『ハワイの若大将』加山雄三、田中邦衛、星由里子、清水由記 [東宝昭和喜劇]

『ハワイの若大将』(1963年、福田純監督)を観ました。例によって、若大将は京南大学の学生で、今回のスポーツはヨット。タイトルどおり、今回は若大将がハワイに飛びます。そして迎えるのは3人のヒロイン。今回も思いっきり、悪気を知らないお坊ちゃん映画です。(画像は『ハワイの若大将』より)

若大将シリーズでは、いつもヘマをするマネージャー・江口役は江原達治ですが、本作だけは二瓶正也がキャスティングされています。
ヨット部が舞台の本作なのに、江原達治は泳げないからだそうです。
普通はいったん役が交代すると、すぐに再交代では観客が戸惑うので、そのまま代わった人が演じます(『男はつらいよ』のおいちゃん役、松村達雄と下條正巳など)
しかし、その次の『海の若大将』(1965年、宝塚映画/東宝)からは、また江原達治に戻っています。
『ウルトラマン』のイデ隊員役だった二瓶正也は、ドイツ人の血を引く端正な顔立ちで長身。
加山雄三の引き立て役としては、江原達治には失礼ですが、江原達治の方が江口にあっていたのかもしれません。
ネタバレ御免のあらすじ
京南大学ヨット部のキャプテン・若大将(加山雄三)は、マネージャーの江口(二瓶正也)との練習航海中に、澄子(星由利子)が運転するボートと衝突。ヨットを大破させてしまいました。
ヨットの修理費が稼げずに困っていた時に登場するのが、お馴染み青大将(田中邦衛)。
青大将は支援の交換条件としてヨット部への入部を求め、若大将は渋々認めます。
若大将の家、すき焼き田能久では、青大将がヨット部員に持ってきた馬肉を、祖母・りき(飯田蝶子)が板前(藤木悠)の目を盗んで、極上の牛肉はヨット部へ、馬肉は上客(清水元)にすり替えてしまいます。
大学は前期試験の最中。青大将は、若大将に「答案を見せて欲しい」と頼み、若大将が見せたところ、教授(平田昭彦)にバレてしまい無期限停学に。
大学に呼び出された若大将の父・牛太郎(有島一郎)は、例によって若大将を勘当します。
青大将の父親(三井弘次)は、最初は若大将が答案を見たと青大将から聞いていましたが、青大将は父親の手配で編入試験を受けたハワイの大学でもカンニングを行ったことで、父親はやっと自分の息子が悪かったと気づき、若大将に、ハワイに青大将を連れ戻しに行ってほしいと頼みます。
そこで若大将はハワイに赴きますが、3人のヒロインと会います。
ひとりは、澄ちゃん。もうひとりは、その友達の夏子(清水由記)、

そしてハワイでの事業が成功した古屋老人(左卜全)の娘婿・上田(上原謙)の一人娘であるジェーン(ハヌナ節子)です。

もちろん、最終的に選ばれるのは澄ちゃんなのですが。
ハヌナ節子は、『続・社長外遊記』にも出演していました。
清水由記は、クレージー映画や社長シリーズの端役で何作か顔を出していますが、本作は大抜擢といっていいでしょう。
何しろ、いつも若大将の引き立て役で澄ちゃんにフラれる青大将に、シリーズ史上、初めて相手ができるのですが、それが清水由記演じる夏子なのです。
若大将がハワイを舞台にしたことと、ヒロインが3人、しかもいつもとは違う顔ぶれというところが本作の見所でしょうか。
あまり難しいことを考えず、予想を裏切らない結末で、気分転換するには本シリーズはもってこいです。
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