運の良い悪いは「引き寄せの法則」なるもので決まると思いますか [(擬似)科学]
エリック・バーカー・著、橘玲・監訳『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』(飛鳥新社)という本が話題になっています。久しぶりに運の話です。世の中のありとあらゆる「成功ルール」を検証したと喧伝する全米ベストセラーです。
私もそうですが、多くの人は、自分の運の悪さを呪い、運を良くしたいと思っているのでしょうか。
「運が良くなる本」「運のいい人に共通すること」といった本が出ると、堅調な売り上げが出るようです。
ですから、そのテの本は、ほとんど変わらない内容の本が次々出てきます。
今回も、運が良くなる話です。
しかも、「科学的」と見栄を切っています。
まとめ記事をリンクします。
科学的に証明された「運を引き寄せる法則」 運のいい人・悪い人はどこが違うのか
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1521275390/-100
本文から要旨を。
運は、生まれつきのものだろうか? そんなことはない。運の大部分は選択によってもたらされることを踏まえたうえで、ワイズマンは「ラック・スクール」という別の実験を試みた。運が悪い人を、運がいい人のように行動するように指導したら、幸運な人と同じ成果を得られるだろうかというものだ。
結果は上々だった。
ラック・スクールの卒業生の80%が、運が良くなったと実感した。
しかも彼らは運が良くなっただけでなく、幸福感も強くなったという。
要するに、自分も「運がいい」と思って行動すると、運が良くなって幸福になるそうです。
ま、そう信じて御本人が幸せならいいですが。
科学的に証明された“運を引き寄せる法則” 運のいい人・悪い人はどこが違うのか - SankeiBiz(サンケイビズ) https://t.co/S6GHKjODvW @SankeiBiz_jpさんから
— まのめ恭美 (@msmanome) 2018年3月17日
結論ですが、たぶん、この本を読んでも、私の運は良くならないと思いました。
本書では、「いつも運がいい人」を調べてみると、「運を引き寄せる」科学があるそうです。
ここで大爆笑、もとい大失笑、そして落胆したのです。
そもそも、「引き寄せの法則」というのは、この分野の言説では必ず使われる手垢にまみれた基本となる「根拠」であり、今更臆面もなく「科学的」と称して新たに上梓するものではありません。
「引き寄せの法則」というのは、マイケル・J・ロオジエという人が唱えている、「注意と意識とエネルギーを向けるものは、良いことであれ、悪いことであれ、現実のものとなって現れる」というアレです。
つまり、願っていたら実現する、という話ですね。
あのですね、引き寄せの法則とやらは、科学でもなんでもありませんからね。
本当に科学的に明らかになっていたら、学界はとっくに大騒ぎしているでしょう。
科学を舐めるな、と思います。
私が以前、引き寄せの法則なるものには科学的根拠はないと書いたら、「引き寄せの法則は科学だ。心理学者がそう言っている」という信者のコメントが入りましたが、心理学は科学ではないし、そもそも学者個人がそのような意見だと言うだけで、それが自動的に科学的なお墨付きを得られるわけではありません。
科学的というのなら、願った人と願わない人でグループを作り、前向きコホート調査を行い、客観的に実現したものを明らかにした上で、その報告を学界の雑誌に投稿して、専門家の厳しい査読にサラサれなければなりません。
「引き寄せの法則」が少なくともまともな学会や学術雑誌に発表された例は皆無でしょう。
もっともわかりやすいトリックあかしをしますが、こうした本は、根拠もない「引き寄せの法則」の成功例は出てきても、願っても引き寄せられなかった例は絶対に出てきません。
つまり、抗がん健康食品の体験談と同じです。
これをやってがんが治ったという主観は宣伝しても、本当にそうかという客観的(医学的)な検証はないし、ましてや治らなかったデータは絶対にとりません。
「引き寄せの法則」は暗示
誤解のないように添えますが、「引き寄せの法則」では絶対に成功できない、インチキだ、といっているわけではありません。
「引き寄せの法則」で成功したかのように見える人は、強く願ったからこそ行動(努力)がともなったのだと思います。
つまり、自己暗示ですね。簡単に述べれば。
何にせよ自己実現できたのならよいことであるし、ですから「引き寄せの法則」に熱中することは一概に悪いこととは言えません。
ただし、哲学で言う主観的観念論に過ぎないものを、あたかも科学的であるかのように喧伝することは、カルト宗教やインチキ健康食品といったトラブルの温床である疑似科学であり、私はそこが容認できません。
人生というのは、その人の本来持っている能力や価値観が、「ほしのもと」「社会情勢」「人間関係」といった自力ではどうにもならない偶然の条件で翻弄される営みであり、残念ながら本書の言うような「自分の選択でコントロール」などはできません。
まあ、だから人生は面白いという悟りもあるのでしょうが、私はまだそこまでは到達できておりませんね。
人生の道筋は、辛く厳しいことばかりだなあと思っています。
で、これからも、また「運をよくする本」が出ると、くだらないだろうと思いながらも、つい読んでしまうんでしょうね
そうしたら、またご紹介したいと思います(汗)
みなさんは、運の本、興味ありますか。
残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する -
給料も休みも少ないし貯金も少ないが運は良いと思ってますよ俺は、不幸とも思ってないし。
って言うか幸福感に何か基準があるんすかね?
by pn (2018-03-17 23:26)
運の本、あんまり興味がなくて…
すみません^^;
自分の運が良いとも思えないし、ましてやそれほど悪いとも思ってないです。
まぁ、普通に過ごせれば問題ないかなって感じで過ごしているのでどうでも良いのかもしれないです。
by ゆりあ (2018-03-17 23:55)
引き寄せの法則は精神論の一つだと考えています。
ワイズマンの宝くじ実験も面白かったですよ。
自称、運が良い人と運が悪い人の選んだ数字で
宝くじを買う実験で結果は運の良い人
悪い人もくじの結果に差がなかったようです。
運の良し悪し、決めるもの本人次第。
そんな私も運の本をついつい読んでしまう
何かにすがりたい人です。
by 式条 梨々子 (2018-03-18 00:00)
「引き寄せの法則」は自己暗示になると思うので、どちらかというと「物は考えよう」なのかもしれません。
by ナベちはる (2018-03-18 01:23)
運の良い悪いは「引き寄せの法則」なるもので決まると思いますか・・・結論から申しますと、「決まりません」(笑)。そもそもわたしは普段、「運」をまったく意識しておりません。そのようなものが「絶対ない」かどうかは分かりませんが、世に喧伝されている「運」とか「運勢」とかいうもののほとんどは「商売」と結びついており、自分の「運」があるにしてもないにしても、「商売」に利用されたくないというのが一つですね。だからおみくじおなんていうものも一切買いません。
わたしは理数が苦手だし、もちろん化学絶対主義でもありませんが、科学でないものを「科学」と喧伝しているのも大嫌いです。「社会科学」なんていう言い方もダメだと思いますね。ぜんぜん科学じゃないですから。もちろん、「幸福の科学」とかも(笑)。
怪しい疑似科学だけでなく、アカデミックなはずの世界でも科学でないものに「科学」を冠したがるのは、科学でない側の劣等感もあるでしょうし、大衆が「科学」という言葉にコロリと騙されることを承知であることも大きな要因でしょうね。
わたし自身は、科学が成し遂げてきた偉大な成果には大いにリスペクトを置いておりますが、科学はどんな段階でもほとんどが暫定的なものだと考えておりまして、同時に、「科学では説明できない部分」に人間や世界のおもしろさを感じています。「分からないから、おもしろい」という世界ですね。文学を含めた芸術は科学から最も遠いところにあるのだと思いますが(それでも科学で説明しようとする人たちもいるけれど、個人的にはそういうのは信じてないです)、人間や世界の曖昧な部分に対して、「決して正解のないアプローチ」をしているのですよね。そこがおもしろいのだと思います。
>願っていたら実現する
この考え、信じている人、多いですよね。知人などでこの考えに感化されていたら、それだけでわたしはその人に対する評価を下げます。情けなくなりますよね、こんなイージーな世迷いごとに騙されるなんて。「(強く)願っていたら実現する」なんてことが本当であれば、有村架純と結婚できる男が何千万人も出てくるはずです(笑)。ぜひ100人くらい有村ファンの男を集めて、皆に「有村架純と絶対結婚すると願ってもらう」実験をしていただきたいですね。果たして何人の男が結婚できるか(笑)。普通、「ゼロ」でしょう。しかもこの考えにはしっかりと「言い訳」が用意されておりまして、「願ったのに、叶わなかったじゃないか!」と言う人に対しては、「願いの強さが足りなかった」とか言うに決まってるんです。ほとんど詐欺ですね。
それにしても、「引き寄せの法則」を本気で科学と信じるような方は、「どんな詐欺にも騙されかねない」準備がしっかりできていると、いささか厳しいですが、そう評価せざるを得ません。
マツコと木村拓哉が同級生なのですね。木村拓哉についてはさて置いて(笑)、マツコは太っているだけでなく、肌がふやけた感じが年齢より高く感じられる要因の一つではないかと。
山田洋次監督に関するお話、本当にありがとうございます。素晴らしくて、素晴らしくて、これからも何度も拝読させていただきます。
やはりわたし、「映画ファン」を自称しながら、ある時期は外国映画しか鑑賞していなかったこともあり、その後邦画への関心も高まったのですが、どうしても「日本映画4大監督」を中心とした巨匠の作品などを重点的に観てきたものですから、山田監督の『馬鹿』シリーズについてもまったく知りませんでしたし、これはもうますます反省し、今後の邦画鑑賞に生かしていかねばと考えております。特に10代の頃とかは、なかなか山田監督作品に向かう気持ちにはならなかったのです。
それにしても、いっぷく様が書いてくださったコメントは、いっぷく様ならではの人間洞察が溢れており、今まで読んできたいかなる評論家の山田洋次論よりも素晴らしく、ある意味、わたしにとって「新しい世界」を見せていただいたほどの感銘を受けました。また今からも読ませていただきますね(笑)。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-03-18 01:55)
自分は2回死にかけましたけれどまだ生きていますし、なんとか暮らしてもいるので運がいいと思ってはいますが、自分の大失敗で人生を台無し的に棒にふってもいるので、運は引き寄せていないと思います。
ただ、自己暗示的に強烈に願って集中して行ったことに関しては、その土台に立てるように上達したというかそれなりの成果が出たというか、ある程度結果を引き寄せたといえるかもしれません。無駄に、かもしれませんけれど。
by 足立sunny (2018-03-18 02:47)
たまたま上手くいったと時は「運が良かっただけだよ」と言ったりしますが、たまたまそうなるように努力した結果だったりします。
自分は1月末にどん底を味わいましたが、運の善し悪しではなくただの現実であり、誰がどう動いた所でどうしようもなかったと考えてます。
今はそれを良い方に考えるよう修正しているところです。
by kou (2018-03-18 07:54)
引き寄せの法則 ある意味信じるものは救われる?的なことかな〜
全然違いますが 私がお店に入ると 混み出します 引き寄せの法則・・・法則でもなんでもありませんね 失礼しました(^^;
)
by チャー (2018-03-18 13:27)
運がいい人、悪い人。確かにあると思いますが。
生物界においてほとんどが自分の遺伝子を後世に残せたらラッキーな話があると思います。何が運がよくて何が不運なのか自分でもよく分かりません。ただカメラを向けたファインダーからみたその向こうの野鳥の世界も確実に子孫を残そうと懸命に生きていますし、一生懸命なお父さん、一生懸命なお母さんがそこにいます。
by ヤマカゼ (2018-03-18 20:47)
一般の人は「科学的」という言葉に弱いですね。そういう私もです。なんだか真実が保証されていると錯覚しますものね。
by たいちさん (2018-03-18 22:21)
人生というのは、その人の能力など全く関係ない。
自力ではどうにもならない偶然がもたらすもの。翻弄されるのみながら、それでも希望をもつ、自己暗示は必要だと思い生きています。
by hana2018 (2018-03-18 22:59)
思って実現するなら苦労ないですね。
by うつ夫 (2018-03-19 00:36)
恥ずかしながら私は
運と言うのには興味が無いんです(笑)
自分は「運が悪い」とも思った事は有りませんので
変な人間なのかも知れませんね~(^^♪
by makkun (2018-03-19 15:05)
スナップ写真を撮っていると、『運』は感じますね
Aさんは何時も良いタイミングで、いい写真が撮れてます
Aさんの周りには人が集まります、他人に愚痴を言わない
Aさんに『運やツキ』が引き寄せられているかも。
by クッキー (2018-03-21 20:46)