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逆に病気を呼び込んでいる44の健康法(川嶋朗著、宝島社) [健康]

逆に病気を呼び込んでいる44の健康法(川嶋朗著、宝島社)

逆に病気を呼び込んでいる44の健康法(川嶋朗著、宝島社)という書籍をご紹介します。巷にあふれ健康情報や民間療法は、今まで以上に私たちの暮らしに関わる機会が多くなりました。しかし、それらのすべてが正しいとはいえません。本書は否定すべきものを44編選んでその理由を解説しています。



著者は、神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授、統合医療SDMクリニック院長の川嶋朗医師。


専門は、内科、腎臓病学、血液浄化、膠原病、高血圧(公式サイトより)です。

元子役だそうですが、たしか、ケンちゃんシリーズの岡浩也さんも現医師でしたね。

最近は、刑事事件を起こした元子役もいましたが、人生いろいろですね。どこで明暗が分かれるんだか。

サーチュイン遺伝子で長生きという情報に「?」


昨今は、政府もマスコミも、「医療費がパンクする」の大合唱で、自助努力によって健康を管理するための健康増進法までできてしまいました。

立法化までの地ならし期間には、○○を食べると××によい、という様々な「健康食材」番組が登場しましたが、その先頭を切ったのが、みのもんたの『午後は○○おもいッきりテレビ』でした。

あの番組には、そういう「歴史的」な役割があったのです。

そして、健康増進法施行後は、健康情報や民間療法は、ますます私たちの暮らしに関わる機会が多くなりました。

もちろん、理由はそれだけでなく、平均寿命が延びて高齢化社会になったり、インターネットが普及して情報の量も質も増えたり、医学が発展して逆に要求が高くなったことで医学への不満が出たりしたことも、昨今の「健康情報」の氾濫の要因ではあると思います。

しかし、いずれにしてもそうした情報は、流行したからといって必ずしも正しいわけではありません。

根拠自体が曖昧なもの、交絡因子によって大きく結果が変わってくるものなどが少なくないからです。

ということで、本書では、巷間、健康に良いと言われていることが、実はそうではなかったという話を集めています。

もちろん、その反証的研究のすべてを川嶋朗医師自身が行ったわけではなく、医学者としてそうした覆った健康情報をまとめた書籍ということです。

たとえば、サーチュイン遺伝子って聞いたことありますか。

「老化や寿命の制御に重要な役割を果たす長寿遺伝子」のことです。

最近では、長寿遺伝子のスイッチを入れるため、「1日1食」という「健康情報」を喧伝している人もいます。

飢餓状態になると、長寿遺伝子にスイッチが入るというのは、NHKスペシャル『あなたの寿命は延ばせる~発見!長寿遺伝子~』(2011年6月12日放送)がその発端であると川嶋朗医師は指摘しています。

番組では、マサチューセッツ工科大学(MIT)生物学部のレオナード・ガランテ教授が発見した「サーチュイン遺伝子(Sirtuin)」のスイッチが入ると、がんの抑制、活性酸素の消去、筋力の強化、糖尿病・認知症の予防、脂肪の燃焼、老化の抑制などに働くが、空腹時にスイッチが入ると放送されました。

しかし、本書によると、「サーチュイン遺伝子は長寿の鍵とはいえず、寿命延長効果はない」というのが、もはや医学の主流になっていると書かれています。

また、サーチュイン遺伝子は、赤ワインに多く含まれるポリフェノールの一種であるレスベラトロールによって活性化されるため、赤ワインが長寿の健康食品に祭り上げられてしまったといいます。

川嶋朗医師は、グラス1杯の赤ワインに含まれるレスベラトロールの量は、実験に使われた投与量の0.3%にすぎず、人間の体重に置き換えると、1日にボトル100本前後を飲まなければならない量なので、赤ワインでサーチュイン遺伝子を活性化するのは非現実的であると断言しています。

そもそも、少食でサーチュイン遺伝子が活性化するという研究自体、データの取り方に致命的な誤りがあり、今では論文も否定されていることを紹介。今では発表者自身が、行なった過去の実験には不備があったことを認めています。

それ以外の否定すべき健康情報は、タイトルだけご紹介しておきます。

・水をたくさん飲む
・がん予防ににんじんジュースを飲んでいる
・肉はなるべく食べない
・コレステロールの原因になるので卵は1日1個しか食べない
・血圧高めで塩分を控えている
・低カローリダイエットをしている
・ジムに通って筋トレしている
・炭水化物抜きダイエットをしている
・紫外線に当たらないようにしている
・風邪のときは抗生物質を飲む
・毎年、健康診断を受けている

医師や疫学調査の報告によっては、たとえば「卵は1日1個」など正しいとされているものもあるので、引き続き調べていただきたいことも含まれています。



いずれにしても、どうして否定するのか、気になるところがありましたら、本書でご確認ください。

カレーは薬膳料理ですが……


さて、著者の川島朗医師については、以前、『ボケたくなければカレーを食べなさい 医者が教える「カレーが健康によい理由」』(川嶋朗著、メトロポリタンプレス)という書籍をご紹介したことがあります。


やはり医師で、吉田たかよしさんも、『なぜ、東大生はカレーが好きなのか 脳を鍛える最強の食事術』(祥伝社)という書籍を上梓しており、こちらもご紹介済みです。


内容は、基本的に同じですが、吉田たかよし医師は、医学・医療とは直接結び付けず、あくまで「食生活でも体にいいことしましょう」ということでカレーを紹介しているのに、川島医師の方は、薬膳料理としてカレーを捉えています。

ターメリックだけではなく、蕃椒(唐辛子)、丁香(グローブ)、大蒜(ガーリック)、陳皮(ミカンの皮)など、漢方として扱われるカレーの材料についての解説が詳しく書かれています。

カレーの材料

同書では、統合医療とか、代替医療としての位置づけで「薬膳料理」を捉えているのですが、う~ん、どのくらいのウエイトかはわかりませんけど、いくら体に良い材料だからといって、カレーを食べることを「医療」の一環にしちゃってもいいんでしょうかね。

そういう情報が独り歩きして、カレーは健康にいいから、カレー「ばっかり食べ」るということになりかねませんかね。

話を戻しますが、実践されている健康情報が、「否定すべき」ことに入ってしまっている、ということはありませんか。

逆に病気を呼び込んでいる44の健康法 - 川嶋 朗
逆に病気を呼び込んでいる44の健康法 - 川嶋 朗
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コメント 9

mm

おはようございます^^
健康管理、健康食、大いに関心ありますが、いろいろの情報でも自分で取捨選択しています。
ただやみくもに信じる気にはなりません。
特に「〇〇ばっかり」食べることはしないですね。
by mm (2024-05-23 06:25) 

夏炉冬扇

小さなお皿に入っているのははちみつです。パンが丸いので、直接塗らず、つけては食べています。
by 夏炉冬扇 (2024-05-23 07:16) 

mayu

どんない良いと言われるものでも、一つの方法にこだわりすぎるのは、よくありませんね。
by mayu (2024-05-23 07:30) 

Take-Zee

おはようございます!
人間ドックなんかもストレスなどを発生させると
言われてます。
風邪引いて医者にかかると3種類の薬は頂けます。

by Take-Zee (2024-05-23 08:50) 

pn

あれこれ気にはしていましたが最近は定年退職して身体動かさなくなったらカロリー控えようかなくらいしか考えていません(笑)
by pn (2024-05-23 09:12) 

ミケシマ

以前の記事にもありましたが、「病気は運」、実感としてそれしかないです。
以前、友達に紹介された化粧品の販売員に、私の食生活を全否定され「玄米菜食しなさい」と言われたことがあります。それで病気が治るかのような物言い。腹が立ちましたねー。
健康の情報に振り回されたことはありませんが、今は、バランスよく、食べすぎず、美味しく楽しく食事をすること、ストレスを溜めないこと、適度に楽しく運動すること、睡眠をしっかりととること、を心がけています。
どうやったって自分の病気は治らないのだから、せめて楽しく生きたいと思っています。
by ミケシマ (2024-05-23 10:43) 

ムサシママ

元々健康法は信じていませんから何がどうなっても構いません
以前は男女同じ療法や薬の量を摂取していましたが
今では完全に分けて考えるべきらしいです
人それぞれ身体は違うので一概にこれが良いとは言えないと思います
同じ被爆者でもすぐに亡くなった人と79年後も生き続けている人の差は何かな?と考えることがあります
by ムサシママ (2024-05-23 14:07) 

tai-yama

「毎年、健康診断を受けている」これを企業の人事部連中に
布教してほしい。大した効果もないし・・・
by tai-yama (2024-05-23 22:23) 

mau

結局、満遍なくいろいろ食べるのが良いのかも
by mau (2024-05-23 23:15) 

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