『6羽のかもめ』業界裏話を描き映画の価値観を崩した倉本聰ワールド [懐かし映画・ドラマ]
『6羽のかもめ』(1974年10月5日~1975年3月29日)というドラマが、かつてフジテレビで放送されていました。劇団かもめ座の6人を主人公にして、実際にあったとされるテレビ業界の裏側を、倉本聰がドラマにしました。放送当時はよくわからない部分もありましたが、今回DVD化された全26話を改めて鑑賞して、見どころの多い面白いドラマだなあと思いました。
伝統ある名門のはずだったかもめ座は、女王・犬山モエ子(淡島千景)の専横的な振る舞いに次々分裂。
やっと劇団所有のビル(稽古場と団員の住む住居)ができたときは、役者が2人(高橋英樹、夏純子)、脚本家が1人(長門裕之)、元悪役の役者で今はマネージャー(加東大介)、研究生(栗田ひろみ)の6人になってしまいました。
彼らは、ビルの下にある喫茶店にいつもたむろしています。
そこのマスターがディック・ミネ。役者たちの話にまじり、言葉尻を引き取って、それに因んだ過去の女性の話をして話を台無しにします。
彼らの仕事場はテレビ局。この準レギュラーの共演陣が、仕事のできるいい役者が勢揃いです。
まず、スポンサー、上層部などに挟まれて苦労しながらも、自己保身は怠らない部長が中条静夫。「困っちゃうんだよなー」というセリフでブレイクしました。
部下の局長が矢田稔。部長と犬猿の仲のプロデューサーが俳優時代の蜷川幸雄。
ディレクターが穂積隆信、柳生博、北浦昭義。ADが矢崎滋、樋浦勉など。
かもめたちとメディアを結ぶマスコミ陣は、田口計、小野武彦。
かもめ座と袂を分かった役者が宮口精二、香山美子、織本順吉。マネージャーが黒柳徹子。
淡島千景と旧知の女優が月丘夢路、久慈あさみ。
豪華ですよね。
ストーリーは、毎回芸能界の裏エピソードで、とてもこの1記事ではすべてをご紹介しきれないので、個々の話はまた機会を見て書いてみたいと思います。
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『6羽のかもめ』の見どころは、箇条書きにしてもずいぶんあります。
ストーリー構成が、何か似ているなあと思ったら、このドラマの前年に放送された『ぶらり信兵衛 道場破り』(1973年10月4日~1974年9月26日、東映/フジテレビ)や、翌年に放送された『前略おふくろ様』(1975年10月17日~1976年4月9日、1976年10月15日~1977年4月1日、日本テレビ)と同じなんですね。
まさに倉本聰の世界なのです。
ちょっとしたことで人の気持ちが動いて事態がガラッと変わったり、セリフも、陰口やうわさ話をヒソヒソ声でするシーンがやたら多い。
人間の矮小さ、ずるさ、こっけいさを、デフォルメして描いているのです。
ドタバタやギャグではなく、人間の生き様そのものを「しょうがねえなあ」と笑っているのです。
キャッチコピーが「悲しいコメディ」というのもうなずけます。
これまで拝見したところ、関連ブログにはまだ書かれていないようですが、第25話で、中条静夫部長が、ヒロインの犬山モエ子を幽霊でドラマに出演させようと提案しています。
これは、実は倉本聰の次回作の構想でした。
同じ時間帯で、4ヵ月後に『あなただけ今晩は』(1975年7月26日~1975年9月27日)というドラマが放送されましたが、主演の若尾文子が全話幽霊として登場。夫の藤田まことが心配で降臨するのです。
そして、義兄の中条静夫だけが見えるという設定でした。
大映時代はあり得なかった、若尾文子と中条静夫の2枚看板というドラマの作り方は、ああ、テレビは映画とは違う新たな価値観のもとに作られているんだなあ、ということを思わせるものでした。
中条静夫は、この2作品で、主演をはれる俳優になりました。
『6羽のかもめ』は、映画の専属制や格付けを認識されてから鑑賞すると、いちだんと味わい深いドラマだと思います。
伝統ある名門のはずだったかもめ座は、女王・犬山モエ子(淡島千景)の専横的な振る舞いに次々分裂。
やっと劇団所有のビル(稽古場と団員の住む住居)ができたときは、役者が2人(高橋英樹、夏純子)、脚本家が1人(長門裕之)、元悪役の役者で今はマネージャー(加東大介)、研究生(栗田ひろみ)の6人になってしまいました。
彼らは、ビルの下にある喫茶店にいつもたむろしています。
そこのマスターがディック・ミネ。役者たちの話にまじり、言葉尻を引き取って、それに因んだ過去の女性の話をして話を台無しにします。
彼らの仕事場はテレビ局。この準レギュラーの共演陣が、仕事のできるいい役者が勢揃いです。
まず、スポンサー、上層部などに挟まれて苦労しながらも、自己保身は怠らない部長が中条静夫。「困っちゃうんだよなー」というセリフでブレイクしました。
部下の局長が矢田稔。部長と犬猿の仲のプロデューサーが俳優時代の蜷川幸雄。
ディレクターが穂積隆信、柳生博、北浦昭義。ADが矢崎滋、樋浦勉など。
かもめたちとメディアを結ぶマスコミ陣は、田口計、小野武彦。
かもめ座と袂を分かった役者が宮口精二、香山美子、織本順吉。マネージャーが黒柳徹子。
淡島千景と旧知の女優が月丘夢路、久慈あさみ。
豪華ですよね。
ストーリーは、毎回芸能界の裏エピソードで、とてもこの1記事ではすべてをご紹介しきれないので、個々の話はまた機会を見て書いてみたいと思います。
全体の見どころ
『6羽のかもめ』の見どころは、箇条書きにしてもずいぶんあります。
芸能界の舞台裏を描いた
高橋英樹がテレビドラマ現代劇初主演。
マキノ一家の加東大介と長門裕之の共演
加東大介の遺作(撮影中に結腸がんが発覚。余命宣告も出されていたので降板せずつとめあげた)
本来なら共演するはずがない、別の映画会社出身や劇団の役者が揃い、時代が映画からテレビにうつることを象徴的に示した
大映の大部屋役者だった中条静夫がブレイクした
倉本聰ワールド全開
ストーリー構成が、何か似ているなあと思ったら、このドラマの前年に放送された『ぶらり信兵衛 道場破り』(1973年10月4日~1974年9月26日、東映/フジテレビ)や、翌年に放送された『前略おふくろ様』(1975年10月17日~1976年4月9日、1976年10月15日~1977年4月1日、日本テレビ)と同じなんですね。
まさに倉本聰の世界なのです。
ちょっとしたことで人の気持ちが動いて事態がガラッと変わったり、セリフも、陰口やうわさ話をヒソヒソ声でするシーンがやたら多い。
人間の矮小さ、ずるさ、こっけいさを、デフォルメして描いているのです。
ドタバタやギャグではなく、人間の生き様そのものを「しょうがねえなあ」と笑っているのです。
キャッチコピーが「悲しいコメディ」というのもうなずけます。
若尾文子主演の次回作も予告
これまで拝見したところ、関連ブログにはまだ書かれていないようですが、第25話で、中条静夫部長が、ヒロインの犬山モエ子を幽霊でドラマに出演させようと提案しています。
これは、実は倉本聰の次回作の構想でした。
同じ時間帯で、4ヵ月後に『あなただけ今晩は』(1975年7月26日~1975年9月27日)というドラマが放送されましたが、主演の若尾文子が全話幽霊として登場。夫の藤田まことが心配で降臨するのです。
そして、義兄の中条静夫だけが見えるという設定でした。
大映時代はあり得なかった、若尾文子と中条静夫の2枚看板というドラマの作り方は、ああ、テレビは映画とは違う新たな価値観のもとに作られているんだなあ、ということを思わせるものでした。
中条静夫は、この2作品で、主演をはれる俳優になりました。
『6羽のかもめ』は、映画の専属制や格付けを認識されてから鑑賞すると、いちだんと味わい深いドラマだと思います。
2015-03-08 00:32
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