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『香港クレージー作戦』音楽コントからうかがえる“大人の笑い” [東宝昭和喜劇]

『香港クレージー作戦』(1963年、東宝)が2月17日、CSの日本映画専門チャンネルで放送されます。いつもご紹介している『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.12)にも収録されています。クレージーキャッツのメンバーがそれぞれ存在価値を持った役柄で、大きな仕事を成し遂げるストーリーです。

香港クレージー作戦
日本映画専門チャンネルより

日本映画専門チャンネルでは、『【日本映画専門チャンネル・時代劇専門チャンネル 戦後70年共同企画】植木等劇場』として、植木等、もしくはクレージーキャッツが主演の映画を先月から週に1度放送していますね。

東宝クレージー映画は、60年代の東宝の屋台骨を支えた人気シリーズです。

その内容は、植木等主演の『無責任男』『日本一男』などが12作、谷啓主演や植木等と谷啓のダブル主演が2作、クレージー・キャッツ全員が出演する「クレージー作戦シリーズ」が12作、時代劇4作など合計30作あります。

今回の『香港クレージー作戦』は通算6作目で、「クレージー作戦シリーズ」にあたります。

香港クレージー作戦
『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.12)より

「クレージー作戦シリーズ」は、クレージーキャッツ全員が出演といっても、その多くは、植木等、谷啓、ハナ肇が中心であり、他のメンバーは出番が1~2シーンという作品もあります。

その中で、今回は比較的全員の出番が多い、ストーリー展開上も7人がきちんと絡んでいる作品です。

私は、植木等の単独ヒーローものよりは、全員が活躍する群像劇の方が好きなので、この作品は個人的には、『クレージー作戦 先手必勝』とともに、クレージー作戦シリーズの中では高い評価をしている作品です。

ところが、今まで、このブログではまだ1度もこの作品には触れたことがないのです。

今回はじめてのご紹介になります。

あらすじは途中までネタバレ御免


第百商事の営業社員・植田等(植木等)は、要領よく仕事をしようと考えていますが、課長(有島一郎)は欺けても、社長(柳家金語楼)とはソリが合いません。

そんなとき、いつも立ち寄る食い倒れ横丁(日本料理=ハナ肇、犬塚弘、トンカツ=安田伸、ホルモン=谷啓、流し=石橋エータロー、桜井センリ)で、立退き話があることを聞きつけます。

さっそく中華料理のビルを建てるという汪社長(林沖)のもとに交渉に行き、立ち退く代わりに、香港に1年間、食い倒れの店主たちの合同料理店を家賃無しで使わせる約束をとりつけます。

そして、植木等自身もマネージャーとして香港に行くことにしますが、経理の女子社員・ミエ(浜美枝)が、香港にいる腹違いの姉を探したいから連れて行ってくれと懇願。いつも金を借りている弱みがある植木等はしぶしぶ承諾します。

資本金は、植木等が自分の得意先をまわり、ラクダビールの社長(進藤英太郎)らと話をつけます。

そして香港で店を開店したものの、お店は閑古鳥。そんなとき、ミエの姉・麻美(淡路恵子)と妹分の中美樹子(中尾ミエ)が、局面打開の話を持ち込みます。

地元の大物・張大人(石山健二郎)を笑わせることができたら、バック・アップをしてくれるというのです。

クレージー映画では初めての音楽コントシーン


みどころは、張大人を笑わせるためという設定で行われる、クレージーの音楽コントシーンです。

音楽コントが採り入れられたのは、クレージー映画6作目にして初めてのこと。

ストーリーの中で音楽コントを行っているのは、『クレージー大作戦』(1966年)があり、ストーリーとは別にショータイムのようにコントが入っているのは『クレージー黄金作戦』(1967年)『クレージーメキシコ大作戦』(1968年)などがあります。

一説には、クレージーキャッツは、ライブが一番面白くて、次にテレビ、一番つまらないのが映画ともいわれていましたが、まあそれはおそらく誰が演じてもそうでしょう。

お仕着せの脚本よりも、自分たちが構成して自分たちで自由に表現するほうが面白いに決まってますから。

やはり、彼らにとっては楽器を持つことが最高の表現手段だったのだと思います。

レビューを見ると、映画の音楽コント自体はつまらないという意見もあります。

ただ、私個人は、そのシーンだけではなく、その前にまじめに演奏しているシーンと合わせて見ると、クレージーのライブは面白かったんだろうなあとワクワクしてきます。

ミュージシャンとして実力のある人たちが、大人の悪ふざけをするという笑いが、きっとライブにはあったんだろうなあと想像できるからです。

本作の演奏と音楽コントのシーンを観ると、それがわかるのです。

ああ、もう少し早く生まれていれば、それが見られたのになあなんて思うのですが、まあそれは仕方ありません。本作で大人っぽくておしゃれなクレージーキャッツを楽しみたいと思います。

香港クレージー作戦 【東宝DVDシネマファンクラブ】

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


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