『コロコロアニマル』音楽運動療法の類似点? [遷延性意識障害]
『コロコロアニマル』(キッズステーション)は、最近子育てをされている方にはお馴染みの子供向きアニメです、○、△、□を使って描いた動物たちによる絵本的な舞台で、数、色、形などを学べるストーリーになっています。私の場合、それももちろんですが、深昏睡に陥った次男の覚醒に役立ちました。(画像は『コロコロアニマル』より)
このブログでは、時々、ご家族が急な事故で脳を傷めた昏睡状態に陥ってしまった方から、質問や相談のメールをいただくことがあります。
私は、4年前に不慮の火災で妻子が意識不明の重体となり、ひとりひとりの経過を克明に綴る闘傷記といえるようなものは書いていませんが、回復や現状の一場面についてはときどき記事にしてきました。
・『アニメで覚える99』植物人間だった長男が九九を会得した方法
・エジソンのお箸、遷延性意識障害からの回復訓練に
・遷延性意識障害からの回復訓練、ガムで咀嚼嚥下の能力を蘇らせる
・遷延性意識障害からの回復を期待した民間療法
それをご覧になったからだと思います。
その中には、信頼性の高い医学論文に出ているわけではない体験談もあります。
エビデンスこそがすべて、という方にとってみれば、それはケシカラン記事かもしれません。
しかし、メールをいただく方もみなさん仰るし、私もそう思いましたが、他の重篤な病気に比べると、脳障害の情報は少ないのです(とくに高次脳機能障害や遷延性意識障害)。
脳に傷害を受けて回復を目指すにあたり、いつ覚醒してどれだけのリハビリが出来るかは、その後の人生の明暗を分けると言ってもいいので、患者の家族はみなさん必死です。
病院の方針やそのとき行われている処置を邪魔しないことなら、なんでも実践したいと思っています。
もとより脳障害の世界は、脳神経外科医や内科医ですら、状態を診るだけで、予後や回復のスピードを予想することは大変に困難なようです。
ですから、断片的な体験談、「これをやったらいい方向に行きました」という話を書くぐらいはいいのではないかと私は思っています。
そこで今日も、医学論文に載ることはないであろう体験談を書きます。
音楽運動療法と『コロコロアニマル』の接点
遷延性意識障害や、重度の脳性麻痺患者を対象にした、音楽運動療法というものがあります。
生演奏に合わせて、トランポリンで体を揺らすことで、脳神経にいい影響を与えるという治療法です。
その施術者である野田燎氏の著書、『音楽運動療法入門』(工作舎)には、音楽運動療法の華々しい成果としてこう書かれています。
《送料無料》音楽運動療法入門 脳と心を癒す |
「一生笑うことはないだろう」と言われた 水頭症の赤ちゃんが絵や書の個展をひらくまでに成長……、視線もおぼつかない植物状態の患者さんが エレキギターを演奏するまでに回復……。
まあ、治療を受けた全員がそうなれるかというと、なかなか難しいとは思います。
ただ、脳に刺激を与えると同時に体の各機関を動かすことで、脳と体の一体化した動きができるようになり、回復に資する可能性はあるのだろうと思います。
そこで、ここからは医学論文にない私の勝手な推理ですが、育児アニメ『コロコロアニマル』にも、音楽運動療法の実践ほどではありませんが、それと似たような効果があるのではないかな、という気がしているのです。
アニメを見るのですから運動はしませんが、オープニングの、しっぽが出たり引っ込んだりする、テンポの良い動物たちの音楽に合わせた動きは、観る者の脳と視神経を連携させる刺激になるのではないかと思いました。
私は、JCS300でICUに担ぎ込まれ、3度の肺炎で半月間生死をさまよい続けた次男(当時2)の覚醒に、iphoneやiPod touchに仕込んだ『コロコロアニマル』を、時には看護師の目を盗んで見せるようにしました。
「目を盗んで」と書きましたが、持ち込みの機械で見せてはいけないわけではないし、その病院はテレビも無料だったのですが、小さい画面で見せることについてはあまり快く思っていなかったのです。
でも、テレビでちょうど『コロコロアニマル』が放送されているとは限らないし、きちんと動物に視点を合わせるためには、テレビではなく携帯端末の方が都合が良かったのです。
半月も昏睡していると、目を開けることがあっても視線は自覚的ではなく、もう親のことも忘れているのですが(涙)、イヤホンをあて、目の前にiPod touchを近づけ、『コロコロアニマル』をスタートさせると、目を少しずつ開き、再生するたびに次第にノッてきて、音楽とともに体を動かすようになりました。
でも、終わるとまた、元に戻るんですけどね。
しかし、それを2日、3日と繰り返すことで、次第に目を開けることが多くなり、意識もはっきりとしてきました。
たまたまそれがきっかけだった、というだけかもしれませんが、なにか刺激を、というときに、『コロコロアニマル』のテンポとリズムは、選択として間違いではなかったと思っています。
そういう意味では、『コロコロアニマル』という題材自体は2~4歳用ですが、覚醒用として考えると、もっと年齢が高くても使えるかもしれません。
覚醒にあたって、ご家族ができることのひとつになるかもしれないと思い、書いてみました。
Facebook コメント