さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生(さかなクン、講談社) [社会]

さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~(さかなクン、講談社)をご紹介します。さかなクンの、魚や友人たちとの出会いを赤裸々に綴った自叙伝です。東京海洋大学の客員准教授にして名誉博士号も認定された著者が、小学生時代、中学生時代から現在までを振り返ります。

本書『さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!~』は、タイトル通り、さかなクンが、これまでの人生を振り返った自叙伝です。
失礼ながら、学術の徒には見えないさかなクンが、魚のスペシャリストとして学術的肩書をもち、関連テレビ番組に出演する。
いったい、どのような経過で、一風変わった「文化人タレント」「魚のスペシャリスト」は誕生したのか。
本書には、それが赤裸々に綴られています。
好きなことをずっと続けてこられたから今がある
さかなクンは、本書を読む限り、とくにご家族が魚のオーソリティというわけではなく、家業に魚が関係しているわけでもありません。
ごくありふれたご家庭の子弟のようです。
ある時、友達のタコの絵を見たことがきっかけで、魚に夢中になったのです。
さかなクンが言えば、水槽はどんどん増え、毎日タコ料理になったそうですが、家族は誰も、「いい加減にしろ」とは言わなかったそうです。
本人は、水産大学にあこがれていたようですが、そのように好きなことをして受験勉強をしていませんから、そもそも大学にも進学していません。
逆に水産大学ではなかったからこそ、さかなクンにとって自分は魚とどうかかわるか、というもっとも本質的なことに制約なく試行錯誤できました。
その後は、お魚屋さん、お寿司屋さん、熱帯魚屋さん、水族館など、非正規の身分でいろいろ「魚関係」の仕事を転々としてきましたが、店頭に魚の壁画を描くことで、魚の絵を描くことが性に合っていることに気づきます。
そんなある日、テレビ局の方から「壁に魚の絵を描いているというあなたのうわさを聞きました。とてもおもしろい生活な のでぜひ密着させていただき、ドキュメンタリー番組に取り上げさせてください。」との依頼があり、さかなクンは自分の天職を見つけたような気がしました。
もとより、高校時代から、『TVチャンピオン』に出演していて「魚に詳しい人」として知られており、それを機に異色の日本の魚類学者タレントとしてメディアで活躍。
大学からも東京海洋大学に客員教授として招かれます。
参議院で、意見陳述もしました。
さかなクン@国会 pic.twitter.com/PSg70n12n5
— ????????~噴き上がってる人~ (@emil418) February 12, 2020
委員長に「さかなクン」と呼ばれ、速記者を、こらえきれずに笑わせていました。
むかし、ベレー帽を禁じられた日本社会党の女性議員がいましたが、さかなクンのハコフグ帽子は全会派が承認。
議場の空気をゆるくしたさかなクンのパワーは、山本太郎議員のパフォーマンスも太刀打ちできません。
人生は、いかなる「ほしのもと」に生まれるか
さかなクンの生き様を振り返ると、
好きだけを糧にまっすぐ生きてきた。
この一言につきます。
そして、ご両親はそれを邪魔しなかった。ここが大事です。
水槽も買ってやったし、食卓もさかなクンの希望を採り入れました。
専門学校を卒業後、正社員にならなかったことについて、親類は「きちんと」就職することを勧めても、母親はさかなクンの好きにさせました。
魚が好きということでも、さかなクンは、実はどういう形で魚と関わるかについては、試行錯誤があったわけです。
お魚屋さん、お寿司屋さん、熱帯魚屋さん、水族館……。ぜんぶお魚に関わるお仕事なのに、どの職業も、自分が描く 理想には当てはまらないのでした。
もし、私が子供時代、そうだったら、たぶん母親からは、何をやっても長続きしない人間と罵られていたと思います。
でも、さかなクンの母親はそうではなかった。
もしお子さんがいらっしゃったら、いまお子さんが夢中になっているものが、すぐ思い 浮かぶはずです。それは虫かもしれないし、ゲームやお菓子かもしれません。つい「もう やめなさい!」なんて言ってしまいたくなるかもしれません。けれど、ちょっとでもお子 さんが夢中になっている姿を見たら、どうか「やめなさい」とすぐ否定せず、「そんなに面白いの? 教えて。」と、きいてみてあげてください。きっとお子さんはよろこんで話をしてくれるはずです。その小さな芽が、もしかしたら将来とんでもなく大きな木に育つかもしれません。
さかなクンは、干渉せずバックアップしてくれた両親に感謝しています。
よく、親に感謝しろという「道徳」が言われますが、感謝というのは強制されるものではなく、子の内心の自由なのです。
良い親だったら、子はちゃんと感謝します。
子が感謝しないのは、良い親ではないからです。
さかなクンは、「よいほしのもと」に生まれ育ったのだと思います。
人生は、いかなる「ほしのもと」に生まれるかが、ホント、大切ですね。
さかなクンのイメージ、変わりましたか。

さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~ - さかなクン
2024-05-30 06:00
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コメント(8)
おはようございます!
NHK Eテレの”魚ギョッとさかなクン”が面白いです・・・(^-^)!!
by Take-Zee (2024-05-30 06:13)
アマガエルではなくアカガエルです。もともとの色ですね。子供の時は幾分輝いて見えます。スリムです。
by 夏炉冬扇 (2024-05-30 07:04)
どんな家庭に、どんな親の元に生まれるかで、大半が決まってしまう気がします。過酷ですね(・_・;)
by mayu (2024-05-30 07:22)
さかなクンさん、すごい人だと思っています!
魚のプロフェッショナル、そして絵が上手い!!
こちらの著書は、映画「さかなのこ」の原作ですよね。
私は見たことがないのですが、息子が2人いる友人はものすごくものすごく感動していました。(映画鑑賞後、原作であるこの本もソッコー買ってました)
さかなクンさんもすごいけど、親御さんはさらに素晴らしいですね。
私は入院していた中学時代、勉強が好きで模試などで上位をとっていましたが、親には「あまり勉強するな」←私の身体を気遣って?「成績がいいからっていい気になってはダメだ」←天狗になって努力を怠るなってこと?と言われました。
一番身近な人から認められないって辛いですね。
by ミケシマ (2024-05-30 10:43)
羨ましいご家庭で育てられましたね、さかなクン。
by mm (2024-05-30 11:54)
やっぱり「親」がどう出るかで子の先変わるよなぁ、感謝されない親は感謝されない事を棚に上げて文句ばっか言ってるんだろうなぁ。
それはさておき確か天皇陛下の前でもハコフグ被ってたんだよね、さすがとしか言いようが無い(^∇^)
by pn (2024-05-30 12:24)
なるほどさかなクンの生い立ちに納得しました。
いい親というのは子供次第ですね。
by tochimochi (2024-05-30 15:54)
イラストレーターだと思っていましたが、色々あったんですね
by mau (2024-05-31 00:44)