東日本大震災。
私が気に入らないのは、再三書いている「買い占め、買いあさり」とともに
「政府、東電批判を手控えろ」論です。
テレビの画面に出てくる、官房長官や東電幹部の「懸命」な説明、
悲惨な被災地と危機感のある原発の映像と説明にすっかり興奮し、
とにかくそこに関わる「立派な」人の「がんばり」には一切意見を言わずに
見守ろうという観念論が、ネットの一部にあるようです。
私は、これはいかがなものかと思います。
いや、たんに個人的な好みとしての異論反論ではなくて、
それは結局、解決を遅らせ新たな禍根をもたらすことで
被災者の人々のためにならない、という点で「まずい」と思っています。
菅総理のやらずもがなの視察パフォーマンスが、
原発1号機人災説につながっていることは
すでにマスコミが書いています。
その一方で、肝心の補正予算、自衛隊出動、避難区域指示など
すべき決断が致命的なくらいに遅れたり後手後手に回ったりしていることも。
昨日も書きましたが、総理が東電幹部をしかりつけて、さかしらに
「オレ様は原子力の専門家だから、東日本がつぶれる可能性があるのも分かっている」と
言いはなったというニュースは、それでも一国の総帥なのかと
背筋が凍る思いがしました。
屋上屋としかいいようのない、マスコミに露出の多い女性議員の関係ポスト任命も
何だかなあと思っていましたが、案の定、れんほうという大臣が
やらずもがなの「周知メール」を出したことが物議を醸しています。
東電についても、現場の作業員の労苦と、
幹部の隠蔽体質を区別しないミソも糞も一緒くたにした「温かく見守り論」は、
情に弱い、というより無原則な日本人らしい観念論です。
命の危険も厭わず頑張る現場の作業員を中傷したがる人間などいやしません。
ただし、彼らの大半は、東電の社員ではありません。
下請け、もとい、孫孫請けぐらいの無権利な労働者です。
日当9000円ぐらいで命賭けて……
その立場からして私は涙が出てきます。
彼らの労苦に報いるためにも、
隠蔽体質と後手後手の対応である東電がきちんと
世間の批判を受けるべきであると私は考えます。
違いますか?
ところが、政府、東電擁護論者は、こう言います。
「批判はこの事態が収束してからでイイ!」
「それは間違っている」「こうした方がいい」ということを
今、言わないでどうするのですか。
後になって、こうすればよかったと
あれこれ愚痴る方が、よほど不毛です。
擁護論者は、被災地で、飢えと寒さに震える人々に
「政府と東電を温かく見守れ、批判は後にしろ」と、胸を張って言えますか?
今一番大事なことは、被災者の方々の安全と安心であり
政府や東電の顔色ではないはずです。
被災者にとって、不利益・不都合なことは、
言い訳無用の「悪いこと」なのです。