二重学籍はどうしていけないのか [社会]

二重学籍ってご存知ですか、同時期に掛け持ちで2つの大学に在籍することです。残念ながら、多くの大学では学則で禁じられているのですが、決定的な理由がありません。一方、二重学籍以上に時間の拘束が厳しいと思われる、学籍と就労を並行する勤労学生については何の問題もないのです。
多くの大学は、二重学籍を学則として禁じています。
といっても、あくまで学則であり、法律で定められているわけではありません。
したがって、学則に定められていない大学は、二重学籍を問題にしません。
私が知っているところでは、放送大学、慶應義塾大学通信課程、立命館大学……数えるほどです。
ですが大半の大学は禁じられており、処分についても独自の学則で決められています。
見つかれば、学籍(取得単位)は過去に遡って無効、なんてことにもなりかねません。
それって、おかしいよねっという話題が、社会人学修者のコミュニティ、たとえばLINEのオプチャなどで、しばしば盛んになります。
勤労学生がOKで、二重学籍がどうしてNGなのかと。
18~9歳の「現役」世代でもそのような悩みがある人がいるかも知れませんが、歳を取ってから学業復帰し、時間が惜しい世代には、なおさら切実です。
「現役」世代には、2つの大学に合格したもののどちらかに決められず、しばらく両大学に通ってどちらにするか見極めたい、とする場合があるようです。
この場合は、いずれはどちらかに決めるためなので、それほど深刻ではないかも知れません。
一方、歳を取ってから学業復帰すると、卒業後に複数の知識や資格(たとえば教育学&心理学とか)を活かして働きたいという場合、2つの分野を順番に学修すると、それだけ年月がかかってしまいますから、並行して学修したい、という欲が出るのです。
また、複数の専攻を並行して学修することで、知識が重層的に広がり深まることもあります。
十分な学習時間が確保できないから?
二重国籍ならぬ二重学籍ゲット()
— れお (@Kurume_exp_) September 5, 2023
偏差値(河合塾)も実質(70+5+5)+(65+5)=150
ってことですね pic.twitter.com/4di5zGPyhR
文科省は、禁じているのではなく、あくまでも「現実問題として時間的に大変だから」という表現で、二重学籍が困難であることを述べています。
「学校教育法の修業年限の規定の趣旨に照らし、学生が二以上の大学の教育課程を同時に履修することは学生の十分な学習時間が確保できなくなると考えられるためです。」
(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigakukan/1258058.htm)
でも、これは、必ずしもそうとはいえないんですよね。
ダブルスクールは?
たとえば、大学生が、昼間は大学に通いながら、夜間には専門学校に通うダブルスクールなんてよくある話です。
なぜ、大学の二股は駄目で、専門学校との掛け持ちならいいのか。
早めに単位を取ったら?
規定の年限より前に卒業単位を満たしてしまったので、卒業までの残った時間は他の学校に通いたい、ということもあります。
つまり、3年までで120単位とったから、4年次は別の大学の科目を履修してもいいか、という話です。
これは、文科省の言う「二以上の大学の教育課程を同時に履修する」にも引っかからないケースです。
ですから、このケースは大学によってはOKということもあるらしいです。
ただ、すべての大学が許可するとは限りません。
不適切な単位や学位の取得につながるリスク
もうひとつ、二重学籍を禁じる大義としては、同時に2つの大学で学び、両方の大学で類似の科目を履修して単位を二重に取得するなど、不公平な学位取得が発生する可能性がある、というものです。
つまり、2つの大学で履修科目を重複させれば、1科目分の勉強時間で、2科目分の単位が取れるから不公平である、ということです。
これもねえ、替え玉使うわけではなく、あくまで本人が勉強して、リポートを書いたり試験を受けたりするわけですから、問題ないと思うのです。
そんなこと言ったら、専攻科目しか学修しない大学院などは、科目によって学修領域が重なる科目なんて当たり前のようにありますから、5科目分の勉強時間で、8科目分の単位が取れるなんてこともありますよ。
バレないようにすると無意味になる!?
二重学籍は法令で禁止されている訳ではありませんが、文部科学省は好ましくないという見解です。
— 眠い大学職員 (@StaffSleepy) April 5, 2024
海外の大学と「共同学位制度(ダブルディグリープログラム)」として導入している大学はいくつかありますね。https://t.co/EuYCtez5jp https://t.co/GMGPaRtc2y pic.twitter.com/dcgSlCPenV
で、実際のところ、二重学籍をヤッたとして、見つかる可能性はあるのでしょうか。
たぶん、本人が黙っていれば、わかりません。
事情を知っている友人が、学校に言いつけたとしても、学籍は個人情報なので、簡単に調べることはできないからです。
どこかの都知事が、それで選挙を2度も逃げ切っていますしね。
しかし、就活などで、履歴書に書けばもちろんバレます。
履歴書に書けないのなら、「学修」に意義はあっても、「学歴」としては意味がありません。
学歴として意味がないことに、時間とお金をかけるわけにはいかないでしょう。
ということで、やっぱり二重学籍はだめだ、という結論になるわけです。
ただ、少子化で、かつ各学問分野は学際化しているので、たぶん近い将来、二重学籍は認められる方向に行くのではないかと私は予想しているんですけどね。
いずれにしても、大抵の方は、「社会に出てから、2つの大学に並行して行きたいなんて、酔狂なことだ」と思われるかもしれませんね。
まあ、人生いろいろですから。
いかが思われますか。

大学院・通信制大学 2025 (AERAムック) - 朝日新聞出版
私は他大学の授業に勝手に参加したり、いくつかの大学の学食を食べに行ったり、この程度なら入学金も授業料もかかりません。
by hagemaizo (2025-03-09 22:55)
^^;ご縁が無かった私は ちょっと うらやましい
問題だなって思っちゃいました。☆彡
by ゆうのすけ (2025-03-10 00:19)
出席日数が足りるのかという気はしますね
by mau (2025-03-10 00:31)
いっぷくさん おはようございます。
学生さんたちの笑顔はいいですね。昔を思い出します。
by SORI (2025-03-10 06:09)
たしかに出来る方だったら同時に2つの大学に学んで良い気がします。
家の長男は音大だったのに、まったく違う言語という分野に行きました。これから研究したい事は言語の発する言葉を音から研究したいと先日会った時に話していました。これは音楽をやった人でなければこんな発想が生まれないと思いました。そういう事って、他の分野にも当たり前にあり得る事。だとしたら、学び方はいろいろあって良いと思います。向学心のある方の芽を摘んではいけないと思います。
ある意味日本の教育は画一的考え方なんですよね。もっと大きい中で考えるべきなのではないでしょうか。
by mutumin (2025-03-10 07:04)
学びは自己研鑽にもつながるから、そんな頭の固い事じゃダメなような気がします。
by HOTCOOL (2025-03-10 07:08)
ブログの書き込みで感じるのは、関東の方は土筆食べないようですね。
by 夏炉冬扇 (2025-03-10 08:04)
吾妻山公園のスイセン(二宮)
25/03/10 09:03:10
Re: (いっぷく)
> 冬の訪れとともに咲く約60万本の水仙は、確かに見事です。甘い香りと美しい景色が訪れる人々を魅了するのは、間違いなく特別な体験ですね。特に1月から2月のこの時期は、訪れる価値がありますね。
お早うございます、春咲く花は良いですね(^^♪
季節の移り変わりが大きく変化します。
二重学籍、受けたい授業が有るのかな?
by tarou (2025-03-10 09:11)
こんにちは。
緩い日本の大学なら二重学籍も可能と感じますが・・・
大学側や文部省としては阻止したい案件みたいですね。
質重視で、入る易く卒業し難い大学にした方が良いかな!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2025-03-10 10:05)
普通に考えたらおかしなことです。
しかし,文科省の言い分に同意はできませんが,その理由は分かります。
1コマ2単位の講義を受けるには,その2倍分の自宅学習を要するという大義名分がある事です。90分授業を1日4コマ受けたとすると,自宅学習は8コマ分すなわち12時間やる必要があります。現在の1コマ90分授業というのも慣例的そうしているだけで,120分という解釈すら成り立つそうで,そうだと,16時間の自宅学習を要しますから,バイトや遊びはもちろんの事,寝る時間も食事時間も出ません。そんなことでは並みの人間は生存できません。
講義回数をきっちり15回以上と義務付けたのも,余りにも本来の大学の姿とはかけ離れたという文科省の焦りからの指導でしょう。おそらく,文科省が大学に対してごく少数エリートの教育機関という名残の大義名分を引きずっているからそうなるので,一般人の感覚とは乖離しているのです(そのくせ大量の大学を認可して非エリート機関にしたのも同省の責任のはずです)。
(本来ならば)学籍一つでさえギリギリ状態なのに,二重に出来るはずがないというのが文科省の見解なのでしょう。
現状の解釈でも,学籍を置かないで特定の科目を受けるだけなら良いと思いますが,それも結構面倒かもしれません。
by Enrique (2025-03-10 10:13)
どこぞの都知事って誰だろう(笑)
by pn (2025-03-10 11:56)
みなさん、コメントありがとうございます。
>by hagemaizo (2025-03-09 22:55) さん
なるほど。面白い視点ですね。確かに、学食や授業に参加するだけなら費用もかからず、知識も得られます。ただ、正式な学位や単位は取得できないんですよね。
by ゆうのすけ (2025-03-10 00:19) さん
そうでしたか。松田聖子さんのように、通信課程は誰でも受け入れてくれます。ただ卒業は大変ですけどね。
by mau (2025-03-10 00:31) さん
今は代返とかやってないんですかね。ヒトサマを当てにしてたら駄目ですかね。
by SORI (2025-03-10 06:09) さん
時代は変わっても学生は初々しいですね。
by mutumin (2025-03-10 07:04)
おっしゃる通り、異なる分野を同時に学ぶことで新たな視点や発想が生まれることは多いですね。日本の教育制度が画一的であることは、柔軟な学びを妨げる要因の一つかもしれません。多様な学び方を認めることで、向学心を持つ人々の可能性を広げるべきだと思います。学際的なアプローチが今後の教育に求められる時代ですね。
by HOTCOOL (2025-03-10 07:08) さん
そうですね。学ぶことに対して道は開けてほしいですね。
by 夏炉冬扇 (2025-03-10 08:04) さん
そうですね。私は未経験です。
by tarou (2025-03-10 09:11) さん
「他人の芝生は青い」で、入る前は楽しそうでも、いざ授業を受けたらそうでもなかった、ということはあるかもしれません。
by Boss365 (2025-03-10 10:05) さん
大学も文科省も保守的なんでしょうね。
by Enrique (2025-03-10 10:13) さん
確かに、文科省の見解には一理あるものの、現実的な学習環境や学生の多様なニーズに対しては、必ずしも適切とは言えない部分が多いですね。
特に、現代の学生は多忙な生活を送っており、学業と仕事、さらにはプライベートの時間を両立させることが求められています。その中で、二重学籍を認めることで、より柔軟な学び方ができる可能性があると思います。
また、講義の回数や自宅学習の時間についても、学生一人ひとりの状況や学習スタイルに応じた柔軟な対応が必要ではないでしょうか。例えば、オンライン授業やフレキシブルなカリキュラムの導入など、学びのスタイルを多様化することで、学生がより良い環境で学べるようになるかもしれません。
文科省の方針が、エリート教育の名残を引きずっているという指摘も興味深いです。今後、教育制度がより多様な学びを受け入れる方向に進むことを期待したいですね。
by pn (2025-03-10 11:56) さん
運も良かったんでしょうけどね。対抗馬が悪いとか、コロナ禍のドサクサとか。
by いっぷく (2025-03-10 23:51)
歳を重ねると、カタカナ語の世界に悩まされます
ブログの引っ越しでは、写真張り付けでトラブルがあり
右往左往しましたが、ようやくトラブルが解消
88歳の手習いですが、これからも頑張りますので
宜しくのでお願い致します
by koh925 (2025-03-12 23:38)