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三国連太郎の祥月命日に『にっぽん泥棒物語』などを振り返る [懐かし映画・ドラマ]

三国連太郎の祥月命日に『にっぽん泥棒物語』などを振り返る

今日は三国連太郎さん(1923年1月20日~2013年4月14日)の祥月命日。数々の実績と伝説で語られる俳優だったことで、Facebookでも改めてその出演作品を振り返っていました。今日は生前の伝説や、『にっぽん泥棒物語』『釣りバカ日誌』など振り返りましょう。



三國連太郎は、自分の母が奉公先であった実父の一家から追い出され、その後お腹の中の自分ごと引き取ってくれた養父が、被差別部落出身という「ほしのもと」であることを自ら打ち明けています。

私生活では4度の結婚を経験。

3番目の妻との闇に俳優の佐藤浩市をもうけるも、不仲な時代が続き、1996年の『美味しんぼ』で、やっと本格的な親子共演に至りました。

ひとたび役者のスイッチが入れば、周囲も近寄り難いオーラを漂わせた「凄い役者」になることでも知られていました。

有名なものでは、『異母兄弟』(1957年)で30代ながら老人の役を演じるため麻酔なしで10本の歯を抜いた、萩原健一との暴行シーンでは本気で殴らせた、逆に自分が暴力をふるうシーンでは、平手打ちで有馬稲子の鼓膜を破った、濡れ場は前張りなしで臨み“生挿入”を試みることから、岡田茉莉子が我慢できず、「この人、本気です!」と涙ながらに撮影中止を求めたなど。

結婚に至らなかった交際では、当時19歳の太地喜和子が有名です。

3か月間の同棲に終わりましたが、後に「あなたの体にひれ伏すのが嫌だった。のめり込む危険を避けたかった」と、太地喜和子本人との対談で話しています。

過去の出演作品は、いろいろありますが、以前ご紹介した『にっぽん泥棒物語』(1965年、東映)を挙げましょう。

にっぽん泥棒物語

山本薩夫監督ですが、創作娯楽映画として松川事件を扱っています。

松川事件を娯楽映画に


土蔵に穴を開けて品物をリレーで運び出し、現金に代える“破蔵師”林田義助(三國連太郎)は、保釈中に“仕事”に失敗して線路伝いに逃げたとき、9人の大男とすれちがいました。

夜が明け、駅付近で列車転覆事件(松川事件)が起ったことを知ります。

犯人はその9人の大男らしい。

懲役4年の判決を受けた義助(三國連太郎)は、福島刑務所で、列車転覆事件で収監された木村(鈴木瑞穂)ら3人と知り合います。

義助(三國連太郎)は、彼らが自分の見た大男たちとは違うので、松川事件が冤罪であると気づきます。

義助(三國連太郎)は出所後、命を助けた縁で、高橋はな(佐久間良子)と結婚して落ち着いていましたが、旧知の安東警部補(伊藤雄之助)に、居所を突き止められてしまいます。

義助(三國連太郎)の目撃は、犯人を共産党員の3人とする為政者・警察・検察にとって具合がわるいので、安東警部補(伊藤雄之助)は、もし本当のことを法廷で話したら、女房に“破蔵師”であることを話すと恫喝します。

一方、木村(鈴木瑞穂)らの弁護士(加藤嘉、千葉真一)や、彼らを応援する新聞記者(室田日出男)は、義助(三國連太郎)に、裁判で証言してほしいと何度も頼みます。

安東警部補(伊藤雄之助)に脅されて、それを断ってきた義助(三國連太郎)ですが、木村(鈴木瑞穂)と再会し、木村の息子を見ているうちに、やはり証言しようという気になります。

東北高等裁判所で、検事(加藤武)は、証言の信憑性をイメージ的に損ねようと、彼が破蔵師であることを根掘り葉掘り質問するのですが、義助(三國連太郎)の説明がユーモラスで法廷は笑いの渦に。

にっぽん泥棒物語

それでいて、家族の話になると、シンミリさせて、もう法廷はすっかり義助(三國連太郎)の一人舞台。

裁判官(永井智雄)は、義助の証言を全面的に採用し、全員無罪となります。

閉廷して、はな(佐久間良子)や、木村(鈴木瑞穂)らが、義助(三國連太郎)にかけよるシーンは感動的です。

創作娯楽映画にはなっていますが、当時からフレームアップの疑いが濃い事件でしたので、映画という形で「真実」を表現したかったのかもしれません。

なお、実際の松川事件も、被告人は全員無罪になっています。

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陰翳に富む喜劇


もうひとつは、昨年もこのブログでご紹介した『釣りバカ日誌』です。

釣りバカ日誌6
『釣りバカ日誌6』より

邦画の喜劇など興味がない、というご意見もありますが、私は根本的に見方が違います。

喜劇の体裁ですが、少なくとも私には、ぐっと胸が詰まるシーンもありました。

実生活で親の縁が薄い西田敏行と三國連太郎、養護施設の生活を経験している石田えりという3人による、演技を超えた人生の影のようなものが、作品に深みをもたせたと感じたからです。

「ほしのもと」。本人にはどうにもならないことですが、陰翳に富む演技としてそれが反映することもあるんだなあと思いました。

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コメント 19

pn

やっぱ若い頃の写真はせがれに似てますね、せがれが似てるのか(^_^;)
by pn (2018-04-14 23:39) 

アールグレイ

三国廉太郎さん、個性的な良い役者さんでしたよね。
釣りバカ日誌の役を一番、見ています。
息子さんの佐藤浩市さんも、さすが血筋だなと感じ入る味のある俳優さんですね^^
by アールグレイ (2018-04-14 23:49) 

ナベちはる

三國連太郎さん、もう没後5年なんですね。
「釣りバカ日誌」の印象しかないのですが、いろいろな伝説があったのですね。
by ナベちはる (2018-04-15 00:19) 

うつ夫

お孫さんも俳優でしたね。
by うつ夫 (2018-04-15 00:46) 

yamatonosuke

三國連太郎さんは釣りバカ日誌でしか知りませんが、
人情味のある演技が好きでした。
by yamatonosuke (2018-04-15 00:55) 

犬眉母

赤いシリーズの百恵ちゃんのお父さん役でしたね。
by 犬眉母 (2018-04-15 00:56) 

末尾ルコ(アルベール)

三国連太郎の祥月命日に『にっぽん泥棒物語』などを振り返る・・・ちょうどBSで『釣りバカ日誌』を放送しておりまして、わたしとしては初鑑賞で愉しんでおります。三國連太郎出演映画がある程度観てりますが、なにせ「出演映画180本以上」ですから、まだまだ山ほど鑑賞したい作品があります。
ただ、初めて「三國連太郎」を認識したのはテレビドラマの『赤い運命』だったと思います。三國のキャリアを考えれば、大きな作品ではなかったわけですが、それでも「怪物俳優」ぶりは強烈に伝わってきました。それにしても「10本の歯を抜いた」というのは凄まじいですね。役のために歯を抜いた俳優は他にもおりますが、そこまでというのはなかなか・・・。世界的に見れば、ロバート・デ・ニーロが映画『レイジング・ブル』で驚くべき肉体改造の姿を見せて以来、「映像俳優の肉体改造」は現在までずっと大きな潮流となっておりますが、わたしはその流れの支持者です。ただ前提として、「そもそも演技力が十分以上にあること」と「作品に肉体改造するだけの価値があること」が必要だと思っておりまして、最近の一部日本人俳優のように、「どんな作品の中でも、取り敢えず太ったり痩せたるしてみる」という風潮には批判的です。
それはさて置き、三國出演作品、鑑賞したいものはいっぱいあります。『にっぽん泥棒物語』も未見ですので、ぜひ観てみたいですね。昭和史物も大好きですし。

>邦画の喜劇など興味がない

おそらく映画の価値を根本的に理解できてない方なのでしょうね。しかもそんなことをわざわざコメントで書くという、ちょっと信じ難い所業です。
今月はWOWOWで、『男はつらいよ』以外の渥美清出演映画を放送するので、とても愉しみにしています。

わたしついBOOK OFFに足を運んでしまう習慣があるんです。思いもしない掘り出し物があったりするんですよね、しかも108円で。著者の方などにはつくづく申し訳ない気持ちでいっぱいになりますが、(今ここで買わなければ、生涯読むことはないだろう)という出会いもけっこうあります。
図書館も定期的に通っておりまして、だいたい10冊以上借りるものですから、わたしもほとんど読まずに返してしまう本がどうしても出てきます。でも(せっかく行って、1冊、2冊ではもったいない)とセコい考えが基本にありまして、原則10冊前後という路線はなかなか変わりません。
図書館だと、原価ではなかなか手の出ない高価な写真集や画集などもよく借りています。運ぶときに重いですけれど(笑)。最寄りの図書館にはプロレス本はほとんどないです。あればとても重宝するのですが、そもそも高知の図書館は書籍の数が都市部の図書館とは比較になりません。そう言えば、この夏から市民図書館と県立図書館を合併させ、さらに多機能なカルチャー施設という名目で『オーテピア』と命名された新図書館がオープンしますが、どのくらいのレベルですことやら。サブカル本なんかもほとんど置いてないですし、かと言って、専門的な書籍がずらり、なんてこともありません。いかにも中途半端な地方都市の図書館というところです。

>読む速度も遅くなっているのかもしれません。

わたしもそんな感覚があったのですが、ブログ記事にも書きましたように、この半年くらいで(笑)また復活してきた感があります。読むタイミングとか、いかに集中するかとか、いろいろ工夫をしてやっています。やはり一冊一冊の本をしっかり読めると爽快感はあります。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-04-15 01:02) 

☆ミルキーウェイ☆

「釣りバカ日誌」のスーさん、良い役柄で好きでした。
でも、三國連太郎さんで一番印象に残ってるのは、日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞で前年に受賞された佐藤浩市さんからトロフィーを送られて嬉しそうな顔をされていた所です。
若い頃は、様々な逸話があったんですね^^
by ☆ミルキーウェイ☆ (2018-04-15 02:37) 

なかちゃん

そんな山あり谷ありの人生とは知りませんでした。
『釣りバカ日誌』はボクの大好きな『男はつらいよ』と同時上映で始まったので、第1作から観てました。
ただ、奥さま役が石田えりから浅田美代子に変わったのは残念でした(^^;

by なかちゃん (2018-04-15 05:40) 

green_blue_sky

三國さんの人生、いろいろですね。
釣りバカ日誌でイメージが一変しました(^_^;)
by green_blue_sky (2018-04-15 06:44) 

kou

美味しんぼで親子共演したのが印象的でした。
by kou (2018-04-15 07:13) 

KOME

復習するは我にありでも出られていたかな(?)。
本物の悪そうなオヤジのように見えました。
by KOME (2018-04-15 08:55) 

チャー

晩年は スーさんの穏やかなイメージがありますが、激しい嵐のような役者さんのイメージがあるあります
by チャー (2018-04-15 09:44) 

JUNKO

うまい俳優さんという感じです。釣りバカ日誌などはよく見ますが、スーさんのイメージはこれまでと違うものでしたから、一層うまい役者さんだと感じます。
by JUNKO (2018-04-15 11:34) 

nikki

三国連太郎さん若いころは破天荒だったのですね。
by nikki (2018-04-15 11:34) 

JR浜松

若い頃の三國さんって、釣りバカのイメージと違うんですね。釣りバカシリーズでは、魚が嫌いなのに頑張って演技していたとか聞いた事があります。
by JR浜松 (2018-04-15 17:38) 

k-sakamama

こんばんは。
良い役者さんでしたね。個性的で。。
ちょっと恐いイメージがありましたが、
釣りバカからは、イメージが変わりました。


by k-sakamama (2018-04-15 19:27) 

ヤマカゼ

釣りバカ日誌みてました。西田さんと妙にはまった役柄でしたね。
by ヤマカゼ (2018-04-15 20:07) 

U3

わたしは住井すゑ原作の「橋のない川」の映画に出演した伊藤雄之助に強烈な印象を受けまして、その後,三國連太郎を知るに及んで、その個性の類似性に驚いた記憶があります。
by U3 (2018-04-15 22:54) 

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