『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)を観ました。公開は「1973年」ですが、時期は12月。つまり、1974年のお正月映画です。お正月は各社ともドル箱作品を上映します。「さそり」シリーズは、東映のドル箱だったのです。何人かの女優が演じていますが、本作は“元祖”である梶芽衣子の4作目です。(画像は劇中より)
少し前の新聞ですが、『東京スポーツ』(2015年9月29日付)で連載されている、人気スターのインタビュー再録記事で、
梶芽衣子がとりあげられました。
1972年8月17日、女優生活の始まりである日活を退社し、東映に入ったばかりの25歳の頃です。
長い髪と、大きな瞳の顔写真もしっかり掲載されています。
『
女囚さそりシリーズ』の第一作である、『女囚701号/さそり』(1972年、東映)のクランクアップ直後と書かれているので、映画の宣伝も兼ねていたのでしょう。
さて、『女囚さそりシリーズ』というのは、自分を裏切った男への復讐に執念を燃やす女囚・
松島ナミの話です。
東映で梶芽衣子主演で4作上映された人気シリーズとなり、彼女の代表作となりました。
以後も
多岐川裕美や
斉藤陽子や
水野美紀らでリメイクされていますが、やはり「
さそり」といえば梶芽衣子でしょう。
ストーリーは、刑務所内での陰惨なリンチや陵辱など凄惨なシーンがあり、暗い設定のはずですが、
リアリティがありません(笑)
それゆえ、
凄惨でもクスッと笑える娯楽映画として観ることができます。
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凄惨でも娯楽映画
『
女囚さそり 701号怨み節』は、東映がYoutubeに予告編をアップしています。
ストーリーは、警部(
細川俊之)が、結婚式場で身を潜めて働いていた松島ナミ(梶芽衣子)を、第一級殺人と脱走罪で逮捕するところから始まります。
ナミ(梶芽衣子)は護送から再び脱走。ヌード劇場の便所に逃げ込みますが、そこで舞台照明の仕事をしている工藤(
田村正和)に匿われます。
工藤(田村正和)は、かつて過激派で、警部(細川俊之)に拷問の取り調べを受けたことがあります。
つまり、2人とって、警部(細川俊之)は共通の敵というわけです。
ナミ(梶芽衣子)と工藤(田村正和)は、警部(細川俊之)の自宅で妻(
金井由美)を人質にとってたたかおうとしますが、妻は逃げようとして窓から転落死。
警部(細川俊之)は、いよいよ憎悪をつのらせます。
2人は逃げますが、工藤(田村正和)は警部(細川俊之)に捉えられ、またしても拷問。
それでも工藤(田村正和)は、ナミ(梶芽衣子)の居場所を吐きませんでしたが、警部(細川俊之)は工藤の母親(
初井言栄)まで連れて来て説得。
工藤(田村正和)は遂にナミ(梶芽衣子)の居所を吐きます。
捕まったナミ(梶芽衣子)は、
女子刑務所で独房に入れられ、さらに警部(細川俊之)らにリンチを受けます。
警察のリンチもあり得ませんが、そもそも
裁判もしないで、いきなり死刑囚なのです。
しかも、女子刑務所の処刑台は、
露天に設置されています。
日当たりの良いところにある処刑台を掃除する囚人たち
開放的ですね(笑)
警部(細川俊之)は、普通の処刑ではつまらないからと、部下に看守長を強姦させ、「このことをバラされたくなかったら」と脅し、ナミ(梶芽衣子)を脱走させる手引をさせます。
そして、ナミ(梶芽衣子)を自分の
手作りの粗末な処刑台(笑)にいざない処刑しようとしますが、ナミ(梶芽衣子)に逆襲され、自分がそこで首をつってしまいます。
このシーンは、処刑シーンのはずなのに、手作りの処刑台といい、細川俊之が
あまりにも間抜けなので笑わざるを得ませんでした。
そして、シャバに戻ったナミ(梶芽衣子)は、自分を裏切った工藤(田村正和)を刺して仕返し。
「
あんたを刺したんじゃない。あんたに惚れた松島ナミを刺したんだ」と、ナミの意味不明な独白で終わります。
どんなに壮絶なシーンが繰り返されても、梶芽衣子はいつも
綺麗な黒髪で、
顔も傷一つありません。
フィクションである以上、それに徹しようということなんでしょうね。
先日、あるスポーツ紙の芸能記事で、梶芽衣子がテレビ番組で“毒舌”の
坂上忍と久々に共演して煽ったと報じられていました。
今、梶芽衣子のインタビューをまたとりあげるのは、もしかしたら、梶芽衣子をバラエティでプッシュする動きが芸能界にあるのかもしれません。
21世紀の現在、
“さそり”は人々にどう受け入れられるでしょうか。
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