『真面目な人は長生きする』80年間の研究が定説を覆すか!? [健康]
『真面目な人は長生きする』(岡田尊司著、幻冬舎)という書籍を読みました。健康のためには、やれ、運動しろ、糖分や脂肪分を摂り過ぎるな、腹八分目にしろ、タバコを吸うな、酒を程々にしろ、ストレスをためるな、なんていうことがいわれてきました。しかし、同書は、若い頃の健康でも食べ物でも運動でもなく、「重要なのは性格であり、生き方」だと述べています。

『真面目な人は長生きする』には、「八十年にわたる寿命研究が解き明かす驚愕の真実」というサブタイトルがついています。
「寿命研究」は、スタンフォード大学のルイス・ターマン教授が1921年、当時10歳前後の児童1528人を対象に、5~10年おきにインタビューする研究から始まりました。
途中でターマン教授は亡くなりましたが、以後はカリフォルニア大学リバーサイド校特別教授のハワード・S・フリードマン博士が調査を継続しました。
そして、足掛け80年間の研究考察を、『The Longevity Project(長寿計画)』という一般読者向けの医学啓蒙書で上梓。
そこには、人が長く健康で生きられることには、個人の性格や社会生活などが密接に関係しているという研究結果を示しています。
具体的には、真面目な人が長生きするということになっています。

たとえば、勤勉、倹約家、慎重、誠実等々、英語でいうところのconscientious(勤勉性という意味)で、自己抑制が効いた人が長寿性格だというのです。
でも、これは従来の医学的な定説と隔たりがあるように見えますよね。
冒頭に述べたように、健康であるためには、食事や運動などに気をつけなければならないとされています。
性格については、真面目で自己抑制をきかせる人よりも、むしろ楽天的で鷹揚な方がストレスをためないからいいようにいわれていました。
しかし、著者の岡田尊司氏に言わせると、日本人の平均寿命の伸びは、戦争の混乱と栄養失調がなくなったことによるものであり、そうした影響が少ないアメリカにおける医学の恩恵は、平均寿命にして感染症の減少による5年程度の伸びでしかない、と指摘しています。
医学が、人間の寿命に貢献したのは、たった5年……。
もちろん、病気にならないほうがいいに決まっています。
ただ、それは短期的なテーマであり、生き様を見た場合、長寿の鍵をにぎるのは、真面目な性格であるかどうかだというのです。
では、真面目な人だとどうして長寿なのでしょうか。
人生が順風満帆なら、どんな性格でもかまわない。
でも、人生は誰でも大なり小なり苦しい時はある。
その時に耐えられるかどうかが、長寿かどうかの明暗を分ける、と岡田尊司氏は書いているわけです。
巷間言われている「善人は短命」というのも「間違い」だそうです。
たとえば、103歳でも現役の日野原重明氏は、持病はあるし、90歳まで睡眠時間4時間で徹夜もしていたといいます。
そして、真面目な人は、飲酒や運転など自己抑制がきいて寿命を縮めるリスクが少ないだけでなく、もともと病気になりにくい遺伝子であると書いています。
さらに、
孤独な科学者>社交的なビジネスマン
なんでも話せる関係>パーティの付き合い
前向きさ>陽気さ
現状維持を好む>新しもの好き
女性的な男性>男性的な女性
であり、
神経質な男性はしぶとく生き、逆に女性はマイナスにはたらくとも書かれています。
つまり、他人にどう見られるかよりも、自分に対して正直であることが大切ということでしょうか。
自制できて、かつ自分に正直。
要するに自分を大事にすることに対して真面目な人が長寿という、考えてみればごもっともという内容です。
私は医学者ではないので、ターマン・フリードマン長寿説の研究を評価することはできません。
が、哲学者であり医師でもある著者の岡田尊司氏が同書に書いているように、この研究は合計80年にもわたる「前向き研究」であることは興味深い。
どんなに優れた医学者の研究も、限られた時間で答えを出したものであり、哲学で言う「部分的真実」でしかありません。
もとより、西洋医学は、相対的真理の長い系列にあるものですから、より長いスパンで研究した成果のほうが、より高次な真実を含んでいることになります。
その意味で、細かい考察の仕方に留保はつけ、さらに調べる余地はあるかもしれませんが、研究データそれ自体はきわめて興味深いものではないかと思っています。

もうひとつ、私が持論としている「人生は必然と偶然」という考え方に基づけば、今回の説は「必然」の部分に当たります。
そして、病気(発症)や事故などは「偶然」にあたります。
同じ病気の同じステージでも、助かる人も助からない人もいます。
また、生活習慣の良し悪しがそのまま寿命に繋がるわけでもありません。
それはどういうことかというと、「偶然」というのは、誰にでも起こりうるけれど、しょせん「ハプニング」にすぎないから、かならずしもそれが寿命の決め手になるとは限らない、ということです。
そんなことを考えると、今回の「必然」の部分の研究は、研究者の眼目通り、人間の寿命を解き明かす大きな鍵になるような気がします。


『真面目な人は長生きする』には、「八十年にわたる寿命研究が解き明かす驚愕の真実」というサブタイトルがついています。
「寿命研究」は、スタンフォード大学のルイス・ターマン教授が1921年、当時10歳前後の児童1528人を対象に、5~10年おきにインタビューする研究から始まりました。
途中でターマン教授は亡くなりましたが、以後はカリフォルニア大学リバーサイド校特別教授のハワード・S・フリードマン博士が調査を継続しました。
そして、足掛け80年間の研究考察を、『The Longevity Project(長寿計画)』という一般読者向けの医学啓蒙書で上梓。
そこには、人が長く健康で生きられることには、個人の性格や社会生活などが密接に関係しているという研究結果を示しています。
具体的には、真面目な人が長生きするということになっています。

たとえば、勤勉、倹約家、慎重、誠実等々、英語でいうところのconscientious(勤勉性という意味)で、自己抑制が効いた人が長寿性格だというのです。
でも、これは従来の医学的な定説と隔たりがあるように見えますよね。
冒頭に述べたように、健康であるためには、食事や運動などに気をつけなければならないとされています。
性格については、真面目で自己抑制をきかせる人よりも、むしろ楽天的で鷹揚な方がストレスをためないからいいようにいわれていました。
しかし、著者の岡田尊司氏に言わせると、日本人の平均寿命の伸びは、戦争の混乱と栄養失調がなくなったことによるものであり、そうした影響が少ないアメリカにおける医学の恩恵は、平均寿命にして感染症の減少による5年程度の伸びでしかない、と指摘しています。
医学が、人間の寿命に貢献したのは、たった5年……。
もちろん、病気にならないほうがいいに決まっています。
ただ、それは短期的なテーマであり、生き様を見た場合、長寿の鍵をにぎるのは、真面目な性格であるかどうかだというのです。
では、真面目な人だとどうして長寿なのでしょうか。
成功した人生を歩むとき、長寿性格かどうかは、寿命にあまり影響を及ぼさない。節制や慎重さに欠けた人も、特に寿命を縮めるということはない。ところが、人生がうまくいかないときこそ、その差がはっきりと出る。節制や慎重さ、勤勉さというものが身に付いていない人では、死亡率が大幅に上がってしまうのだ。それに対して、勤勉で慎重で節制が保たれる人では、たとえ人生がうまくいかなくても、死亡率の上昇が抑えられるのである。
人生が順風満帆なら、どんな性格でもかまわない。
でも、人生は誰でも大なり小なり苦しい時はある。
その時に耐えられるかどうかが、長寿かどうかの明暗を分ける、と岡田尊司氏は書いているわけです。
巷間言われている「善人は短命」というのも「間違い」だそうです。
たとえば、103歳でも現役の日野原重明氏は、持病はあるし、90歳まで睡眠時間4時間で徹夜もしていたといいます。
そして、真面目な人は、飲酒や運転など自己抑制がきいて寿命を縮めるリスクが少ないだけでなく、もともと病気になりにくい遺伝子であると書いています。
さらに、
孤独な科学者>社交的なビジネスマン
なんでも話せる関係>パーティの付き合い
前向きさ>陽気さ
現状維持を好む>新しもの好き
女性的な男性>男性的な女性
であり、
神経質な男性はしぶとく生き、逆に女性はマイナスにはたらくとも書かれています。
つまり、他人にどう見られるかよりも、自分に対して正直であることが大切ということでしょうか。
自制できて、かつ自分に正直。
要するに自分を大事にすることに対して真面目な人が長寿という、考えてみればごもっともという内容です。
結論
私は医学者ではないので、ターマン・フリードマン長寿説の研究を評価することはできません。
が、哲学者であり医師でもある著者の岡田尊司氏が同書に書いているように、この研究は合計80年にもわたる「前向き研究」であることは興味深い。
どんなに優れた医学者の研究も、限られた時間で答えを出したものであり、哲学で言う「部分的真実」でしかありません。
もとより、西洋医学は、相対的真理の長い系列にあるものですから、より長いスパンで研究した成果のほうが、より高次な真実を含んでいることになります。
その意味で、細かい考察の仕方に留保はつけ、さらに調べる余地はあるかもしれませんが、研究データそれ自体はきわめて興味深いものではないかと思っています。

もうひとつ、私が持論としている「人生は必然と偶然」という考え方に基づけば、今回の説は「必然」の部分に当たります。
そして、病気(発症)や事故などは「偶然」にあたります。
同じ病気の同じステージでも、助かる人も助からない人もいます。
また、生活習慣の良し悪しがそのまま寿命に繋がるわけでもありません。
それはどういうことかというと、「偶然」というのは、誰にでも起こりうるけれど、しょせん「ハプニング」にすぎないから、かならずしもそれが寿命の決め手になるとは限らない、ということです。
そんなことを考えると、今回の「必然」の部分の研究は、研究者の眼目通り、人間の寿命を解き明かす大きな鍵になるような気がします。

真面目な人は長生きする 八十年にわたる寿命研究が解き明かす驚愕の真実 (幻冬舎新書)
- 作者: 岡田 尊司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/09/27
- メディア: 新書
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