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『読書の技法』熟読すべきかどうかを選別する超速読と普通の速読 [生活]

読書の技法

『読書の技法』(東洋経済新報社)について一昨日に引き続き書きます。著者は佐藤優氏です。前回は、「多読」と「熟読」の技法についてご紹介しましたが、今回は速読の技法について。速読は、普通の速読と超速読という2通りあり、それぞれ熟読とは異なる目的があります。



元外交官で、現在は作家の佐藤優氏は、月に300~500冊(漫画や週刊誌等を除く)の本を読むそうです。

もちろん、普通に読んでいたら、それだけの読書量はこなせません。

そこで、じっくり内容を知る熟読は1ヶ月に3~6冊ぐらいにとどめ、あとは速読で読んでしまうそうです。

そして、具体的な多読と熟読の技法について抜粋して前回ご紹介しました。

『読書の技法』本物の知識と読書力を身につける多読・熟読法

今回は、それに続いて速読の技法です。

「速読」は、普通のビジネスパーソンが2~3日かけて読む400ページ程度の一般書や啓蒙書を、30分程度で読む技法。

「超速読」は、それを5分程度で行う技法だそうです。

これによって、本は「熟読」「速読」「超速読」という3つの読み方から選択することになりますが、佐藤優氏は、手にした本は以下の4つのカテゴリーに分類するそうです。

1.熟読する必要があるもの
2.普通の速読の対象にして、読書ノートを作るもの
3.普通の速読の対象にするが、読書ノートを作るには及ばないもの
4.超速読に留めるもの


では、速読と超速読とは具体的にどのような読み方でしょうか。

超速読とは


Youtubeにアップされているラジオ番組(佐藤優、「速読は絶対に熟読に勝てない!」)で、佐藤優氏は高嶋秀武(昔は髭のヒゲ武)を相手にこう答えています。

佐藤優「速読も2つに分けなければいけないんです。」

高嶋秀武「どういうふうに」

佐藤優「(速読と)超速読というのに。これはどういうものかといいますと、ページをずっとめくっていくんですね。目次だけを見て、本というのは入り口とあとがきだけは丁寧に作ってあるんです。それは、買いに行く人がまず、カバーを見る。帯を見る。それで、開けて目次を見る。で、終わりどうなっているかなといって終わりを見る。そういうふうにして買うから、作る方は丁寧に作るんです。」

その、始まりと終わりをしっかり見て、あとは文字を追うのではなくページをめくって全体を見るのが「超速読」だそうです。

まず、本とシャーペンとポストイット(一端に糊の着いた付箋)を用意します。

そして……

1.横に時計を置き、5分以上はかけないと心に誓う
2.序文の最初1ページと目次を読み、あとはひたすらページをめくる
3.重要語句・表現がゴシックになっているものはそれだけを追う
4.原則として「熟読」のように線は引かないが、気になる箇所はシャーペンで囲っておく
5.結論部の一番最後のページを読む


超速読の目的は、「この本が自分にとって有益かどうか」「時間をかけて読むに値する本かどうか」を知ることにあるといいます。

ここで「合格」したものは、「熟読」の対象に昇格するのでしょうね。

普通の速読とは


そして、次は「普通の速読」ですが、佐藤優氏にいわせるとこれがいちばんむずかしいそうです。

「超速読」と違い、書かれている文字を追いかけるのですが、かといって熟読になってはいけないというのです。

やはり、本とシャーペンとポストイット(一端に糊の着いた付箋)を用意します。

そして……

1.本の内容を100%理解するという「完璧主義」にはならないこと
2.もう2度と読まないという心構えで臨むこと(何度も読んでいたら結局熟読と同じだけ時間をかけてしまう)
3.複数の著者が寄稿している雑誌は著者名で選別すること
4.ソファなどに横にならずに、極力椅子に座り机に向かって行うこと
5.そして、文字を出来るだけ速く追う(1ページ15秒ぐらい、最初は1分ぐらいでもよい)
6.同じ行を何回も読み直さないよう定規を当てて前の行を隠す
7.最重要箇所はシャーペンで印をつけ、ポストイットを貼る
8.見出しであたりをつけて通読する新聞の読み方を応用する


ということです。

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まとめ


熟読、速読、超速読は、それぞれ目的が違います。

たとえば、速読は熟読の代わりにはなりません。

佐藤優氏のいう速読は、決して短い時間で熟読並みに理解できるという超能力のようなものではなく、あくまで短い時間でできる読み方、という技法に過ぎません。

時間がないから速読をした、では、熟読にはかないません。

次に、佐藤優氏の読み方は、熟読はもちろんのこと、超速読や普通の速読にしても、本への書き込み、メモ、付箋貼りといった作業が必要です。

短い時間で読む速読だからテキトーに流し読む、ということではないし、本の内容がすっと頭に入るような特技を示しているわけでもありません。

そして、前回の繰り返しになりますが、佐藤優氏は本は古本でも良いので買うことを勧めています。

前出のラジオでも言っていますが、情報の完成度を考えると、本は安い買い物だといいます。

たとえば、ある本に書かれていることと同じテーマのことを、自分でネットで調べたり、専門家にヒアリングしたりしていたら、いったい時間とお金と手間暇がどれぐらいかかるか。

私も、佐藤優氏ほどではありませんが、以前はある程度の本は持っていました。

しかし、実家からたくさん持ち込んだ本が火災で全部焼けてしまい、以来、物を持つことが馬鹿らしくなってしまった厭世的な人生観で生きているため、本の購入は近年グッと減ってしまいました。

でも、佐藤優氏の読書に対する姿勢を本書で知り、自分もまた読書量を増やしてみようかな、とくに古典を読んでみようかな、という気持ちになりました。

まあ、300冊は無理だと思いますが、Max6冊という熟読は何とか近づきたいものだと思います。

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/07/27
  • メディア: 単行本


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