『特捜最前線 BEST SELECTION VOL.6』を観ました。同作の中でも、もっとも質の高いBEST SELECTIONだと思います。合計4本収録されています。DVDは、その中に何作入っていても一通り観るのですが、あまりにも濃い内容なので、今回は1作ずつ観ています。
『
特捜最前線 BEST SELECTION』は、その第1弾について先日ご紹介しました。
『特捜最前線 BEST SELECTION VOL.1』二谷英明、藤岡弘、
ちょうど10年にわたって放送された全509話から、ファンが選んだ傑作セレクションをリリースしたものだそうです。
今回の『VOL.6』の収録話は、
第118話「子供の消えた十字路」
第127話「裸の街1・首のない男! 」
第128話「裸の街2・最後の刑事! 」
第131話「6000万の美談を狩れ! 」
の4本です。
検索してみると、レビューブログですでに何度も取り上げられていますね。
第127話と第128話は2話で完結。レギュラーの
大滝秀治がいったん降板する話です(大滝秀治は後にレギュラーに復帰します)
大滝秀治が代表をつとめていた
劇団民藝のベテラン女優・
日色ともゑが犯人(しかも殺人犯)で、大滝秀治の妻役である
風見章子が、末期がんに苦しむという濃い話です。
日色ともゑもそうですが、先日の
加藤治子の訃報記事で書いたように、私は風見章子のファンでもあるので、
加藤治子さんを『雑居時代』『新だいこんの花』で偲ぶ
興味深いストーリーでしたが、また別の機会に感想を書きたいと思います。
今日は、収録4話の中でも、とくにレビューブロガーの評価が高い第118話「
子供の消えた十字路」について、私もとりあげてみます。
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子供の消えた十字路
豊島区南大塚3丁目・
都電荒川線4号踏切で事件が起こります。
ものが皆、白く見える7月の暑い日の午前11時。
船村刑事(大滝秀治)に、補助付き自転車に乗った5歳の男児がぶつかりました。
船村刑事(大滝秀治)は、前方を注意するように言い聞かせましたが、男児は踏切を超えたところで
車にはねられます。
運転していた男は、
血だらけの男児を車に乗せて走り去ったまま、行方不明に。
近隣のどの病院も、それらしき男児は治療を受けていません。
船村刑事(大滝秀治)を含め
22人の目撃者たちは、男が病院に運んだものと思い込んで安心し、車種やナンバーなどの記憶も不確かでした。
人間の記憶というのは、これほど頼りないものなのか、と嘆く特命課の刑事たち。
男は、いったんは男児をある病院に運びましたが、手術前で医師が対応できないことがわかり、そのままいなくなってしまったのです。
その医師の所見では、
男児の命がもつのは3~5時間とのこと。
手がかりもなく、何も出来ない自分を責め、苛立つ船村刑事(大滝秀治)。
男は、
掘り出し物の中古住宅の手付けをうちに、埼玉・川越の不動産仲介業者のもとに行くところでした。
子沢山で妻も内職をするアパート暮らしの男は、妻に
どうしてもその家が欲しいと言われていました。
しかし、誰もが欲しがる物件なので、早い者勝ち。
そのため、
時間が惜しくて、男は男児を廃車留置場にあった車の
トランクに置き去りにして、仲介業者のもとに向かいました。
捜査は、滝刑事(
桜木健一)の目撃者探しでナンバーの一部が判明。
さらに、津上刑事(
荒木しげる)の現場検証によって、船村刑事(大滝秀治)が残りのナンバーを思い出し、車の持ち主の男を割り出します。
ところが、男の証言通り廃車留置場に行くと、男児を置いた車がありません。
すでに車は
スクラップの処理場に送られていました。
処理されたら、子どもの体もプレスされてしまいます。
処理寸前のところで、橘刑事(
本郷功次郎)が処理場のシステムを体当たりで止め男児を救出
、桜井刑事(
藤岡弘)が男児を抱きかかえて、吉野刑事(
誠直也)の運転で病院へ。
このへんは、ドラマとわかっていても
胸が熱くなるシーンで、その思いを文字で表現することが難しい。
男の事情も描かれているので、一見、「罪を憎んで人を憎まず」と、男の立場も慮ったヒューマンな構成のようにも見えますが、ドラマでは、船村刑事(大滝秀治)の次のナレーションでこう締めくくっています
「生きてくれ、生きてくれと念じつつ、私は
噴き上げる怒りを鎮めることは出来なかった」
決して、キレイ事でまとめるのではなく、
刑事の喜怒哀楽や弱さも正直に描いているからこそ、このドラマに感情移入できたのだろうと思います。
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