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吉田秀雄などの功罪をまとめた『まんが鬼の創業者列伝』(コアコミックス) [文学]

吉田秀雄などの功罪をまとめた『まんが鬼の創業者列伝』(コアコミックス)

まんが鬼の創業者列伝(アンソロジー著、コアマガジン)は、日本の経済を支える総勢30人の経営者たちの生き様や経営手法をまとめた漫画です。吉田秀雄ら、綺麗事の偉人伝ではなく、「ブラック」であることも包み隠さず描いています。(文中敬称略)



『まんが鬼の創業者列伝』は、アンソロジーがコアマガジンから上梓した漫画です。

芸能、出版、音楽、製造、飲食等、我が国の実体経済を支える各産業のトップにたつ者たちの、「極道並みの恐怖経営者」(本書より)の実像に迫ります。

多くが漫画でまとめられているので読みやすく、またイメージもつかみやすい。

本書は2024年11月24日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。

登場する主な人物です。

渋沢栄一
日本経済の黒幕、1万円札の顔、タブー人生、68歳で子供100人!!性豪伝説

巨大企業を築き上げた 鬼の創業者“帝国”立志伝
孫正義(ソフトバンク)/稲盛和夫(京セラ)/中内功(ダイエー)/山田昇(ヤマダ電機)/野口遵(旭化成)/江副浩正(リクルート)/柳井等(ユニクロ)/前澤友作(ZOZO)/宗次徳二(カレーハウスCoCo壱番屋)/似鳥昭雄(ニトリ)

日本を震撼させた影響力 成功を収めた企業社長5傑
松下幸之助(松下電器)/本田宗一郎(ホンダ自動車)/吉田秀雄(電通)/小倉昌男(ヤマト急便)/盛田昭夫(ソニー)

東スポ会長 太刀川恒夫
やりたい放題娯楽紙 裁判での大立ち回り

トヨタ自動車元相談役 奥田碩
自動車産業の絶対権力者に隠された素顔とは!

読売新聞グループ会長 渡邉恒雄
メディアと権力の支配者は「嫁にメロメロ」

前回は、稲盛和夫(京セラ)をご紹介しました。

今回は、吉田秀雄 (1903年11月21日 - 1963年8月21日)にフォーカスします。

吉田秀雄は、日本を代表する広告代理店である電通の四代目社長であり、こんにちの広告業界のビジネスモデルを築いた人物として知られています。

広告を文化や経済を活性化させるツールに



吉田秀雄は1903年、大阪で生まれました。

裕福な家庭で育ち、早くから学問に秀でていました。

大学は早稲田大学商学部に進学し、経済や商業の知識を体系的に学びました。

1925年(大正14年)、吉田は電通に入社。

今なら、就職活動の最上位にランクされる会社ですが、当時の電通はまだまだそこまではいっていませんでした。

そもそも、日本において、広告代理店という業態自体が定着していない時代だったからです。

戦後の混乱期である入社22年目の1947年に、四代目社長に就任。

吉田の新機軸は、「宣伝は社会の鏡である」という理念を掲げたことです。

広告を単なる商品宣伝の手段ではなく、文化や経済を活性化させるツールとして位置づけました。

そこで、吉田は、電通を単なる仲介業者から、クライアントに包括的なマーケティングソリューションを提供する総合広告代理店へと進化させました。

つまり、社会を動かす提案型の仕事をしよう、ということです。

今、ネットでは、マスコミが意図する「流行」の黒幕は電通だと指摘しますが、あれはあたっていると思います。

次に、吉田が制定した「鬼十則」は、電通の社員の行動指針であり、広告業界全体でも伝説的なマネジメント哲学として知られています。

この10か条は、客対応や、仕事に対する向き合い方などプロフェッショナルとしての厳しい自己規律と、創造性を求める内容です。

ただし、これは女性社員の「過労自サツ」事件以来、社内では表向き消えたそうです。

そして、テレビCMの制作や、スポーツイベントのプロモーションなど、新しい分野への進出を推進しました。

さらに、「一業一社制」を導入し、業界ごとに独占的な広告契約を行うビジネスモデルを確立。

これにより、収益基盤を安定化させました。

こうした、広告業界改革のリーダーシップをとった吉田の指揮下で、電通は国内外で成長を続け、現在も日本を代表する企業として広告業界をリードしています。

ただ、惜しむらくは、1963年に59歳で早逝しました。先頭に立って働きすぎたのかな。

広告はたくさんのスタッフで成り立っている



昔、ホンダがインテグラという車を初めて販売した時、雑誌の裏表紙広告のコピーを私が書く機会に恵まれ、電通が担当していたので、関係者の打ち合わせと、インテグラの試乗に行ったことがあります。

そういう時の「関係者」は、たった1ページのカラー裏表紙に50人ぐらい来るんですよ。

アートディレクター、コピーライター、カメラマン、デザイナー、下請け孫請のクリエーターたち、広告代理店、もちろんホンダの人も。

いちいち名刺交換するから、それだけで30分ぐらいかかります。

50人が50回名刺交換したら、それぐらいかかるんです。なかなか打ち合わせに入れないの(笑)

こういう機会は何回かありましたが、一期一会で、その名刺が後日使われることは、まずないんですけどね。

最近は、そんな緊張感のある経験はしていませんが、電通中興の祖として、あの世界の基礎を作った方か、と私は本書から当時を思い出しました。

みなさんは電通や広告代理店というと、どんなイメージを抱かれますか。

まんが鬼の創業者列伝 (コアコミックス) - アンソロジー
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コメント 11

おっつぁん

第三次産業は文明社会の証ですな。
by おっつぁん (2024-11-24 23:46) 

mau

モノが世間に周知されるまでにはたくさんの人が関わるのですね
by mau (2024-11-25 00:22) 

HOTCOOL

電通=悪の枢軸(笑)
by HOTCOOL (2024-11-25 03:45) 

mutumin

私にはあまりいいイメージがないですね。
by mutumin (2024-11-25 05:29) 

pn

そうか当の本人がカロウシだから引き継がれてるのか、口だけじゃなかったんだな(^◇^;)
by pn (2024-11-25 06:18) 

夏炉冬扇

爺婆もちっちゃいながら創業者…
焼くのはお客様へのお楽しみサービスかねてます。
by 夏炉冬扇 (2024-11-25 07:34) 

Take-Zee

おはようございます!
SSブログ終了でこうしてコメント通じての
お友達もばらばらに。
そう考えると意気消沈しています (;.;)
by Take-Zee (2024-11-25 09:41) 

十円木馬

自分の時代でも電通、博報堂は花形企業でした。女子社員の痛ましい過労死事件はありましたが、広告業界に限らず過酷な勤務体系は当時多かったと思います。
by 十円木馬 (2024-11-25 14:09) 

センニン

こんばんは。
「鬼十則」、ある時期の職場に貼ってありました。
そこの責任者がそういう体質の人でした。
電通のものだったことは女性社員の事件の時に知りました。
by センニン (2024-11-25 18:11) 

かずい

『まんが鬼の創業者列伝』のように、成功者たちの光と影をリアルに描く視点がとても興味深いです!特に吉田秀雄の「広告は文化や経済を活性化するツール」という考えに共感しました。漫画で学べる形式も魅力的ですね!
by かずい (2024-11-25 21:49) 

いっぷく

みなさん、コメントありがとうございます。

> 第三次産業は文明社会の証
そうですね。

> たくさんの人が関わる
たくさんのお金も動きます。

> 電通=悪の枢軸
> あまりいいイメージがない
やはり過労死からでしょうか。

> 当の本人がカロウシだから
どうなんでしょうね。

> お客様へのお楽しみサービス
これはうれしいサービスですね。

> 意気消沈しています
別の場所で心機一転、新しい人間関係を作りましょう!

> 過酷な勤務体系は当時多かった
24時間働けますかというCMありましたね。

> そういう体質の人
この掟に心酔して実践している人はいますね。

> 漫画で学べる形式も魅力的
いまや漫画は子どもだけのものではなくなりましたね。

by いっぷく (2024-11-26 11:35) 

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