週刊ポスト増刊sepia 昭和のライバル(小学館) [文学]

『週刊ポスト増刊sepia昭和のライバル』(小学館)は、昭和を彩ったスターの、自他ともに認める「好敵手」との関係を特集しています。ライバルの存在が生み出す熱気とともに、今だから明かせる秘蔵エピソードなどを収録しています。
本書は、昭和を彩ったスターには、自他ともに認める「好敵手」の関係について書かれた記事でまとめられています。
すでにネットで公開されているので「ネタバレ」にはならないと思いますので、具体的に誰について書かれているか、ご紹介します。
- 長嶋茂雄vs村山実……指にボールを挟んだまま眠った“打倒ミスター”への執念
- 王貞治vs江夏豊……江夏の女房役が明かす「王で新記録達成」の勘違い
- 江川卓vs西本聖……地獄の伊東キャンプ」で火がついた“怪物”と“雑草”のエース戦争
- 青木功vs尾崎将司……ジャンボが「頭の中から青木功を消し去る」と口にした日のこと
- 瀬古利彦vs中山竹通……今だから明かせるソウル五輪選考「這ってでも出てこい」騒動への思い
- 中山律子vs須田開代子……同期生が遭遇したプロテスト最終日「女子トイレの緊迫」
- コント55号vsザ・ドリフターズ……「計算された団体芸には敵わないよ」萩本欽一が明かす「夜8時戦争」の真実
- 勝新太郎vs市川雷蔵……何もかも対照的だった「勝ちゃん」「雷ちゃん」の同期関係
- 高倉健vs菅原文太……「健さんがケガしたのに撮影できるわけねぇだろ」と文太は怒鳴った
- 萩原健一vs松田優作……「ショーケンと同じように辞めたい」と優作は言い出した
- 吉田拓郎vs井上陽水……「彼の歌はサドで僕の歌はマゾ」陽水が明かしていた“拓郎評”
- 松任谷由実vs中島みゆき……75年、『ルージュの伝言』と『時代』が女性たちを自由に解放した
- 松田聖子vs中森明菜……聖子の「ライバルです」に応じた明菜「別に……」発言の真相
- ジャイアント馬場vsアントニオ猪木……馬場が愛弟子・鶴田に言った「猪木のような悲壮感を出せ」
- 藤波辰巳vs長州力……藤波が語る真相「長州を焚き付けたのは猪木さんでしょう」
- 山下泰裕vs斉藤仁……斉藤は最強の男に勝つため左組み手に変えた
- 大鵬vs柏戸……「よき目標で、ライバルで、友人」柏鵬対決に漲っていた「横綱の品格」
- 北の富士vs玉の海……病に倒れた宿敵に捧げる幻の“不知火型土俵入り”
- 田中角栄vs福田赳夫……官邸で「丸テーブル」を囲んだ角福戦争の“手打ち式”
- 竹下登vs安倍晋太郎……「安倍ちゃんを総理にできなかった」と“盟友”は生涯悔やんだ
- 佐橋滋vs今井善衛……『官僚たちの夏』のモデルになった「国家を背負う」通産省エース対決
- 堤康次郎vs五島慶太……令和の経営者にはない「強引さ」が「昭和のライフスタイル」を作った
- 中内「いさお」vs堤清二……ダイエーの出店予定地に「西武百貨店寮」を建てた“意地”
- 加藤「あきら」vs中江滋樹……「伝説の相場師」が互いに贈りあった“出所祝い”
- 江戸川乱歩vs横溝正史……「乱歩さんがいたから僕がある」亡骸の枕元で横溝は泣き崩れた
- 湯川秀樹vs朝永振一郎……日本初の「ノーベル賞」を導いた同級生との往復書簡
- 大山康晴vs升田幸三……「香落ち」で敗れる屈辱から35年 升田の通夜で大山がかけた言葉
正直、「どこかで読んだエピソードだなあ」とおもったら、「本書は『週刊ポスト』で特集し大反響を呼んだ特集企画を加筆・修正し1冊にまとめたものです。」と断り書きがありました。
面白い企画なので、書籍(ムック)化したんでしょうね。
詳細は本書をご覧いただくとして、私が個人的に興味があったのは、やはりジャイアント馬場とアントニオ猪木の好敵手関係です。
昭和を彩ったスターの「好敵手」関係
今は亡き、
— カオル (@WCYhUplPBw48283) March 2, 2025
天才コラムニスト&消しゴム版画家の
『ナンシー関』さんは、
プロレスにも造詣が深くて、しばしば独特の鋭い批評を書いてらした。
メタ視線というか。
馬場と猪木を
’’俺とおまえ’’とひと言でズバリと(上下関係を)表現していて、
つくづくこの人の感性は凄いなと思ったものでした。 pic.twitter.com/md8GYqHfpg
ジャイアント馬場とアントニオ猪木。
どちらが勝つか、強いか、という議論は、未だにプロレス村では盛んです。
でも、それはわりと浅いファンの話で、マジレスすると、「どちらが勝つか」の答えは、どちらのリングで戦うかによるでしょう。
身もふたもない話ですが、興行というのはそういうものです。
2人は、5歳違います。(ですから全盛期がそもそも違うということです)
当時独立採算制だった、プロ野球の2軍を自分の人気で食わせていた、つまりショービジネスの何たるかを熟知している馬場と、ブラジルで社会人経験のなかった16歳の猪木。
しかも、身長差が20センチ近くある。
スタートは、比較すること自体ナンセンスです。
先にアメリカで成功した馬場と、力道山の付き人でいじめられていた猪木の差は、猪木が言うような「えこひいき」などではなく、順当な結果だったと思います。
で、意外かもしれませんが、実は運動神経の評価も、当時のレスラーの間では馬場>猪木でした。
さすがに、スカウトされた元巨人の選手ですからね。
レスラーとして素質と経験に恵まれた馬場は、トレーニングするよりは、社長と麻雀して覚えを良くしたほうが仕事がしやすい、と思っていました。
つまり、プロレスを仕事と割り切っていました。
一方、猪木は、馬場に負けているのが悔しくて、「強くなる」ことだけを考えてとことんトレーニングしました。
その結果、猪木の「ストロングスタイル」というプロレススタイルが確立し、その一方で「人間的には馬場」という評価に、なるべくしてなったわけです。
お互いが独立してからは、火花をちらし合いましたが、水面下では話し合いもあり、また、レストランなどで会うと、猪木がペコペ挨拶して自分の食べた伝票を置いていき、馬場も「まあいつものことだ」と、支払いをしてやる関係だったといいます。
馬場の巡業先に、猪木が金を借りに「表敬訪問」したこともありました。
若い頃、猪木が、馬場よりも3年遅れてアメリカに武者修行に行くことになったとき、ちょうど入れ替わりで馬場が日本に帰国するときで、「もう使わないからやるよ」と、100万以上の小遣いを猪木に渡したと猪木自身が語っています。
ですから、表向きはライバルですが、私には兄弟のような関係に見えますけどね。
馬場の没後25周年興行に猪木はかけつけましたが、オフィシャルにはそれが猪木の最後の勇姿だったと思います。
#並んでるだけで猛者感を出せ
— 釋智峻 Seki Tomoya (@jackss_08) February 26, 2025
長嶋茂雄さんの誕生日
(巨人V9時代の名選手たち)
左から
土井正三
神埜和正
長嶋茂雄
王貞治
柴田勲 pic.twitter.com/3dCINjzMaw
ライバルと言うけど年も違う、という意味では、長嶋茂雄と王貞治も似たような関係だったのではないでしょうか。
長嶋が変わった人で、王は聖人君子のように書かれることもあります。
でも実際には、王は負けるとトレーナー室のベッドを引っくりかえしたり、大酒飲みで、コーチと酒を顔に引っ掛け合ったりする荒くれ者で、一方長嶋は小食で、実は眼鏡を掛けて物静かだった、なんて話もありますね。
花の中3トリオは不仲だったのか?
昭和52年 西城秀樹さん 森昌子さん 桜田淳子さん 山口百恵さん pic.twitter.com/TKcbOyfLKH
— Tayuki (@72tayuki) January 3, 2025
私の世代では、それ以外にも、芸能界では、
ザ・ドリフターズvsコント55号(萩本欽一・坂上二郎)
桜田淳子vs山口百恵
とか、
ビートたけしvsタモリ
とか、マスコミはわりと勝手に対立構図を作ってました。
が、ただたんに、同時期に活躍した人同士を並べて、「どうせ仲悪いんだろう」と、面白がっただけ、という気がしないでもないですね。
萩本欽一は、仲本工事と競馬仲間であったことを告白していますし、桜田淳子と山口百恵は、同じ品川学院中等部(確かクラスも同じ)で、逆にメディアの「対立記事」の方に嫌気が差して、2人で話し合って「変なことを疑われないようにしよう」と、あえて高校は別々にしたと、山口百恵の自著『蒼い時』にかかれています。
実際に映画『高2時代』や、スタ誕で共演もしていますから、少なくとも顔を合わせるのも嫌という関係ではなかったわけで、たぶん山口百恵自身の述懐の方が本当なのだろうと思います。
みなさんは、有名人のライバルと言うと、誰と誰を思い浮かべますか。
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アントニオ猪木さんはご本人を見かけたことがあります。
引退されていたからもしれませんが、意外に小柄な方で驚きました。
by kuwachan (2025-03-12 23:08)
今日も濃い内容をありがとうございます。
ナンシー関の消しゴムが一つでいいから欲しい、今なら誰を彫るのでしょう。
by hagemaizo (2025-03-12 23:39)
ますこみがつくったライバルあるんでしょうね
by mau (2025-03-13 00:30)
これは凄い(昭和)ですね(笑)。阪神ファンなんで、上の2行がたまらないです(*´ω`*)。
by 萌田かずきち (2025-03-13 04:00)
メディアは色んな対立軸を作りたがりますが、お互いはリスペクトしあっていたんだろうなーと思っています。
by HOTCOOL (2025-03-13 04:26)
表紙の画像でユーミンだけがニックネームですね、荒井→松任谷になったからなのかな?
ユーミンの歌は良く聞きます、昔の歌でも数十年後聞いても良い歌詞だなぁ~と思います。
堤康次郎vs五島慶太は西武vs東急とも言えますね、西武鉄道を合併する際に「合併する相手に劣等感を与えてはならない。」と自社の武蔵野鉄道の名を捨て敢えて西武鉄道とし、それが今でも続いているのはとても感慨深いです。
by アコモ (2025-03-13 04:36)
馬場と猪木の関係って、いいですね。
ライバル的存在がいるから高め合う事が出来るんですよね。
by mutumin (2025-03-13 05:57)
結局不仲や熱愛も多分そーじゃね的なノリで済まされてた部分もあるんでしょうね、で、それを逆手に取ってる芸能人も居ると(^◇^;)
by pn (2025-03-13 06:14)
おはようございます、いっぷくさん。
ご訪問ありがとうございます。
ライバルがいてリスペクトしながらお互いに向上心を持てればすばらしい事です。
by renbajinharuhi (2025-03-13 06:18)
切磋琢磨できる性格の方はいいでしょうが…
私はどうもいけません。
by 夏炉冬扇 (2025-03-13 06:58)
懐かしい名前が一杯です^^
by ツツピーツツピー (2025-03-13 09:11)
今の都庁舎の建築中、猪木さんが都知事に立候補するのでは?よいう噂が流れました。
そのため知事室のシャワールームは猪木さん仕様に変更となる?
建設当時、工事に携わっていて現場を確認しましたが、
普通のユニットシャワーが設置されていました。
by 川崎工場長 (2025-03-13 09:15)
人は 人を土台にして のし上がる
その精神がないと・・・人は一人一人 孤独に感じます
それでも 人がいるから 自分が 奮い立たせられるのかなーー
by もーもー (2025-03-13 10:57)
こんにちは。
「週刊ポスト増刊sepia 昭和のライバル」ですが、具体的なリスト見て、知らないライバル同士あり?面白そうですね。「山下泰裕vs斉藤仁」は強烈に記憶ありかな、良きライバルとして切磋琢磨して、どちらも栄光を勝ち取った柔道家です!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2025-03-13 11:34)
ジャイアント馬場vsアントニオ猪木については、
なにかと目立つ猪木の方が気になる存在でしたが、
馬場さんの団体の小橋建太のファンでした(^^ゞ
by CC (2025-03-13 22:12)
昔は猪木率いる新日本プロレスに魅力を感じましたが
今は馬場さんの全日本プロレスが楽しくて熱いです。
ナンシー関さんも懐かしい!プロレス論面白く読んでました。
あと椎名誠もプロレスにハマるきっかけだったかな。
馬場と猪木は世間ではライバルのように言われてましたけど
先輩後輩で割と仲良しだったんじゃないかなぁと思ったりします。
by cheese (2025-03-13 22:51)
みなさん、コメントありがとうございます。
by kuwachan (2025-03-12 23:08) さん
テレビで観て大きいと感じても、実際に実物を見るとあれ?と思うことはありますね。
by hagemaizo (2025-03-12 23:39) さん
彫ってほしい人、たくさんいますね。
by mau (2025-03-13 00:30) さん
たまたま同じジャンルで同時期に売れていた2人をとりあげたのではと思える人たちもいますね。
by 萌田かずきち (2025-03-13 04:00) さん
反響の大きかった記事を集めただけのことはありますね。
by HOTCOOL (2025-03-13 04:26) さん
そうかもしれませんね。
by アコモ (2025-03-13 04:36) さん
合併する相手に劣等感を与えない、という見識には考えさせられるものがありますね。
by mutumin (2025-03-13 05:57) さん
この2人をライバルと見ているのは周囲だけのように思います。
by pn (2025-03-13 06:14) さん
書かれたことがウソでもホントでも芸能人は取り上げてもらってナンボですから。
by renbajinharuhi (2025-03-13 06:18) さん
ライバルとの関係性はそれが理想ですね。
by 夏炉冬扇 (2025-03-13 06:58) さん
人それぞれですから。
by ツツピーツツピー (2025-03-13 09:11) さん
昭和を知る人にはたまりませんね。
by 川崎工場長 (2025-03-13 09:15) さん
猪木仕様のシャワールームってどんなのか見てみたかったですね。
by もーもー (2025-03-13 10:57) さん
周囲の人間と比較して自分の立ち位置や評価を認識できるという部分はあると思います。
by Boss365 (2025-03-13 11:34) さん
よくこれだけ集めたなあと思います。
by CC (2025-03-13 22:12) さん
真剣に攻めても諦めない「受けの美学」が特徴的な小橋建太もファンの多いレスラーでしたね。
by cheese (2025-03-13 22:51) さん
仲良しというか、馬場が懐深く猪木を受け止めていたように思います。
by いっぷく (2025-03-14 10:59)