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『エスパー魔美』佐倉魔美は高畑和夫クンだけのものではなかった [懐かし映画・ドラマ]

『エスパー魔美』佐倉魔美は高畑和夫クンだけのものではなかった

『エスパー魔美』というアニメをご存知ですか。原作は、1977年~78年に発表された、ご存知藤子・F・不二雄による漫画。その10年後に制作されたアニメ番組です。現在、Amazonプライム・ビデオ会員特典として全119話を無料で鑑賞することができます。(上の画像はYahoo!検索画面より)




『エスパー魔美』は、突如超能力に目覚めた中学生・佐倉魔美が、その秘密を共有するクラスメート・高畑和夫の協力を仰ぎながら、様々な人助けを行っていく話です。

テレビでは、1987年4月7日~1989年10月26日の1年半にわたって全119話+SP1話(120話の表示の時あり)を、1話完結で放送されました。

SFテイストは藤子・F・不二雄作品らしいですが、今回は女の子が主人公。

しかも、『ドラえもん』や『モジャ公』や『キテレツ大百科』などに見られる、藤子・F・不二雄作品おなじみの意地悪な悪ガキ、鼻持ちならないお坊っちゃん、ヒロインといった設定ではなく、また学園は少しおとなになった中学校であり、その点は新鮮です。

何より私がこの物語に注目したのは、子供向けのエスパー劇よりも、女性の生き方が興味深かったからです。

この物語は、従来の男性目線のヒロインではなく、女性は一人の男性だけのものではない、という解放的な生き方がモチーフになっています。

魔美の父親・十朗は、生業を高校の美術講師とする画家です。

魔美にお金を払ってヌードモデルをしてもらい、『連作少女』という作品を何年にも渡って描き続けています。

つまり、十朗の絵を通してではありますが、魔美は中学2年で、裸身を世間にさらしているわけです。

魔美は、自分の父親だけでなく、別の画家のヌードモデルまで引き受けて、高畑和夫の心をヤキモキさせています。(そもそも中学生がそんなことでお金を稼いでいいのか……)

いちばん解せないのは、魔美にとって高畑和夫は将来まで夢想するほど頼っている大切な人なのに、別の同級生から映画に誘われると、「初デート」なのにその男性と映画に行ってしまうことです。

好きな人がすでにいるのに、どうして?

高畑和夫と行くのが楽しいのではないのか、魔美にとって人を好きになるってどういうこと?

という素朴な疑問がここで生じました。

高畑和夫は、ちょっと気が弱いというか慎重というか、彼女を止めることができません。

その上、映画に誘った同級生も、結局魔美は高畑和夫が好きであり、つまり自分の思いが片思いであることに気づき泣いています。

魔美は2人の男の心を混乱させているわけです。

女子中学生の無邪気さなのか、なんとも罪深い女の子です。

しかし、思えば、21世紀に入った今どきの女の子は、みんなみんなものかもしれません。

その意味で、SFというより、女性の生き方や、異性観自体が、21世紀を先取りしたアニメと言えなくもありません。

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母親も「夫だけのもの」としての生き方を否定


一方、魔美の母親・菜穂子は新聞記者です。

こちらも、一人の男性(夫)だけの生き方をしません。

結婚しても専業主婦にはならず、取材があると、泊りがけの取材も男性の記者と一緒に行ってしまいます。

最終回では、十朗のパリ留学決定も、「新しい雑誌の仕事がある」と言って一緒にはついていかず、単身赴任させてしまいます。

魔美ならまだしも、菜穂子の場合には魔美という娘がいて婚姻しているのです。

十朗の一目惚れで結婚したそうですが、菜穂子にとって、夫とは、家庭とは何かというのが、男性視線で見ると見えてきませんでした。

Web掲示板の関連スレッドを見ると、誰もそんなところには注目していないようですが、そこは見ないふりをしているのでしょうか(笑)

私はそれが気になりました。

とりたてて独占欲が強いつもりもありませんが、「はじめての相手」も、「家庭」も簡単に後景に退けることができるのというのは、なんか寂しい気がします。

『エスパー魔美』、ご覧になった方はいかがですか。

未見の方は、Amazonプライム・ビデオは是非会員として全編無料で鑑賞されることをおすすめします。

エスパー魔美(1) (てんとう虫コミックス)
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エスパー魔美 マイエンジェル魔美ちゃん
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  • 作者: 藤子・F・不二雄
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/04/01
  • メディア: 文庫


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