『体の不調は「首こり」から治す、が正しい』(三井弘著、SBクリエイティブ)を読みました。タイトル通り、最近は肩こりとは別のものとして認識されてきている「首こり」について、その原因として考えられることや、首こりが万病のもとであること、さらにその対処法などを現役の整形外科医がまとめています。
「首」については、これまで、脳神経外科医や、整体やカイロプラクティックなどの専門家から、簡単な健康法が解説された書籍をご紹介してきました。
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今回の『体の不調は「首こり」から治す、が正しい』は、現役の整形外科医の書籍です。
民間療法としての首のこりや「歪み」については上記の書籍に触れられていますが、本書はその原因として考えられる疾病に踏み込んだ解説が行われているのが特徴です。
同書によると、パソコンやスマホの普及による「うつむき姿勢」で、首に不調を訴える人が急増していますが、首は、めまい、しびれ、腰痛など万病の原因になっている可能性があるといいます。
首は、毛髪もなくむき出しになっているところですが、人間の生命にとって重要な脊髄、甲状腺、血管や気管、食道など生命維持に重要な役割を担う器官などが通っています。
首に不具合が起こると、その影響は首だけにとどまらず、全身の機能にまで及ぶというのです。
例として、プロレスラーだった三沢光晴選手に触れています。
三沢光晴の死因は、試合中に受けたバックドロップで首にダメージを負った頚髄離断(頸椎離断)でした。
あまり聞きなれないのか、検索窓で「三沢光晴」と入れると「頚椎損傷」がサジェストワードで出てきます。
しかし、損傷と離断は別のものです。「離断」は、頚椎がずれて脊髄が離断してしまったことで、リング上で心肺停止となってしまったのです。
同書によると、長年の激戦で慢性的に首を痛めていたところに強い衝撃を受け、それに首が耐えられなかったと解説しています。
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また、かつての人気時代劇『必殺シリーズ』で、仕事を請け負った一人が、悪者の首の後に長い針を刺し込むのは「荒唐無稽」とも解説。
針を刺す第一頸椎は、細い針でも、脊髄の動きが止まってしまう急所だからだそうです。
つまり、いちいち長い針で刺し通さなくてもいいところだ、ということなのでしょう。
針ということは藤枝梅安(緒形拳)なんでしょうね。
そして、『あらゆる不調は首で治る』(松井孝嘉監修、マガジンハウスムック)でご紹介した、ストレートネックも解説されています。
『あらゆる不調は首で治る』より
首こりは首の病気の前駆的な症状で、主な首の疾患も解説されています。
パソコン病(VDT症候群)、頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症、頸椎後縦靭帯骨化症、頚部脊柱管狭窄症、頸肩腕症候群、頚椎捻挫(むちうち症)、DHS(首下がり病)、その他(がん、リュウマチ、結核)など。
詳細は本書でご確認ください。
顎は引かなくていい!?
後半は、首こりを解消するための、姿勢や歩き方、座り方、健康習慣などが紹介されています。
ひとつ抜粋させていただくと、姿勢を良くするために、よく「あごを引け」といいますよね。
あれは、間違いだそうです。
あごを引くと、頸椎は真っ直ぐな状態となり、重い頭を支えるためのカーブがなくなってしまいます。つまり、首が軽く前に突き出て、頭部が後方に位置するというバランスが取れなくなってしまうのです。
『体の不調は「首こり」から治す、が正しい』より
「重い頭を支えるためのカーブがなくなって……」。要するに「ストレートネック」になってしまうということですね。
首を守るためには、頸椎のカープを保てる姿勢であることが必要です。そのために最もよいのは、あごを20度ぐらい上げた状態です。要は、あごを少し上にツンと上げた姿勢です。これが首の骨のカープに沿った「首にとっての正しい姿勢」なのです。
私は、もともと自然とここに書かれている姿勢になります。
自分の写っている写真を見ると、小さいころ頃からそうです。無意識のうちにやってますね。
でも、妻によると、「あごを少し上にツンと上げた姿勢」は、イバッて見下しているように見えると、以前注意されたことがあるのです(汗)
ああ、そういうもんかと思って、それ以来、顎をひくようにしていたのですが、どうも本書によると、顎は引かなくていいみたいです。
これからは、顎を引くのは写真を撮るときだけにします。
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