「しがみつかない」人ほどうまくいく(西多昌規著、PHP研究所)21世紀に提案する人生観 [社会]

「しがみつかない」人ほどうまくいく(西多昌規著、PHP研究所)という書籍をご紹介します。人からよく見られたい価値観に「しがみつかない」ことを提案しています。程よく力を抜けば、人生はもっと楽しくなると、精神科医が心の余裕を取り戻すための45のヒントを説いています。

本書は、「理想の自分」「他人の評価」「完全主義」「人生のレール」「古い価値観」など、人からよく見られたいあまりに、自分を縛る価値観に「しがみつかない」ことを提案。
結論から述べると、あるがままに生きようよ という話です。
うつ病患者を診てきた著者の提案として、その方策も解説されています。
反ポジティブシンキング宣言
西多昌規『「しがみつかない」人ほどうまくいく』。コミュニケーションバブル社会の息苦しさに共感!地道に黙々と勉強した人間よりコミュ力のある要領いいヤツが「使える」?職人気質の人にとっては生きにくい時代だ。コミュ力の定義が曖昧だもの… pic.twitter.com/dMTszdyuEJ
— K” (@kacchuns) July 21, 2014
本書が、「しがみつかない」ことを提案しているのは、具体的に次のことです。
「いい人と思われたい」にしがみつかない
デキないと思われたくない、嫌なやつと思われたくない、というのは虚栄心のあらわれ、と著者は指摘します。
日本人の自己犠牲の美徳は、海外の、少なくともビジネス面では通用しない
自分の意見や感情や健康などを大切にする、したたかな「いい人」になれと提案しています。
だいたい、ひとさまは自分が一番です。なのに、他人から「いい人」なんて言われたら気持ち悪くないですか。
私は単純な情弱かもしれませんが、ひとさまが褒めたりおだてられたりすることは、一切信用しません。
ひとさまがいう「いい人」というのは、その人にとって与し易い人、(どうでも)いい人、という意味なのだと思ったほうがいいかもしれません。
そんなものを喜んでいるのは、おめでたすぎますからね。
ネガティブ思考は案外大事
私が、この本を最も評価する点がここです。
著者は、最近礼賛されている、いわゆるポジティブシンギングに批判的です。
「ポジティブシンキング」ってなんでしょうか。
簡単に述べると、物事や体験したことのプラスの面を見つけ、それに焦点を当てる解釈をすることです。
自己啓発セミナーとか、啓蒙書に出てくる、お決まりのスローガン。
・逆境を喜べ
・この不幸不運は自分の人生に必要なものと思え
・リスクを取れ
・今回の失敗から学べることがある。次はもっとうまくいくだろう!
・一歩ずつ進めば、きっと解決できる。どんな小さな進歩も成長につながる。
・不遇は新しいことを学ぶ絶好のチャンスだ!
本書は、そんなポジティブシンキングをこう批判します。
・ヘコんだ気持ちの切り替えは必要ですが、リスク対策を無視したバラ色夢想は単なる責任放棄
・想定外のトラブルに柔軟に対応できるスキルは、最悪のことから考える「ネガティブ思考」から生まれる
・ラフな楽天家よりも、きめ細かい心配症の人が、仕事で成功する素質を持っている
・(ポジティブ思考は)なにか強引な白々しさを感じる
・日本は仏教文化が強い国、あるがままが似合う
全くそのとおりだと思います。
「強引な白々しさ」
我が意を得たりと、思わず、膝をぽーんとうって、平参平のようにスネがぴょんと上がってしまいました。
平参平、古すぎましたか。
悲観や絶望と付き合う方法
では、失敗や不運不幸や悲観を経験したときどう向き合えばいいのでしょうか。
本書は4つの方策が書かれています。
1つ目は、絶望している、悲観的になっている自分を十分に感じる
2つ目は、人間は絶望の中にも光を見いだす習性がある
3つ目は、無理に諦めようとしない
4つ目は、自分にあった支えをもつ(友人、本の中の言葉、映画や音楽など)
私は、2つ目の解説に書かれている、絶望で真っ暗闇だからこそ、微弱な一筋の光明も見逃さないのだという件はを「なるほど、うまいこというなあ」と思いました。
要するに、姿三四郎の歌ではありませんが、泣きたいときは素直に泣け。絶望したいときはとことん落ち込め、そして、泣いてもいいから前を見ろ、と言っているのです。
とことん悲観、絶望すれば、いずれ前は見えてくる、というのです。
ここでも平参平になりました。
ポジティブシンキングではなくあるがままシンキングを
要するに、著者はポジティブシンキングではなく、あるがままを提唱しており、逆境を受け入れながらも前に進む姿勢を重視しています。
どう違うか。
私は、「ボジティブシンキング」志向の人と違い、逆境を喜びません。
これはチャンスなんだ、などと自分に無理に暗示はかけません。
なぜなら、それは結局、逆境である現実と向きあうことから逃げているからです。
現実は現実として受け止めるしかないのです。
逆境は逆境なんです。
私は、強い人間でも聡明でもないから、逆境と向かい合えば野村克也さんではないけれどボヤきます。
悩みます。
精神的に追い詰められると、判断を誤り迷走するかもしれません。
でもそれは仕方ないことなのです。
悲しい時は悲しめばいいのです。
悲しいのに無理に笑ってもその逆境は何も解決しません。
悲しい時に悲しみの感情をあらわすからこそ、自分がなぜ、どのくらい悲しいのかを認識できるのです。
悲しいことを解決し2度と経験したくないと身にしみるのです。
それが、では次にどうすれば悲しくならないようにするかを考える契機ともなるのです。
現実にぶち当たったら、そうやって素直に受け止め、悩み、苦しみ、でも最後には、生きてる限り前に進まなければならないことに観念し、腹をくくります。
この心境こそが大切なのです。
まとめ
本書を端的にまとめると、
1.人からよく見られたい価値観に「しがみつかない」こと。
2.失敗や絶望することがあっても、目先のポジティブシンキングでごまかさず、「悔しい」「哀しい」「残念」という素直な気持ちを大切にし、それらと向き合うとこから再スタートすれば良い
ということです。
みなさんは、苦境に陥ったとき、ポジティブシンキング派ですか、あるがまま派ですか。

「しがみつかない」人ほどうまくいく - 西多 昌規
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おはようございます!
人生、何も考えないうちに70余年が経って
しまいました。
by Take-Zee (2024-05-29 06:41)
人間関係はむつかしいです。
みんな価値観違いますから。
今日は、ソーメンですね、天気回復の青空にて。
by 夏炉冬扇 (2024-05-29 07:33)
しがみつくと、失うことが多いですね、人間関係(^^)
by mayu (2024-05-29 07:41)
目の前の現実は変わらないのでなんとかなることはなんとかしたいと思いますが人様の目が気にならないか?気にはなりますが自分自身が納得出来ればまぁこれもありか?て思う時もこの頃はあります。
by みうさぎ (2024-05-29 10:25)
ネガティブ思考の自分には大いに救いとなる記事でした^^
ずっと、「なんであんたは…」と言われ続け、自分でも「なんで自分は…」と思いながら生きてきました。ポジティブ思考になろうと努力したときも笑
そうか、「しがみつかない」が大切なのですね。
・ラフな楽天家よりも、きめ細かい心配症の人が、仕事で成功する素質を持っている
・(ポジティブ思考は)なにか強引な白々しさを感じる
はとても心強い言葉です。
かつての友人に、遅刻常習、借りたものを返さない(お金とか)、いつも部屋が散らかってる人がいましたが、彼女はそれらをすべて「(自分は)B型だから」で済ませていました。もう縁は切りましたけどね。
by ミケシマ (2024-05-29 11:32)
最終的に自覚と覚悟だと思うんですよどんな状況でも、そもそもそう簡単にポジティブになれる訳がない。状況判断できなきゃどの方向に行くか決められないと思う。
by pn (2024-05-29 12:36)
辛いことは辛いです
苦手なことはやりたくないし
by mau (2024-05-29 22:17)