道下美里選手(中途視覚障害)が、リオデジャネイロパラリンピック女子マラソンで銀メダルを獲得したと今日未明のニュースが報じました。このブログでは、以前『いっしょに走ろう』(芸術新聞社)という道下美里選手の人生の歩みを書き留めた書籍について書きましたが、改めて今回ご紹介したいと思います。(上画像はGoogle検索画面より)
パラリンピックの「女子マラソン」というと、車椅子マラソンがあり、土田和歌子選手が4位だったことが報じられましたが、今大会はもうひとつ、視覚障害者部門も正式種目になりました。
そこで道下美里選手は、3時間6分52秒のタイムで銀メダルを獲得しました。
Yomiuriオンラインより
道下美里選手は、レースをこう振り返っています。
「伴走の方のサポートで最高の力を発揮できました。頭の中にコースの図面を描いて方向を確認していたので、初めて走るようなコースには思えず、不安も全くありませんでした」(NHKニュースより)
道下美里選手については、以前書籍をご紹介しました。
⇒
『いっしょに走ろう』中途視覚障がいから“人生を生還”させた
道下美里さんは、小学校4年の時に目の異変に気づき、中学2年で右目の視力を失いました。
短大を卒業後の25歳で、左目にも右目と同じ症状が出たため職場は退社。
現在左目もほとんど見えないそうです。
遺伝子の検査で判明した病名は、膠様滴状角膜ジストロフィーという難病でした。
視覚障害の支援学校に入学後、ダイエットがきっかけになった放課後のランニングから、視覚障がい者マラソンランナーとしての歩みが始まったといいます。
2014年のIPCマラソンワールドカップ(ロンドンマラソン)で銀メダル、2015年のIPCマラソン世界選手権(ロンドンマラソン)では銅メダルを獲得しました。
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まずは自分のできることをがんばろう、話はそれからだ
さて、こうした障がい者の活躍に対して、障がい者の親御さんは、大きく分けると2通りの反応があります。
ひとつは、素直に朗報として受け止め、自分(の家族)への励みとする方。
まあこちらが多数派ですが。
もうひとつは、道下美里さんは確かに快挙だけれども、それは
たまたまマラソンと巡り合ったからであり、そして天賦の才があったからであり、大半の「普通の障害者」がそうなれるわけではないから、それをもって「障がい者でもできる」と過剰な期待をもたれるようなことがあると困る、と“困惑する”意見です。
障がい者の親御さんのコミュニティでは、アインシュタインや黒柳徹子らも発達障害だ、という話ですら、「障がい者の過大な評価につながる」として、親御さんによっては眉をひそめられる話題になっているほどです。
たしかに、障がい者がマラソンをして、みんながパラリンピックで活躍できるわけではありません。
ただし、道下美里さんにとって、マラソンとの出会いは「たまたま」で片付けるものではなく、ご本人の生き様から必然的に獲得したものなのです。
道下美里さんは、視覚障害者になってから、前向きに生きる学友たちにびっくりし、そして励まされ、自分もそうあろうと考えたそうです。
そして、健常者の時にはチャレンジしなかった、スキューバダイビング、サマーキャンプ、NHKののど自慢(華原朋美の歌を歌う)、弁論大会などにチャレンジするなど「前向きに生きる」ようになり、だからこそマラソンとも出会えたのです。
もちろん、今回の銀メダル獲得は、“天賦の才”があろうがなかろうがご本人の努力のたまものです。
昨日の、橋本圭司医師の話につながりますが、
⇒
橋本圭司医師(高次脳機能障害リハビリ)脳損傷逆手にとる人生を
Google検索画面より
道下美里さんは、橋本圭司医師言うところの、「
健常者と同じになろうとするのではなく、自分の『できる』『得意』を知って伸ばせばそれでいい」という生き方の、モデルといっていいのではないかと思います。
障がい者であってもなくても、道下美里さんの生き方を知ることで、
まずはとにかくなんでも前向きに頑張ってみよう、話はそれからだ、という気になりませんか。
いずれにしても、道下美里選手のオリンピック初出場、銀メダル獲得を心よりお祝い申し上げたいと思います。
それにしても、もう少しパラリンピックがメディアでとり上げられても良かったような気がしますね。
いっしょに走ろう
- 作者: 道下美里
- 出版社/メーカー: 芸術新聞社
- 発売日: 2015/06/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
パラリンピック、オリンピックと比肩するぐらいに日本の活躍があったのに、民放ではニュース番組でも扱う時間がそれほどなかったように思います…
by ナベちはる (2016-09-20 00:08)
スポーツに限らず、どんな人でもどん欲に模索している中で、「自分の道」を見つけられるものでしょうね。昨日のお記事の馬場のエピソードもそうですが、ハンディと感じていたことが強みになることも人生の中ではあり得ます。猪木が大きな顎に強い劣等感を持っていたことも思い出しました。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2016-09-20 00:18)
フルマラソン走るだけでもすごいのにオリンピックでメダルまで取るなんで凄すぎです。
by yamatonosuke (2016-09-20 00:33)
つくづく思うのは、障害者の皆さんの強さです。絶望感に屈しない精神力です。少しくらいうまくいかなくても、くじけない根性を見習いたい。それと、パラリンピックをやってからオリンピックをやるということで、パラリンピックにもっと光が当たるという意見に賛成です。
by レインボーゴブリンズ (2016-09-20 00:44)
パラリンピックでは障害のある方たちが
活躍なさいましたね。
by toshi (2016-09-20 04:53)
パラリンピックもたくさんのメダルでしたね。
by pandan (2016-09-20 05:46)
メダルも勿論ですが、何を成し遂げる姿が美しいですね。
by mistta (2016-09-20 06:14)
向き不向きより前向きに、と失業中にラジオから垣花アナが言った時、再就職へ加速したのを思い出しました。
兎にも角にも前を見ない事には始まらないんですよね。
by pn (2016-09-20 06:24)
おはようございます。
障害を乗り越えて頑張っていますね。
by 馬爺 (2016-09-20 06:53)
おはようございます!
記事へのコメントでなくすみません。
京急電車は1編成だと思いますがラッピングしていますよ。
今はリラックマですが、半年、1年で変わっているようです。
by Take-Zee (2016-09-20 06:58)
ニュースで彼女の銅メダルを知りました。
本当に素晴らしい!
健常者こそ「まずはとにかくなんでも前向きに頑張ってみよう、話はそれからだ」の気持ちが必要かもしれませんね。
頭が下がる思いです。
by Rinko (2016-09-20 08:42)
道下選手の画像が、みんなすごい笑顔ですね。(最初、クルム伊達選手の若い頃かと思いました~)
こんな素敵な笑顔で笑える人には、なかなかお目にかかれないと思います。
パラリンピックですが、中国のメダル数に驚愕しています。(競技数が多いせいでもありますが)
by えくりぷす (2016-09-20 09:00)
道下美里さんは前向きで銀メダルとは頑張りましたね。
目が見えなくなっても自分の生き方を探し当てていくのは容易でないでしょうけど頑張り屋さんですね。
by 旅爺さん (2016-09-20 09:08)
パラリンピックを見ていると、私は何をやっているんだともっともっと頑張らないとと反省させられます。
それにしても、オリンピックとパラリンピックの放送枠の差があり過ぎますね~
by たくや (2016-09-20 09:41)
私も身体障害者の一人ですが
パラリンピックの多種の種目を再確認しましたが
国を代表して参加された人たちに感激でした。
素晴らしい気力と体力には
驚きを感じずにはいられず目に涙が浮かびました。
by makkun (2016-09-20 10:30)
ありがとうございます。
紫陽花の花は狂い咲かもね。
by ryuyokaonhachioj (2016-09-20 11:26)
銀メダル素晴らしいですね
途中から目が見えなくなるのは恐怖だと思います
そんななか、チャレンジ精神を失わずにすごいです
by tachi (2016-09-20 13:45)
こんばんは。
コメントありがとうございました。
パラリンピックも凄いメダル獲得だったですね。
by cyoko1112 (2016-09-20 18:35)
私の知り合いにも視覚障害の方がいらっしゃいますが、
とても明るい性格で前向きで、拙宅よりいい音で
オーディオがなっています。
また、別のもうお一方は、NPO法人の会長さんで、
めちゃくちゃ記憶力が良い方で、
びっくりするほどです。
お二方とも、健常者よりも抜きにでた力を発揮されてて、
人としてとても尊敬しています。
by ハンコック (2016-09-20 20:58)
こんばんは
パラリンピック 一度も見なかったです(泣)
by さゆりんご (2016-09-20 22:52)
男子の視覚障害者マラソンは、
健常者よりタイムが速いという報道もありますね。
by うつ夫 (2016-09-21 01:01)