『銀座の若大将』星由里子の澄ちゃん、今回も嫉妬で若大将困惑 [東宝昭和喜劇]
『銀座の若大将』(1962年、東宝)を鑑賞しました。若大将シリーズ第2弾です。国内外の様々なロケ地で撮影した若大将シリーズですが、本作は若大将の家であるすき焼き処「田能久」のある銀座が舞台です。銀座を再現したセットは資料的価値のあるものだと思いました。(画像は『銀座の若大将』より)
先日の『大学の若大将』(1961年、東宝)につづく2作目ですが、まあ毎回パターンは同じ。
ただ、一応、その話でキーワードになる言葉がタイトルにつきます。
ロケ場所の「ハワイ(の若大将)」とか、ストーリーの重要な小道具になる「エレキ(の若大将)」とか。
今回のキーワードは「銀座」です。
今は、東京というと、新宿、渋谷、原宿、池袋、品川、恵比寿……、山手線の各駅がみんな栄えてしまいましたが、やはり銀座というのは、今も私は特別な感覚があります。
高級な商店街や、オフィスが並ぶ有数の繁華街でありながら、一方では東端が勝鬨橋という下町でもあるんですね。
若大将の住まいは、すき焼き店「田能久」。これはシリーズ一貫しているのですが、場所が浅草になることがあります。これは、田能久のモデルが浅草にあるからだと思うのですが、今回は銀座です。
そして、『大学の若大将』の「トイレの浄化槽鉄板焼き」同様食べ物ギャグとして、レストランの残飯鍋を食べるシーンがありますが、その残飯を提供するレストランは、若大将がアルバイトしたところであり、銀座にあります。
マドンナのすみちゃんが働く洋装店も銀座です。
銀座を舞台にした青春物語といったところでしょうか。
悪気を知らない若大将&青大将とすみちゃんの関係
今回も、若大将(加山雄三)は京南大学の音楽部員。普段世話になっている、新聞部の団野京子(団令子)と広告をとりに洋裁店に行ったとき、マドンナ・澄子(星由里子)と知り合います。
ファッションモデルのショーのバンドで演奏した時には、モデルの北川きみ子(北あけみ)が声をかけてきます。
この時点で恋の鞘当てが始まるわけです。
若大将は銀座のレストランで、拳闘部のマネージャー・江口(江原達治)が、ライバル校・城東大学の拳闘部員にカラまれていたところに出くわし、ケンカ騒ぎに。
そのとき相手をノシた腕を見込まれ、拳闘部への入部を頼まれます。
いったんは断った若大将ですが、田能久の馴染みである顧問の石脇教授(左卜全)が、部員をつれて来て祖母・りき(飯田蝶子)に直談判。若大将は拳闘部に助っ人参戦します。
ところが、拳闘部に入ったことに父・久太郎(有島一郎)は賛成ではありません。
その父親の気持ちを案じたのと、自分の娘・信子(藤山陽子)と結婚させようという目論見から、レストランの支配人・金五郎(上原謙)は、店をめちゃくちゃにした賠償という口実で、若大将に住み込みでアルバイトさせ、拳闘の練習をさせにくくします。
でも、夜、ギターを弾いて歌っている若大将を見たすみちゃんは、若大将が決定的に好きになってしまいます。
『銀座の若大将』より
金五郎は、若大将の持ち場を最初は調理場の一番下っ端。その仕事に慣れてくると接客。さらに、万座のホテルに派遣など、次々仕事場を変えて拳闘に集中できないようにしますが、若大将はレストランに住み込み、昼は練習、夜はウェイターを両立させます。
若大将の様子を見に、京子、きみ子、信子らは万座に向かいますが、それを知った澄ちゃんは、またしても人のいい青大将(田中邦衛)にうまいこと言って万座まで連れて行ってもらいます。
それにしても、毎回、青大将はすみちゃんのアッシー君とキープ君。
若大将も青大将も、悪気を知らないボンボンですが、すみちゃんは、独占欲が強くしたたかな女です。
ことに、今回は信子に対して徹底的に嫉妬。そのことで若大将を悩ませます。
クライマックスは、拳闘部の対抗試合。
すみちゃんの嫉妬が原因で気持ちが集中できず苦戦している若大将ですが、すみちゃんは、京子から若大将は自分を好きだということを聞いて、安心してリングサイドで声援。
それを確認して安堵した若大将は勝ちます。
先日書いた『東京ラブストーリー』のリカは、自分が愛すことこそが喜びでしたが、すみちゃんの場合、自分が愛すことよりも、愛されることが大事なんですね。
あなたはどちらのタイプですか。
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