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『空気を読むな、本を読め。』同書は本当に「クソ本」なのか [パソコン・ネット]

読書

『空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法』(小飼弾著、イースト・プレス)を読みました。著者は、月間100万PVを誇る書評ブログ『404 Blog Not Found』を運営しています。つまり、アルファブロガーということです。同書のレビューを見ると、必ずしも芳しくありません。しかし、ブロガーとして書いた書籍だからこそ、専門知識を必要とせず、平易で簡潔に著者の主張を読むことができます。



同書の趣旨は、とにかく本を読め、ということです。

ただし、義務やトレーニングとして読むのではなく、「ご飯を食べることや風呂に入る」ような、生活上あたり前のこととして行うことだと述べています。

忙しくて本を読む隙がないと思ったら、テレビをやめてみろ、と提案しています。

そして、インプットだけでなくアウトプットも大事だと述べています。

たとえば、読んだ書籍のレビューをブログに書くのも立派なアウトプットです。

また、ときには情報を遮断して、情報に飢えたところで、改めて必要な情報とは何かを考えられるようにしてみようと述べています。

同書は、本は人間にとって「水」と同じだと述べています。

どちらかというと、「ご飯」と一緒とした方が、よりわかりやすいかもしれませんね。

食べなければ生きていけませんが、食べるだけでなく、それが血肉やエネルギーとなり、不要なものは排泄されなければならない。

そして、たまには断食をして、体の調子を整えてからまた食べるようにする。

書籍で得られる情報がまさにそうだと述べているわけです。

そして、読み方として、たとえば、速読の達人として知られる著者らしく、ノンフィクションは「速く」読め!とし、1時間で10冊読む超読書法も書かれています。

エロ本でキャッチコピーを学べ、とも書かれています。

同じ内容なら、文章で構成される本を知る前に、漫画から入るのもいいとしています。

ただ、最近は、『美味しんぼ』のように長尺のものがあるが、あれは読者を囲い込む戦略だから気をつけろとしています。

つまり、いったん読み始めたら、いつまでも最終回が来なくて、気がついたら何十巻とか本を買わされていた、というパターンですね。

私は、『こち亀』は両さんの同僚の戸塚が出なくなる50巻あたりで、購入を断念しました(笑)



しかも、それは火災で全部焼けてしまったし(涙)

火災といえば、同書のこの件、なるほどなあと思いました。
もう20年近く前の話ですが、生家が火事にあってしまい、それまでの6000~7000冊あった私の蔵書はすべて焼けてなくなってしまいました。文字通り、全財産をなくしてしまった。今となっては手に入らない本も含まれていたから、その点では惜しいなと感じています。
 でも、不謹慎かもしれないけれど「いい経験をした」という思いは年々強くなるばかりです。というのは、精神的なダメージというよりも、一度リセットできた感覚のほうが私にとっては有効だったからです。
 こんな凄まじい体験は、もちろん勧められるものではありません。でも、1日でも数時間でも、情報を遮断してみるという経験は試してみてほしい。

私も4年前に、「文字通り、全財産をなくしてしまった」わけで、正直、こんにちでも人生を元に戻せない痛手です。

でも、その一方で、リセットすることによる精神的な負担からの解放を感じたのも確かです。

なんというか、これまでの人生の、失敗や挫折も、“なかったこと”にしようという踏ん切りのようなものがつきましたしね。

著者の書いているように、リセットしたところから、さて、自分は何を学びたいか、どんな情報に触れたいのかを改めて白紙の状態から考えることができました。

とにかくそんな感じで、同書は本の読み方、選び方、出版界に対する著者の意見などがいろいろ書かれていて、大変読みやすい構成です。

建設的な読み方ができない読者こそ……


ただ、タイトルと著者名から期待が大きかったのか、レビューは辛辣ですね。

たとえばAmazonでは、『空気を読むな、本を読め。』について、「著者は役に立たない書籍を『クソ本』と唾棄しているが、この本こそ『クソ本』だ」などと書かれているものもあります。

きっと、それを実践したら必ず「頭が強くなる」成果が得られるノウハウが書かれているわけではなく、比較的スカスカ(ほとんどのページが1行おき)なので、レビュアーは「クソ」と感じたのかもしれません。

要するに、この内容なら、タダで読めるブログで十分ということなのでしょう。

でも、紙媒体とネットコンテンツは、たとえ内容が同じでも、目的や価値が違います。

たとえば、寝っ転がって読んだり、トイレで読んだり、ある言葉の部分だけをちょん切ったり、今は携帯端末がありますが、それでもそうした携行や加工における自由度は紙媒体にかなわないでしょう。

ですから、同じ内容の、ブログと書籍があってもいいだろうと私は思います。

それに、不服なら、どう不服なのかを突き詰め、レビュー記事として具体的に物足りない点を指摘し、前向きな提案をすれば、すでに自分にとっても同書は「血肉」になっているし、記事としても公益性があります。

ひっきょう、「クソ」と捨て台詞しか書けない読者こそ、その言葉がそっくり自分に返ってくるものだろうと私は思いますけどね。

ブロガーがブログをそのまま書籍にしたもの、が流通すること自体が悪いとは思わないし、「クソ」としてしか読めないか、自分に役立てることができるかどうかは読者次第ということです。

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空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

  • 作者: 小飼 弾
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2009/10/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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