正直者ばかりバカを見る (池田清彦著、角川新書) Kindle版 [社会]

池田清彦著『正直者ばかりバカを見る』(角川新書)は、生物学者である著者が社会に対して率直な意見を述べるエッセイです。本書では、原発問題、大麻、ガン治療、沖縄問題など、現代社会で議論の的となるテーマについて、著者独自の視点から鋭く切り込んでいます。

本書は、社会評論的エッセイですが、要するに、ずるくてギスギスした現代社会の不寛容さ、SNSの一部投稿のバカさ加減さを嘆いています。
それらは、感覚や価値判断で書いているのではなく、科学者として、データや実際の事件など、ファクトを根拠にしているのか特徴です。
Amazon販売ページに、目次の主な部分が公開されています。
あらゆる形の入院が認知症を作っている
イヤイヤやらされるボランティアは迷惑である
大麻取締法は憲法違反の悪法である
種の保存法は標本破壊促進法である
原発がなくても電力は不足しない
風力と太陽光は全くエコではない
むやみな理解や共感は平和にとって逆効果である
この世に絶対的な価値基準など存在しない
etc.
著者の池田清彦さんは、以前もご紹介したことがあります。
本当のことを言ってはいけない(池田清彦著、角川新書) https://t.co/SzWc37HiJm
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) March 7, 2025
私にとって同意できる点が多かったのて、またご紹介します。
その中から、とくに印象深いものをご紹介します。
小保方晴子騒動
小保方晴子の何をエンターテイメントにする気だよ…狂ってる。
— ?????? 垢 嘗 ????????あかなめ (@aka_name) March 1, 2025
そこに巻き込まれてる能年玲奈ちゃん、大丈夫かよ…。 https://t.co/Nq3mfbVZoC
小保方晴子著「あの日』(講談社)がベストセラーになったことを受けて、「小保方氏を擁護する人々」について述べています。まずは本書から……
「小保方氏が作成したと称する細胞がインチキだったことは、科学的にははっきりしているわけで、細胞を作成してみせない限り、何を言っても科学的にはゴミに等しいのだ。インチキをしたのは自分ではなくて、若山教授だとも主張しているらしいが、もし本当にそうであれは、裁判を起こして身の潔白を証明すればいいわけで、一方的な手記など何の意味もない」
全くそのとおりです。
が、ここまでなら、見識ある人なら誰でも言えるわけで、ここから先、なぜそのような「オボちゃんがかわいそう、オボちゃんを信じる」という「世論」が生まれたかを、現代政治と結んで考察しています。
内容を要約します。
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20世紀半ばまで、科学技術は人々の憧れと賞賛の対象であり、生活を豊かにし経済成長の原動力となった。
そのため、科学的正当性が権力の道具となり、事実と矛盾しても政策が撤回されにくい構造が生まれた。
例えば、ダイオキシン問題では科学的に安全と判明した後も規制が撤廃されず、特定の企業が利益を得る結果となった。
地球温暖化や原発推進も、科学的根拠が疑問視されながらも、利権と結びつき政策が継続された。福島原発事故は「安全神話」の崩壊を示したが、再稼働が進んだ。
こうした背景の中で、科学者への信頼が低下し、世論が直感や感情論に流されやすくなった。
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本書では、「オボちゃん」擁護をこう結んでいます。
「専門家の意見など無視しても自分の直感を信じたいという人々の一部が、小保方氏の肩を持っことに躊躇しなくなったのである。小谷野敦は「ネット社会の最大の間題はバカが意見を言うようになったことだ」と喝破したが、この風潮が科学的言説にまで広がってきた背景には、科学(科学技術)の権威が地に堕ちて、科学的事実を装ったウソが横行していることが大いに関係している。バカな人はキッチュなコトパもてあそを弄んで「バカと言う奴が一番バカ」などと言って気取っているが、バカと言っても言わなくてもバカはバカなのだよ。」※小谷野敦とは比較文化学者
STAP細胞に関しては、アメリカで特許が取得されたという情報をネット上で取り沙汰され、それを真に受けている人もいるようですが、特許は特定の技術の独占権を主張するためのものであり、STAP細胞の存在を証明するものではありません。
ハーバード大学が 小保方晴子のSTAP細胞の特許取得 ありまーす???♀ https://t.co/zsNqqvXXDH
— ツイッター速報?BreakingNews (@tweetsoku1) February 27, 2025
それにしても、
「ネット社会の最大の間題はバカが意見を言うようになったことだ」
まさにこれは、昨今の諸問題に対する、SNSの感情的な投稿につながっていますね。
もちろん、言論の自由はありますが、法律も道徳も論理も無視して、自分の都合の良い「言説の切り抜き」をどこからかコピペしてきて、思い込みだけで突っ走っちゃう投稿が後を絶ちません。
池田さんは、コミュニケーション能力の問題について、戦争と絡めて述べています。
お互いの見識を尊重しあい、他者を受け入れる
「世界中の人々が戦争を起こさずに平和で暮らすためには、お互いに相手のことをよく理解する必要があるといった言説が、あたかも自明であるかのように語られることが多いが、こういうことを言っているうちは、戦争はなくならない」
価値観はそれぞれで、理解なんかできっこないのに、理解できるという前提で付き合うと、諍いが起こるというわけです。
「あなたの言うことは理解できないが、私に危害を加えない限り、共存するに吝かではないよ」という態度こそ、紛争や戦争を起こさない最も効果的な方法だと思う。むやみに共感して付和雷同することの、真逆の能力だ。」
つまり、意見が違うなら違うでいい。もとい、違うものである。
そのうえで自分も相手も否定せず、お互いを邪魔せず、「違う存在」を受け入れる心の広さが、真の知力だと言っています。
ということで、話を戻すと、最近は彼女の「第二の人生」として、次の就職先や結婚報道などがあり、未だにファン=擁護者の多い小保方晴子さん騒動ですが、いかが思われますか。
私は、「バカ」が騒ぐ限り、彼女の不祥事は不祥事として科学的にははっきりさせておくべきと思いますが(シ者も出ていますからね)、私生活については、いつまでも追いかけないでそっとしとけよ、と思っています。

正直者ばかりバカを見る (角川新書) - 池田 清彦
この先生も面白い先生だと、TVを見てて思いましたね。
確か、武田先生と横並びで出ていて、お二人共痛快でした。
科学者も捏造し嘘をつく事がわかりましたね。人は嘘をつくものだとして、疑ってかかる事が必要かも知れません。
by 風神 (2025-03-11 23:19)
なんも言えねえ。
by hagemaizo (2025-03-11 23:28)
エビデンスのない結果は科学的にどうかとは思うけど、目の前の一部しか見えない専門家もイヤ
by mau (2025-03-12 00:15)
理化学研究所の誰もSTAP細胞のインチキを見破れなかったのも情けないです。
論文は共同執筆だし、査読もあるから、もっと早く化けの皮が剥がれそうなものなんですが。
理研は、そろいもそろって目が節穴なのだろうか。
by とし@黒猫 (2025-03-12 00:41)
オボちゃんファンは、彼女に同情するふりをして、彼女で遊んでいるだけです。
by 明々 (2025-03-12 00:45)
たしかにネット投稿でのバカな意見って多いですよね。
根拠のない事を大きくする怖さを感じます。
by mutumin (2025-03-12 05:51)
「正直者がバカを見る」
幾つか同意できました。
小保方さん・・・どうされているか
知りませんがあまり興味もありません。
by yoko-minato (2025-03-12 06:51)
小保方晴子。いまはどこで何をする人ぞ。
by HOTCOOL (2025-03-12 07:13)
現代医学が病気を作っている?(極端ですが)と思ったりすることがありますから、なんとなく共感する部分もあります。
by arashi (2025-03-12 07:42)
確かに。
何を信じていいのかわからなくなります。
「オボちゃん」のことも大変な騒動でした。
世の中、専門家が勝手なことを言ったため混乱するここと多いです。
医学的なことも。
癌になる原因だってそうですものね。
思い出しました、天動説。
by HOLDON (2025-03-12 08:28)
不同意の同意が無いと話先に進まないのは分かるんだけどそこが分かり合えないだよね(^◇^;)
by pn (2025-03-12 11:00)
>「ネット社会の最大の間題はバカが意見を言うようになったことだ」
ほんとですね。
兵庫県知事の選挙を見てつくづくそう思います。
あのN党党首は何をやりたいんだか分かりません。
by tochimochi (2025-03-12 11:07)
こんにちは。
小保方晴子さん騒動、本人もですが、科学者やメディアも含め反省する事が沢山ありです。また、人と事象を整理・分けないとエンドレスになりそうです!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2025-03-12 12:27)
「理解できないという前提で、受け入れる」
まったく以てそのとおりだと思います。
by ミケシマ (2025-03-12 12:59)
大手門(掛川城の表玄関にふさわしい楼門造り)
25/03/12 16:47:38
Re: (いっぷく)
> 掛川城の大手門、威風堂々としていて圧巻ですね。木造日本瓦葺き入母屋造り、シャチ瓦…細かいところまで丁寧に復元されているのが伝わってきます。大手門番所も、全国的に珍しい現存建物とのこと、歴史を感じます。 間口や奥行きの寸法も具体的に書かれていて、よりリアルに想像できます。
コメントありがとうございます。
『正直者ばかりバカを見る』・・・
理化学研究所は、今も健在ののようですね。
by tarou (2025-03-12 16:54)
小保方晴子さん、割烹着風の白衣着て実験してる姿が出てましたね。
可愛くて若くて、おっとりしていたイメージが残っています。
by ぷち (2025-03-12 19:07)
小保方晴子さん、久方。どうしていらっしゃるんでしょうかね。
by 夏炉冬扇 (2025-03-12 20:38)
みなさん、コメントありがとうございました。
by 風神 (2025-03-11 23:19) さん
人は嘘をつくもの。全く仰るとおりです。
何でも真に受けないで、ちょっと待てよと疑うようでないと危なっかしいですね。
by hagemaizo (2025-03-11 23:28) さん
おっ、オボちゃんファンですか。
by mau (2025-03-12 00:15) さん
専門家も万能ではない、という視点、共感します。科学的根拠は重要ですが、それが全てを解決するわけではありません。多様な意見を尊重し、バランスの取れた判断が求められますね。
by とし@黒猫 (2025-03-12 00:41) さん
理研もそうですし、そもそも学位論文が盗作だったこともわかった早稲田大学も問題ですね。
この件がなかったら、論文も不正をした人に博士を授与していたわけですから。
by 明々 (2025-03-12 00:45) さん
まあネット民なんてそんなもんでしょうね。
by mutumin (2025-03-12 05:51) さん
匿名で気が大きくなってしまうのかもしれませんね。
by yoko-minato (2025-03-12 06:51) さん
そうですね。そもそも公人でもタレントでもなく一般人ですからね。
by HOTCOOL (2025-03-12 07:13) さん
瀬戸内寂聴との対談に出てきたときは失笑を禁じえませんでした。
いや、瀬戸内さんの方に。
あの人、叩かれている人がいると、かならずその人と対談していましたね。
長年、あの人自身が叩かれていたのに、よくもまあ慰め役ができるものと。
by arashi (2025-03-12 07:42) さん
著者の池田さんは、健康診断は受けていないそうで、どこかの大学の教授になる話が来た時も、健康診断を受けないことを条件にしたそうです。
by HOLDON (2025-03-12 08:28) さん
科学者が世間の信頼を失っている、ということが大変重いことだと思いました。
by pn (2025-03-12 11:00) さん
池田氏の指摘する「むやみな理解や共感」の危険性と、相互理解の必要性のバランスを取ることが重要だと感じました。SNSでの議論がより建設的になるには、この点についての認識を深める必要がありそうです。
by tochimochi (2025-03-12 11:07) さん
全く仰るとおりです。未だに揉めてますね。
by Boss365 (2025-03-12 12:27) さん
小保方晴子さんの騒動は多くの教訓を残していますね。科学者やメディアの責任も大きいですが、私たちも情報を鵜呑みにせず、冷静に考える姿勢が求められます。感情に流されず、事実を見極めることが重要ですね。
by ミケシマ (2025-03-12 12:59) さん
つい、「なんでこの人はわかってくれないのだろう」と思ってしまうことはありますね。そもそもそれは傲慢なことですね。他人は変えられないので、自分が変わるしかないわけですが。
by tarou (2025-03-12 16:54) さん
まあ人の噂も七十五日ということだと思います。
by ぷち (2025-03-12 19:07) さん
「人は見た目で判断してはいけない」とかいいますが、心の中なんてわかりませんから、見た目は重要なわけで、その点で彼女は上手だったと思います。
by 夏炉冬扇 (2025-03-12 20:38) さん
結婚したところまでは報道がありましたが、ネットで名前を取り出さされる限りは、きっと続報があると思います。
by いっぷく (2025-03-13 01:06)