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Fラン私大論争 [社会]

Fラン私大論争

「Fラン私大」というキーワードがトレンド入り。ホリエモンが、「Fラン私大に入るやつは意味ない」と述べたことが発端になっています。確かに、学歴フィルターによれば「Fラン」はお呼びではありませんが、イノベーションを司る大学院になると話は違ってきます。





ことのあらましはこうです。

ホリエモンが、Xにおいて、ネット上で議論の的になっている「大学」について、「笑。俺半年くらい過去問中心にやったくらいで東大現役で受かったけど」と振り返ります。

「一般人はそのようにできない」といった声が上がると、ホリエモンは、「うん。だからそんな奴が大学受験なんかしても意味ないよって話をしてる。大学は頭のいい人がいく高等教育機関なんだよ」と返答。

「だから多額の税金が投入されてる。頭のいい人をより活用することで国富が増すから。大学に入らないといい会社に就職できないとか言ってFラン私大に入るやつに私学助成金が税金から支払われてるのは問題なのよ」と持論を展開しました。

ホリエモンが何を言っているかというと、

要するに、「頭のいい奴」だけが大学に行けばいい。それ以外は行けないように大学の数自体を少なくしろ、教育予算は「頭のいい奴」だけに集中的に投下すればいい、ということです。

高校や大学の無償化に反発する層は、これに賛成します。

しかし、私は結論から述べると反対です。

理由は、ツッコミどころが多すぎるから。

というか、「頭のいい奴」であるホリエモンが、それに気づかないはずがないし、またいつものようにとんがった発言で話題作りしているだけかもしれませんが、ネットでは盛り上がっているので、一応乗ってみます。

東大だからよい論文を書けるとは限らない



「ツッコミどころ」ですが、私が思いつくFラン大学の存在理由を枚挙します。

1.日本国憲法(第26条)で保証されている国民の学ぶ権利確保のため
2.ポスドクの就職先(学者が研究を続けられる場の確保)⇒イノベーションの担い手層の裾野の拡大
3.ホリエモンのいう「頭のいい奴」ではない、真の「学究者」の場の提供(大学院)


憲法については、歴然としているのですから、議論の余地はないですよね。

定員割れで、経営的にむずかしい大学の閉鎖はともかくとして、レベルが低いから潰せというのはおかしいで゛しょう。

東大だからインベーションは期待できる、Fランだからできない、というほど単純なものではありません。

大学までは、たしかにホリエモンの言う「頭のいい奴」かどうかで偏差値が違ってきたし、それが入学試験に反映されました。

それが大学院になると、教科書の暗記力ではなく、論文をきちんと書けるかどうか、つまり、あるテーマをしっかり究められるかどうかがすべてであり、これは大学までの価値観とまるっきり変わってくるんですね。

しかし、広告塔と学費目的で、芸能人でも入れる一部の例外は別として、通常、大学院は大学を卒業していないと進めません。

ですから、大学の門戸を狭めてしまうと、イノベーションの担い手候補は、入口から可能性を奪われてしまうのです。

今の日本は、全人口のうち、博士0.5%、修士2~3%しか入ってないんですよ。

その結果、技術も経済もどんどん落ち込んで、GDPはドイツにも抜かれて、早晩インドにも抜かれるだろうといわれています。

学費無償化や、文教予算の拡大に反対している人たちに、それを巻き返す対策はあるんですか。ないのに反対しているのは、無責任すぎませんか。

日本が沈没してもいいんですか、という話です。

可能性は明らかに異なる


ホリエモンは、東大を中退して起業しましたが、実は大卒でないことを後悔しているくだりも、過去の書籍にはあるんですね。

MBA(経営学修士)という、専門職修士だけは入りたかった、と述べています。

専門職修士というのは、専門学校の高等教育のようなもので、修了しても、法学とか理学とか従来の修士とは同じ扱いではないのですが(つまり博士課程には入れないのですが)、大卒が入学の条件なのです。

結論ですが、簡単に言うと、イノベーションは、より多数の人材を育成したほうが創出の可能性は高くなる、ということです。

サラリーマンになったとしても、大卒と高卒では給与体系が異なる会社もあります。

要するに、学者になろうが、就職しようが、可能性は明らかに異なります。

ですから、現状の社会の仕組みを鑑みれば、Fラン大の存在価値もあるし、Fラン大に行く意味もあると思いますから、ホリエモンの話は暴論だと思います。

いかがお考えですか。

ホリエモンのニッポン改造論 この国を立て直すための8つのヒント (SB新書) - 堀江 貴文
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