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熔ける 大王製紙前会長井川意高の懺悔録増補完全版(幻冬舎文庫) [文学]

熔ける 大王製紙前会長井川意高の懺悔録増補完全版(幻冬舎文庫)

熔ける 大王製紙前会長井川意高の懺悔録増補完全版(幻冬舎文庫)をご紹介します。カジノの負債返済などに充てるため、子会社等の関連会社から総額106億8000万円を借り入れ、損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)罪で実刑4年を食らいました。



最近、XやYouTubeでよく見かけますね。井川意高さん。

このブログでは、ひろゆきさんのポストをきっかけに論争が勃発したことをご紹介しました。


Xを見ると、この件以外にも2人は争ってますね。

もっぱら、ひろゆきさんのポストに、「おい、ひろゆき」と、井川意高さんが注文をつけているパターンですが。

必死にエリートコースを踏み外さないようにがんばってきた井川意高さんとって、専門外のことまで知ったかぶってコメントするひろゆきさんは、我慢ならない存在なのかもしれませんね。

まあ、ひろゆきさんに対してでさえそうなんだから、石丸伸二批判がより壮絶なものになるのは仕方ないのかな。


さて、本書『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』は、大王製紙の創業家三代目であり、会長を務めた井川意高さんの人生について自らが綴っています。

『熔ける』というタイトルは、もちろん、会社の金を溶かした(使った)という意味です。

大王製紙社長の長男として、幼少時代は1200坪の屋敷で過ごし、毒親と紙一重の父親鉄拳制裁のもとに、猛勉強して筑波大附属中学・高校から東大法学部に現役合格。

27歳で赤字子会社を立て直し、42歳で本社社長就任。

周りには、政財芸能界の人たちが集まってくる。

非の打ち所のない経歴、順調な経営、華麗なる交遊……すべてを手にしていたはずでしたが、やはりそんなテンパった人生には無理があったのか、ギャンブル依存症になり、子会社から金を融通してもらった巨額の使い込みで失脚しました。

なぜ〝カネの沼〟にハマり込んだのか?

創業家三代目転落の記。そして、刑期を終えた後の生活を書き加えて文庫化されました。

以下に概要とみどころをご紹介します。

一般的な成功論とは異なる視点を提供


まず、概要ですが、井川意高さんは、大王製紙社長の長男として生まれ、幼少時代は1200坪の屋敷で育ちました。

会社は、祖父の代から三大続く業界3位の大企業。

厳しい父親でしたが、本人も、「いずれは長男の自分が会社を継ぐ」という意識を持ち、小学校高学年から受験勉強を始め、中学は最難関の筑波大学附属駒場中学に合格。

そこから東大法学部に現役合格し、卒業後は予定通り大王製紙に入社。

4年後に赤字子会社の役員になりましたが、自分の真価が問われていると思い死にものぐるいで会社を立て直し、その功績で、42歳で本社社長に就任しました。

つまり、それまでは、何をやっても失敗のないエリートコースで、有名人との交友も盛んだったと書かれています。

しかし、彼はいつしか「カネの沼」にハマり込みました。

42歳で5代目社長に就任も会長時代の2010~2011年、カジノでの使用目的で子会社7社から総額106億8000万円を借り入れていた事実が発覚。

その責任を取る形で、本人はもちろん会長を辞任。

井川家の持ち株を処分して使い込んだ金を返済しただけでなく、父親や弟まで引責辞任。

創業者である井川家は、会社を放逐されました。

井川意高さんは、若い頃からの豪遊とストレスによって、肝臓の値が高く、歯の一部も失い、白髪も増えたことを告白。

しかも、刑期を終えた後に、再びカジノに挑む姿も描かれるなど、ギャンブル依存症も完治していないのではないかと思われます。

生まれはよかったのかもしれないけれど、そんなに幸せともいえないのかな。

井川意高さんの成功と転落の物語は、ビジネスや人生において、成功と挫折を経験した人々にとって興味深いものとなっています。

自己啓発本や、自画自賛の自伝にはないノウハウやリアルな苦悩が含まれており、一般的な成功論とは異なる視点を提供しています。

「お坊っちゃん過ぎるほしのもと」の苦労


人間の欲得というのは、どこまでも果てしないもので、これで満足ということはない。

つねに、1番でいよう、立派な跡継ぎになろう、と自分に鞭打ってきたことの反動が、ギャンブルへの転落につながったのかもしれません。

YouTubeの動画でも、「自分を金持ちのボンボンという奴もいるが、親ガチャの苦労がどれほど壮絶か」とこぼしていたことがありました。

「親ガチャ」というのは、「お坊っちゃん過ぎるほしのもと」に生まれた場合でも、不幸のもとなんですね。

日常的な発言では、タカ派的であることが指摘されていますが、


権力や為政者に無批判にすり寄っているわけではありませんから、それはいいんじゃないでしょうか。

ちょっとお下品なのは、麻生太郎さんと同じで、おぼっちゃんならではの悪ぶりだと思います。

井川意高さん。いかが思われますか。

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫) - 井川意高
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫) - 井川意高
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コメント 10

mau

大きなお金を使える人ならではの責任とかがかけているとしか思えません
by mau (2024-07-20 23:32) 

おっつぁん

子供の頃からプレッシャー
遅れてきた反抗期ですな。
いやでも公金使い込みで済んで不幸中の幸い。
過去には秋葉原の無差別殺人みたいなこともあったし。
by おっつぁん (2024-07-21 00:54) 

センニン

おはようございます。
確かに「親ガチャ」ですね。
結婚で日本中が大騒ぎになったあの家系に生まれた人もそう思っていたかもしれません。
by センニン (2024-07-21 07:02) 

Take-Zee

おはようございます!
食い潰してしまったんですね~ (゚o゚;!
by Take-Zee (2024-07-21 08:32) 

十円木馬

「同族企業は3代目が会社を潰す」の格言通りですね。置かれた立場でのプレッシャーは理解できたとしても、上場企業の経営者としては失格だと思います。
by 十円木馬 (2024-07-21 08:41) 

安奈

こんにちは。
麻生さんも両親ともに名のある家の出で、
子供の頃は苦労したらしいですね。
「誘拐されても助けない」と言われていたそうで、
学校の行き帰りは緊張の連続だったらしいです。
お金持ちの家に生まれなくて良かったと、心底思います。

ウズラさん、もらわれていったんですか。
寂しくなりますね。
by 安奈 (2024-07-21 08:46) 

pn

ギャンブルにのまれたらおしまいよ。
けどまあ生まれが良すぎの苦労ってーのは味わってみたいけどプレッシャーにすぐ負けるな俺は(笑)
by pn (2024-07-21 10:38) 

mutumin

ギャンブルって、中毒なんですね。ドラックと同じかぁ~
心の強さ、断つ潔さは勉強では学べないものですよね。
by mutumin (2024-07-21 20:16) 

t-yahiro

私の友人にもギャンブル依存症がいます。
自分自身をコントロールすることが非常に難しいようです。
その友人から私は「ギャンブルと女には熱くなるな」と
英才教育を受けたことがあります。
by t-yahiro (2024-07-21 22:22) 

いっぷく

みなさん、コメントありがとうございます。
私としては、親鸞の教えに倣い、誰でも井川意高と同じ立場と人生だったら、同じことにならないという保証はない、ということを考えてしまいます。
ですから、この件は、やはり親ガチャとか、ほしのもとの怖さが最大の教訓ですね。
おっしゃるように、ギャンブル依存症が治っていないというのも気になります
by いっぷく (2024-07-22 04:46) 

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