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吉田兼好など『読むとなんだかラクになる がんばらなかった逆偉人伝 日本史編』 [文学]

吉田兼好など『読むとなんだかラクになる がんばらなかった逆偉人伝 日本史編』

吉田兼好など『読むとなんだかラクになる がんばらなかった逆偉人伝 日本史編』(ミューズワーク、加来 耕三著)をご紹介します。歴史に名を残す人々25名の生きざまについて、「がんばらなかった」と表現できる部分にフォーカスしてまとめています。(本文中敬称略)



『読むとなんだかラクになる がんばらなかった逆偉人伝 日本史編』(ミューズワーク著、加来耕三監修、主婦の友社)は、歴史に名を残す25名の日本の偉人たちの功績や人柄を、「がんばらなかった」ことで自分らしく生きた人々とし、コラムでは逆に4名について「がんばりすぎた」から志半ばで失脚したと解説しています。

逃げる(桂小五郎)、泣きつく(足利尊氏)、人任せ(徳川家綱)、スルーする(和泉式部)、世間を気にしない(前田慶次)、投げ出す(上杉謙信)……などなど、ネガティブにまとめていますが、まあこれは表現の仕方の問題です。

人生には、「力を入れないほうがいい」「撤退したほうがいい」と思える選択もあるわけで、それを行った賢明な生き方について、「逃げた」とか「任せた」と表現しているわけです。

偉人を「〇〇したから立派です」ではなく「〇〇しなかったから自己実現しました」と、少し見方を変えて紹介しているわけです。

ということで、この記事ではその中で、吉田兼好についてご紹介します。

仏道修行、文芸、人付き合いすべて「ほどほど」に



吉田兼好(よしだけんこう、1283年~1352年)は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した官人、歌人、随筆家、僧侶です。

日本三大随筆の一つである『徒然草』の作者としても知られています。

「三大随筆」というのは、『枕草子』(清少納言)、『方丈記』(鴨長明)、『徒然草』です。

『方丈記』(鴨長明)は、以前ご紹介しました。


兼好は、京の吉田神社の神職・占部氏出身とされ、近年では「滝口の武士」出身だった可能性もあります。

それが出家したので、兼好法師と言われます。

元神官の実家で出家するパターンは、鴨長明と同じですね。

では世捨て人だったかと言うと、そんなことはありません。

そもそも、得度しておきながら仏門修行は頑張りませんでした。

出家後は大阪の正圓寺付近に庵を構え、仏道修行はほどほどに、和歌、文学的な素養を磨くほうにもエネルギーを注ぎました。

鎌倉幕府の執権や九州探題との交流があり、武士たちとのつながりがあったと考えられています。

ただ、兼好はお金には執着せず質素な生活をし、清貧な生き方を選びました。

「兼好法師」を名乗りながら、仏道修行に励んで道を極めなかったのは、偉人とか人生モデルにはならないと思えるかもしれませんが、本来釈迦仏教は、物欲にまみれず、努力はほどほどの中道の教えなので、実は吉田兼好のマイペースな生き方こそ、仏教徒の鑑といえるかもしれません。

『徒然草』は、仏教者としての無常観や、それと対象的な人脈に恵まれた人間味あふれる逸話を通じて広く共感を呼び起こしました。

これが、仏道修行一筋のストイックな兼好だったら、『徒然草』は誕生しなかったでしょう。

まさに、「ほどほど人生」が生み出した作品と言えます。

「どっちつかず」のほどほど人生も「あり」


以前も書きましたが、私はこのブログで、障碍者が社会復帰したり、社会参加したりしていることをよく紹介していました。

しかし、「障碍者の頑張り」にフォーカスするあまり、

「障碍者もやればできるじゃないか」

「だったらヤらないのは、親のしつけが悪いか、本人の努力が足りないのだ」と、

誤解されてしまうのではないかと思い、そういう描き方は控えようと思いました。

私の真意は、障碍者にハッパをかけることではなく、障害のあるなしは二の次で、自分で自分の人生に「生きる意味」を見つけて生きている人々をご紹介したかったのです。

その点で、兼好法師のように自分軸を持ち、得度してもストイックに仏道修行をするわけでもなく、世俗と距離を取りながらも意義のある人々となら適度にお付き合いする、という「どっちつかず」のほどほど人生も「あり」だと思うのです。

普通は、仏道か正業か、もしくは文芸活動か、いずれかの道で頑張って、そこで成果を出すことで社会的に評価されますよね。

吉田兼好は、そういう他人の価値基準や評価にふりまわされず、自分の人生を生きたという点に、「生きる意味」を見出したと思うのです。

みなさんは、仕事、学業、趣味、その他生き甲斐などを、バランスよく「ほどほど」に楽しまれていますか。

読むとなんだかラクになる がんばらなかった逆偉人伝 日本史編 - ミューズワーク(ねこまき), 加来 耕三
読むとなんだかラクになる がんばらなかった逆偉人伝 日本史編 - ミューズワーク(ねこまき), 加来 耕三
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mau

物はいいようというか、表現の仕方で変わりますね
by mau (2024-08-08 00:54) 

HOTCOOL

頑張らないってことは時に大切なのかもですね。
by HOTCOOL (2024-08-08 03:19) 

ハマコウ

読むと、ほっとした思いになれそうです。
by ハマコウ (2024-08-08 05:28) 

mutumin

自分に正直に、ほどほどを生きてる所が、見てる側をホッとさせるのでしょうね。頑張り過ぎない所が共感を持たれるのだと感じました。
by mutumin (2024-08-08 05:59) 

mm

おはようございます^^
ほどほど人生、いいですね。わたくしも一応それを目指しています^^
by mm (2024-08-08 06:20) 

pn

足るを知るだっけ?上見れば及ばぬ事の多かりき。
by pn (2024-08-08 06:26) 

夏炉冬扇

兼好も長明も好きです。
雨、ゲリラもありません。
by 夏炉冬扇 (2024-08-08 06:49) 

ミケシマ

徒然草は出だししか知りませんでした。
内容もちゃんと読んでみたいと思いました^^
世の中、白黒はっきりつけないほうがよいことって多いですね。
いままさに夫の実家との関係で悩んでいて、「できない自分」に嫌気がさしていましたが、完璧じゃなくてもいいのだと自分を許せそうです。
by ミケシマ (2024-08-08 12:03) 

お散歩爺

そう言う偉人も居たかも知れませんね。
鼎が外れなくなり医者に連れていったなんてお伽噺ですね。
by お散歩爺 (2024-08-08 13:08) 

Take-Zee

こんにちは!
生まれ故郷の金沢八景・・・
この金沢八景を名付けた人がこの方のようです。

by Take-Zee (2024-08-08 14:16) 

いっぷく

みなさん、コメントありがとうございます。

> 表現の仕方で変わりますね
そういう見方もある、ということですね。

> 時に大切なのかも
頑張るところとそうでないところを自分で決めるのが大切かと思いました。

> ほっとした思いになれそう
自分軸でマイペースに生きていいのだと思わせてくれます。

> 自分に正直に、ほどほどを生きてる
他人の評価ではなく自分の価値判断で生きた人ですね。

> ほどほど人生、いいですね
ほどほどに楽しみながら過ごしたいです。

> 上見れば及ばぬ事の多かりき
おそらく上も下もなく、人の評価におもねることのない人だったのではと思います。

> 雨、ゲリラもありません
それは心配ですね。今後の野菜の高騰が今から不安です。

> 完璧じゃなくてもいいのだ
なにをもって完璧というのか、自分が納得できる人生ならそれでいいのかもしれません。

> お伽噺ですね
医者はどうやって外したんでしょうね。

> 金沢八景を名付けた人
金沢八景に近いところに住んでいたこともあったようですね。

by いっぷく (2024-08-08 15:45) 

センニン

こんばんは。
『徒然草』はとても好きで何度も読みました。
『枕草子』より親しんでいます。
by センニン (2024-08-08 17:58) 

いっぷく

>『徒然草』はとても好きで何度も読みました。
作者の特徴が出ていて、「枕草子」は世の中と向き合って結構手厳しい表現もありますが、兼好法師はお坊さんなので、達観したような書き方ですね。
by いっぷく (2024-08-10 01:05) 

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