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『隠密同心 大江戸捜査網』松方弘樹、中村竹弥、瑳川哲朗 [懐かし映画・ドラマ]

隠密同心 大江戸捜査網

『隠密同心 大江戸捜査網』(1979年、東京12チャンネル=現テレビ東京/東宝)を観ました。テレビ東京で毎週土曜日夜9時から放送されていた人気時代劇の映画版です。三船プロ制作ですが、総帥の三船敏郎も松平定信役で出演しています。松方弘樹ほか、中村竹弥、瑳川哲朗、土田早苗、かたせ梨乃など、第3シリーズの隠密同心メンバーが総出演です。(画像は劇中より)



大江戸捜査網』というと、内容もさることながら、玉木宏樹作曲によるオープニング・テーマ曲が今も高く評価されています。

緊張感と軽快さで「つかみはOK」。

Youtubeで聴いていただければ「なるほど」と思われることでしょう。

歌手出身で日活の中堅俳優だった杉良太郎が、時代劇のスターとしてブレイクしたドラマです。

そして、日産の単独提供でした。

昔のテレビ番組は、1社が責任を持つ単独提供で、番組を長い目で見て名番組に育てたとよくいわれます。

ナショナル(現パナソニック)の『水戸黄門』。
東芝の『東芝日曜劇場』や『サザエさん』
不二家の藤子不二雄アニメ(怪物くん、パーマンなど)。
ロート製薬のバラエティ番組(底抜け脱線ゲーム、お笑い頭の体操、クイズダービーなど)
ブラザー工業のブラザー劇場(コメットさん、刑事くんなど)
サントリーの金9ドラマ(ザ・ガードマン、赤いシリーズなど)

大江戸捜査網も、途中で制作会社が日活から三船プロに変わりながら、日産が一貫してスポンサードして15年続きました。

日活→三船プロですから、京都太秦ではなく、東京制作の時代劇です。

「隠密同心」といいますが、オフィシャルな同心ではありません。

江戸時代中期の大名・松平定信が極秘に作ったグループで、メンバーは普段は町人として生活しているものの、いざ事件が起こると、松平定信の命を受けた無役の旗本、「御前」こと内藤勘解由が招集し、指揮します。

そして、番組は、毎回隠密同心の心得をナレーション

我が命我が物と思わず、武門の儀、あくまで陰にて、己の器量伏し、御下命いかにても果たすべし
なお、死して屍拾う者なし!死して屍拾う者なし!


命を受けたら命がけで職務を全うせよ。
相手を殺るのは構わないが、自らの命を落としてもそれまでのこと

という意味ですね。

内藤勘解由は、第1、2シリーズは中村竹弥、第3シリーズの途中から大山克巳。

メンバーの中心が、第1シリーズは杉良太郎、第2シリーズは里見浩太朗、第3シリーズは松方弘樹

メンバーはシリーズごとに若干入れ替わりはありますが、男性陣は一貫して瑳川哲朗、女性陣はシリーズごとに梶芽衣子岡田可愛、安田道代、江崎英子、かたせ梨乃、土田早苗、古城都、山口いづみらが登場。

内藤勘解由を含めて5~6人の組織です。

テレビドラマの前置きが長くなりましたが、本作は、そのドラマの映画化で、ドラマの第3シリーズ放送時に、400回突破記念、テレビ東京(当時は東京12チャンネル)の15周年記念映画と銘打たれ、東宝配給で上映されました。

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本物のご落胤をニセモノと思わせる筋書き


松平定信(三船敏郎)の邸には、将軍の亡くなったはずのご落胤という徳川信吾(大和田獏)が姿を現し、6日以内に将軍と対面させよと要求してきました。

松平定信(三船敏郎)は将軍に関することを断ることはできません。

しかし、偽物なら松平定信(三船敏郎)は引責(切腹)。そこで定信は隠密に調査を依頼します。

その結果、背後には、将軍家で権勢をふるっていた鳴神鉄山(芦田伸介)、浪人・稲村重兵衛(青木義朗)、隠密同心・清次郎(松方弘樹)の道場のライバルだった天馬八郎太(伊吹吾郎)らがいることを知り、信吾(大和田獏)は定信(三船敏郎)失脚のための偽物であると考えます。

定信(三船敏郎)の判断は、対面は許可するが、その途中で信吾(大和田獏)を斬れば、暴漢に襲われたことにして自分のメンツも守られ、将軍にも対面させずに済むと考えます。

しかし、清次郎(松方弘樹)は、信吾(大和田獏)の素朴な人柄を知ったり、逆にあまりにも偽物らしき情況証拠が揃いすぎていることに疑問を持ったりし、ギリギリまでそれは待って欲しいと御前(中村竹弥)に頼みます。

井坂十蔵(瑳川哲朗)らが調べた結果、信吾(大和田獏)は実は本物のご落胤で、鉄山(芦田伸介)が、この日のためにさらって小牧村の農民に育てさせたものでした。

定信(三船敏郎)や隠密たちに、信吾(大和田獏)を偽物と思わせ、斬らせれば、全員切腹。

自分が老中として返り咲けると考えた、手の込んだ絵図を描いていたのです。

もちろん、最後は隠密同心が悪をすべて退治します。

ただ、残念だったのは、オープニングに、テレビドラマのオープニング・テーマ曲が使われなかったことです。

あれがなくて、どうして大江戸捜査網なの? と思いましたが、権利の問題でいろいろあるのでしょう。

指揮官である内藤勘解由役・中村竹弥の、絶妙な間合いと表情を見せてくるチャンバラシーンもありません。

テレビドラマ版の2つのセールスポイントが、入っていない映画版。

タイトルも「隠密同心 大江戸捜査網」となっていて、あくまで「隠密同心」が先にきていますから、登場人物と設定はドラマのままでも、テレビドラマのスピンオフ編、もしくは外伝といったところではないでしょうか。

テレビドラマの全編DVD化も楽しみに待ちたいと思います。

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