ミッツ・マングローブが、「実は私、学習障害なの」と告白したことが話題になっています。私が最も興味深かったのは、その真偽よりも、発達障害に対するネット民の理解度、それと発達障害の子を持つ親御さんの反応です。私の情報は一面を見ているだけかもしれませんが、ひとつの真実ではないかと思うのでご紹介します。(上画像はFacebookタイムランより)
ミッツ・マングローブが、1月10日から公演中のミュージカル『DNAーSHARAKU』で、本番約1か月前に仕上がり具合を聞かれた時に、こう答えたといいます。
「量は全然多くないけど、セリフが覚えられないんです。ちょっと記憶の回路がおかしくて。実は私、学習障害なの」
いつものように、Yahoo!ニュースはすぐにリンク切れとなるので、まとめサイトをご紹介します。
ミッツ・マングローブ告白「実は私、学習障害なの」
http://geinougazou.doorblog.jp/archives/51464866.html
ミッツ・マングローブが、医学的に「学習障害(ディスレクシア)」と診断されたのか、それとも自称か、それはわかりません。
ただ、どちらであっても、それに対する人々の反応は、真実を表していると思いました。
上記のまとめサイトのコメントを確認していただければわかりますが、
「
それでも慶應(大学)を出ている」という趣旨のコメントが、半分以上連なっています。
この反応でわかることは、
1.発達障害と学歴をリンクさせる誤認が根強い
2.学歴を基準に、人生や人間を考えてしまう大衆の学歴コンプレックスが露呈した
ということです。
上記まとめサイトの24番目のコメントに、「発達障害と学歴は関係ないよw東大出のアスペルガーとかいるし」と書かれていますが、まさにそのとおりなのです。
別の表現をすれば、
発達障害なら高学歴のはずがない、と考えることは偏見です。
発達障害とは、能力の発達が定型的でなく、凸凹のある場合をいいます。
凹は、「知能」、ましてや入学試験のための「試験脳」とは限りません。
ミッツ・マングローブが、医学的にそうであるかどうかは別として、普通学級の決して成績が悪く無い生徒・児童の中に、自分は発達障害と自覚していない「学習障害」の人がいても、全く不思議はありません。
たとえば、一部の自閉症児は、物事を順序良く綿密に行うことをよしとする所見がありますから、まだまだ暗記トレーニングが主要な能力とされる現在の学校教育では、むしろ驚異的な成績を残す場合もありえます。
イチロー、中村俊輔、落合博満、眞鍋かをり、山口達也、草なぎ剛、YOU、GACKTなどは、アスペルガー症候群の有名人としてしばしば取り沙汰されます。
スティーブン・スピルバーグ監督は、アスペルガー症候群の診断を受けたことや、学習障害だったことを明かしています。
ほかにも、理論物理学者のアルベルト・アインシュタイン、イタリアの芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ、日本の織田信長もアスペルガー症候群だったと考えられているそうです。
発達障害で素晴らしい才能を持っている人は、いくらでも枚挙できます。
スポンサードリンク↓
タレントが語ることは有り難い
それはともかく、上記のまとめサイトのコメントの一部には、ミッツ・マングローブを、「LD(学習障害)商法か」と唾棄するものもあります。
そのコメント者が、LD(学習障害)のことをどれぐらいわかって書いているのかはともかくとして、実際にLD(学習障害)のお子さんをもつ親が、そのような感想を持つことは不思議ではありません。
最近、芸能界に流行してますよね。
過去の病気や、めぐまれない出自を売り物にすることが。
「パニック障害でした」「子供の頃貧乏でした」「親に暴力ふるわれて育ちました」……etc
一般の人で、その当事者からすると、タレントたちがそれを商売に使っていることに対して、ともすれば不快感を抱くのではないかな、なんて思ったのですが、必ずしもそうではない、ということにも気づきました。
私が参加しているFacebookのあるグループでも、ミッツ・マングローブのニュースが話題になったのですが、こんな感想を述べる人がいました。
こういう
芸能界で成功してる人が
「実は私、学習障害なの」
って言ってくれると
障害者の親として
有り難い
ただ私は
表に出なくても
日々淡々と
コツコツ生きてる
障害者を知ってるから
まぁ、知らない人に
説明するのにいいわなぁ~
なんて正直思ったりして(以下略)
LD(学習障害)商法だったとしても、「そういう障害があるんですよ」ということをパブリシティすること自体、当事者としては「有り難い」というのです。
まあ、残念ですが私たちは、テレビに出てるから偉い、本に書いてあることは正しい、と、権威や流行に弱いところがありますから、有名人に語ってもらうことは、タレントに意図や自覚にかかわらず、上記コメントに書かれているような効果はあるのかもしれません。
つまり、それほど、現時点では発達障害についての巷間の理解が足りない、ということでもあるんですけどね。
【発達障害関連記事】
⇒
『発達障害の子の脳を育てる運動あそび』自立できる力をつける
⇒
『まさか発達障害だったなんて』生活に採り入れたい9つの工夫
⇒
発達障害と支援学級・支援学校児童・生徒の増加
⇒
「腸内フローラ」サプリメントで自閉症や糖尿病は予防できる?
⇒
『「頭のよさ」は遺伝子で決まる!?』結局“天才”も障がいも個性か
⇒
精神障害者保健福祉手帳問題から障害者福祉を考える
⇒
『母親やめてもいいですか』発達障害の娘を愛せない母親は不倫に逃避
⇒
『図解 よくわかるADHD』発達障害の理解とは?

発達障害の自分の育て方
- 作者: 岩本 友規
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2015/12/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
Facebook コメント