『小さなスナック』(1968年、松竹)を観ました。歌のタイトルとしてご存じの方もおられると思いますが、まさに同名の歌をモチーフにした映画です。歌っているパープルシャドウズも出演しています。主演は藤岡弘と尾崎奈々。2人の恋愛がストーリーの中心です。(画像は劇中より)
昨日は『
特捜最前線』について書きましたが、最後が「そうしてみると、藤岡弘、はがんばってますね。」で結びました。
今日はその続き、というわけではないのですが、やはり若き頃の
藤岡弘が出演している『小さなスナック』です。
1968年に封切られた映画なので、かなり昔の作品ですが、タイトルにもなった主題歌の『小さなスナック』という歌は、今もよく覚えています。
パープルシャドウズというグループが歌っていて、歌謡史の流行でいえば、
グループサウンズ(GS)と、
フォークソングの過渡期ぐらいに出てきた、まさにその両方の要素を持った歌ではないかと思います。
映画史的には、松竹が、歌のタイトルをそのまま映画のタイトルに使う、その歌の
ミュージック・ビデオのような作品を作っていた時期があって、そのひとつです。
他には、
ザ・ジャガーズというグループが主演した『進め!ジャガーズ 敵前上陸』(1968年)や、
ヴィレッジ・シンガーズの『思い出の指輪』『落葉とくちづけ』などがそうですね。
グループサウンズではありませんが、このブログでご紹介したことのある、
ピンキーとキラーズの『
恋の季節』(1969年)も、そのコンセプトで作られたものだと思います。
『恋の季節』より
今だったら、BSやCS、さらにはインターネットドラマなどもありますが、当時は映画とテレビ(地上波)しかなかったから、そういう作品も映画化されたんですね。
そのグループサウンズの“ミュージック・ビデオ”シリーズのすべてにヒロインとして出演したのが、
尾崎奈々という今は引退した女優。今回の『小さなスナック』もそうです。
そして、相手役は、松竹のホープであった若き日の藤岡弘。←当時は「、」がありません。
60年代後半の恋愛映画は、ちょっと世代が違うので私にはピンと来ない部分もありますが、「スナック」という言葉が入っただけでも、当時青年だった人は、いろいろな思い出がよみがえるのではないでしょうか。
スナックで生まれスナックで終わった恋愛
舞台は青山の小さなスナック。マスターは
石井伊吉(
毒蝮三太夫)です。
スナックというのは、文字通り“
軽食を提供する酒場”といったところでしょうか。
同じ「酒場」でもバーやキャバレーと違うのは、喫茶店と兼用(昼は喫茶店、夜はスナック)できる規模の酒場ということ……だと私は理解していますが、なにぶんこういう世界は詳しくないので断言はできません。
とにかく、
若者が呑んだり食べたりしながら友達と会って話せる店、ということです。
店では、パープル・シャドーズが『
小さなスナック』を演奏しています。
店の客として、
ジュディオングも実名で出演しています。
そこに集まる常連の若者たちが、新顔の女性・美樹(尾崎奈々)を歓迎します。
彼らは一晩中楽しみますが、朝になって、彼女を連れ去ったのは、その中の一人である昭(藤岡弘)。
2人は親しくなり、美樹(尾崎奈々)はデートを率直に喜ぶのですが、自分の素性を明かしません。
そこで、昭(藤岡弘)がこっそり後をつけたところ、彼女は
母子家庭でありながら、美容院の若きオーナーでした。
2人は口吻を交わしますが、以来、美樹(尾崎奈々)はスナックに顔を出さなくなり、美樹の母親は昭(藤岡弘)に、「
美樹は結婚していることになっているからもう会わないでくれ」と言います。
そして、彼女は交通事故で病院に。
昭(藤岡弘)が病院に駆けつけたとき、実は
自殺未遂だったことや、彼女の
パトロンの三浦(
高橋昌也)の存在も知ってしまいます。
それでも美樹(尾崎奈々)を諦めきれない昭(藤岡弘)は、小さなスナックで「待っている」と伝え、マスター(毒蝮三太夫)と待ちますが……。
“小さなスナック”は、
青春のほろ苦い思い出として締めくくられています。
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