く摂ることで健康状態を維持・改善するという立場です。
著者の佐藤智春さんは、人間が健康でいられるには、老若男女を問わず、たんぱく質がをどれだけ摂っているかであり、そのためにもっとも適した食材が、安くていろいろな食べ方ができて栄養のバランスが抜群の完全食である鶏卵がいいというのです。
それにしても、だいたんなタイトルです。
卵については、いろいろな栄養素を含む食材として否定する人はいないでしょう。
ただ、巷間食べたほうがいいといわれているのは、1日1~3個程度です。
それを超えると、コレステロールが上がるとか、前立腺がんの遠因になるといった話もあります。
しかし、『卵を食べれば全部よくなる』は、そのすべてを否定するどころか、逆にそれらを予防するのだとしています。
とくに、鶏卵で懸念されるコレステロールについては、1章(19ページ)分費やして、その“誤解”を解こうとしています。
曰く、本来コレステロールは体に必要なものであり、数字の評価はそのバランスから見るものである。食べ物で作られるコレステロールは3分の1であり、それ以外は肝臓で造成されるので、コレステロールが異常に高いのは食べ物ではなく肝臓など別な問題がある。
佐藤智春さんは、20代の頃、体を壊して体重が39キロまで減ったが、鶏卵を1日10個食べる生活を1年続けたら元に戻ったといいます。
10個とはすごい数です。
スポーツ選手には、黄身を抜いて、白身だけたくさん食べる、という話もありますが、著者はあくまでもまるごと、そしてとくに黄身の栄養(レシチン)を重視しています。
そして、卵で栄養を摂る生活をすれば、うつ、メタボ、動脈硬化、認知症などの予防になり、肌の艶や薄毛の対策になるとも述べています。
つまり、高齢者でも卵をどんどん食べなさい、むしろ高齢者で量質ともに食べ物を受け付けなくなった時だからこそ、バランスよく栄養を摂れる卵を食べなさいと説いています。
先日、「足裏みがき」でご紹介した、黒川伊保子さんが実践者として推薦文を書いています。
足裏みがき、脳の活性化と毛細血管再生につながるか
同書では、年代別に、必要なたんぱく質の量となぜ必要なのかの理由も解説されています。
たとえば、1~3歳は、レシチンとコレステロールで脳が発達するから、また21~37歳は、ストレスや不妊にいいのだそうです。
スポンサードリンク↓
煮玉子は消化にもいい
さらに同書では、作り方や食べ方も紹介。エコなゆでたまご、オムレツ、スクランブルエッグ、外食で肉料理を食べるときは卵をつけると鬼に金棒。マヨネーズはカロリーオフを選ばない(「オフ」と引き換えに余計な添加物や乳化剤が使われる)、といったことも書いています。
ということで、10個食べられるかどうかはわかりませんが、御飯のおかずに、小腹がすいた時のおやつ代わりに、いつでも卵を食べることができないものかと考え、私が実践しているのは、半熟煮玉子です。
黄身がやわらかいゆでたまごに味をつけます。
レシピらしきものはこんなかんじです。
1.冷蔵庫から出したばかりの卵を沸騰したお湯にそっと入れ、7分茹でる。
2.すぐに冷やして殻をむく。
3.みりん、醤油どちらも大さじ4と砂糖小さじ2を混ぜたつけ汁に卵を入れる。
4.そのまま一晩つけるとできあがり。
卵全体がつけ汁に浸らないときは、途中でひっくり返します。
ここで使うみりんは、国産米由来なので、量が少ない割にちょっと高めです。
でも、この味に慣れてしまうと、たんなるゆでたまごでは、物足りないと感じることがあります。
それに、同書にも書かれていますが、黄身は半熟のほうが消化がいいそうです。
分子栄養学について詳しく知っているわけではありませんが、食べ物で健康を云々することは、一歩間違うとフードファディズムに陥るものになりますから、同書だけ読んで、卵さえ食べていればいい、とただちに思い込む態度が正しいとはいえません。
しかし、同書に書かれている、卵に対する“誤解”については、巷間の健康情報を鵜呑みにしてはいけない、ということを教わった思いがします。
卵を食べれば全部よくなる
- 作者: 佐藤 智春
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2014/12/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
Facebook コメント