So-net無料ブログ作成

『美女と液体人間』白川由美と平田昭彦、佐原健二、佐藤充

美女と液体人間・タイトル

『美女と液体人間』(1958年、東宝)を観ました。特撮スリラー映画とされるジャンルです。今だったら、タイトルだけで、何だかバカバカしそうだ、と思われるかもしれません。しかし、今から60年近く前の映画です。お化け屋敷が、遊園地に当たり前のようにあった時代の作品ですから、こうしたタイトルやストーリーでもよかったのでしょう。(画像は『美女と液体人間』より)

『美女と液体人間』は、『電送人間』(1960年、東宝)、『ガス人間第1号』(1960年、東宝)とともに、「怪奇空想科学映画シリーズ」三部作などといわれています。

特撮による登場人物をめぐる、サスペンスやアクションのストーリーが展開されるのです。

先日ご紹介した『ガス人間第1号』は、パイロットになれなかった青年を、応募者の個人情報を入手した博士が自分の実験材料にして、肉体をガス化させてしまいました。

ガス人間は、普通の人間でなくなってしまった怒りと悲しさ、何でもできる無敵な自分を、日本舞踊の家元・藤千代に非合法に尽くすことに捧げるという、特撮“らしくない”心理描写の込み入った展開でした。

『ガス人間第1号』壮絶なラストと特撮、大人の心模様を描ききる

では、今回はというと、昭和29年の「第五福竜丸事件」の恐怖をモチーフにしています。

といっても、放射能の雨で人間が液状化してしまったという話です。

しかも、実験をした現場ではなく、それからずっと時間のたった東京の「雨」でそうなるというのです。

科学的にまじめに考えたらあり得ない話です。

それに、被曝被害者を、恐怖の対象にしたり、「人類の敵」としたりしているのですから、現在だったら叩かれてしまうでしょう。

ただ、デマでも鵜呑みにする、世間の不安感を反映した作品なのだろうと私は解釈しています。

スポンサードリンク↓

シンプルな液体人間退治




麻薬密売人・三崎(伊藤久哉)が、小雨降る東京の夜、衣服一切を残して跡形もなく消え去りました。

三崎は、キャバレーの人気歌手・千加子(白川由美)と交際がありましたが、彼女が参考人として富永捜査一課長(平田昭彦)の取り調べを受けている時、生物化学者の政田(佐原健二)が現われました。

政田は、三崎の蒸発は水爆実験に関係があると、友人の富永刑事に打ち明けるのです。

しかし、いくら友人と言っても、警察の取り調べ中に部外者が簡単に入ってくるというのはちょっと……、と突っ込むとつまらなくなるので、ここは見て見ぬふりをします(笑)

三崎だけでなく、持ち逃げした麻薬の行方も不明のため、それを狙うギャング団も千加子に接近しています。

が、その一人の西山(藤尾純)は、千加子に迫ると液体人間に溶かされて姿を消してしまいます。

政田は、富永捜査一課長に、原爆症の入院患者を紹介します。彼らの話では、第二竜神丸(第五福竜丸がモデルらしい)とすれ違うと、液体人間に次々と液体にされ、2人がようやく逃げ帰ったというのです。

要するに、三崎が、冒頭のシーンで放射能の雨にあたって、液体人間になってしまったということらしい。

そして、液体人間は、他者を液体にしてしまうらしいのです。

しかし、三崎だけが液体になっても液体人間として活躍でき、液体にされた方はそれっきりというのはどうしてかの説明がありません。不思議です。

それから、政田は千加子に何かと親切です。どうやら、世間ずれしていない学者が、内縁の男が行方不明になったクラブ歌手を好きになるという、“禁断の愛”を描いているようです。

ギャング団の内田(佐藤允)は、千加子を連れ出して麻薬が陰匿してあるマンホールに入ります。

しかし、捜査陣と政田らは、マンホールにガソリンを入れ、特別火焔放射器で液体人間を燃やすことにしていました。

途中、内田が千加子を突然下着姿にします。

液体人間にやられたように見せかけるカムフラージュというのですが、なら全部脱がないとおかしいと思うのですが、全部は脱ぎません。

たんに、白川由美の下着姿を観客に披露したかっただけのようです(苦笑)

そこで液体人間が現れて、内田は液体にされます。

マンホールには火が広がり、液体人間は焼かれ、危なくなったところで千加子は救われます。

しかし、液体人間は、ギャングを2人仕留めただけで、別に一般人に迷惑はかけていません。

被曝者の描き方のモラル以前に、物語として、本作はなんとも善悪の付け方がシンプルです。

それに比べると、公開はその2年後ですが、『ガス人間第一号』は登場人物の葛藤など物語としての完成度がずっと上だと思います。

ただ、ネットのレビューでは、特撮を生かした作り方として、本作を評価する意見もあるようです。

興味のある方は、ぜひ観比べてください。

「怪奇空想科学映画シリーズ」三部作のもうひとつである『電送人間』も、近いうちにご紹介したいと思います。

美女と液体人間 [東宝DVDシネマファンクラブ]

美女と液体人間 [東宝DVDシネマファンクラブ]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


nice!(309)  [編集]

nice! 309

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます