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2014年新潟県3歳女児殺害事件を思い出した、宮城・栗原市の事件 [社会]

2014年新潟県3歳女児殺害事件を思い出した、宮城・栗原市の事件

宮城県栗原市の小学校で、児童4人が軽トラックにはねられけがをした6日の事件で、容疑者自身が事件の直前に警察に相談していたと報じられました。2014年新潟県3歳女児殺害事件でも、母親がSOSを出していたのに児相も役所も解決できなかったことを思い出しました

宮城県栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけがをした事件が話題です。


容疑者自身が、事件の直前に、「自分の様子がおかしい」と警察に相談していたと報じられました。

病院ではなく、警察に相談するほど、本人は切羽詰まっており、「やってはいけないことをやってしまいそう」という葛藤に、苦しんでいたのかも知れません。

容疑者のSOSに対応できず、事件に及んでしまったのは残念です。

警察と、精神科の病院が、日常的に連携を意識することはできなかったのでしょうか。


これは、今回事件が起こったから言うのではなく、実は「SOSを汲み取れなかった」がために事件に及んだことは、過去にもあるからです。

たとえば、『「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~』(藤田素子、ぶんか社)は、当時24歳の女性が、3歳の娘を橋から川に落として溺死させた事件を漫画化していますが、まさにこの事件がそうでした。

周囲は適切なサポートを行っていなかった


『「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~(単話版)』(藤田素子、ぶんか社)は、当時24歳の女性が、3歳の娘を橋から川に落として溺死させた事件を漫画化しています。


タイトルは、「ママ、バイバイ」と言う娘の発語を聞きながら、橋から川に落としたと供述したことからつけられています。

女性は懲役9年の実刑判決でした。

実母が、3歳の娘を川に落として殺してしまう。

ネットでは非難の嵐でした。

犯行に対する非難は、もっともです。

ただ、一部には、事実と違う根拠で非難しているものもありました。

たとえば、この手の事件にありがちな、若いママが無責任に育児放棄した挙げ句に手に余って……とか。

そうとはいいきれない事件でした。

当時のニュースでは、親子を知る医師が、「お母さんは、お子さんの予防注射もきちんと行っていました」とコメントしています。

では、なぜこの女性は、そんな結末をたどるに至ったのか。

その経過を、漫画では丹念に描いています。

漫画は、若い母親を加藤きよみ(24)と設定。

登場人物こそ仮名ですが、事件に忠実に、克明に描かれています。

きよみは、DV夫と離婚。

きよみの両親も、離婚していました。

毒親育ちで、家庭に恵まれないがゆえの不幸な生き様は、事件を起こす人の「セオリー」なのでしょうか。

きよみは、夫のことを相談に乗ってくれていた男性と、同棲しながら子育てします。

しかし、娘の愛ちゃんは発達遅滞でした。

さらにアトピーや喘息。さらに睡眠障害でもあります。

手がかかり目が離せないため、2人は愛し合うこともできないばかりか、男性は睡眠すらとれないため、昼間に寝られるよう夜勤にシフトチェンジ。

きよみは、燕市の社会福祉課に相談します。

が、相談員は「魔法の言葉」と称して、娘に「ママはあなたが好きよ」と言って7秒抱きしめろ、とアドバイスしています。

おいおい。

定型児ではないのに、そんな気休めではなんの解決にもなりません。

きよみは叫びます。

「もう私、いっぱいいっぱいなんです。もうムリ。ムリムリムリ」

なのに、きよみの母親は、「障害児なんて世間様がなんて思うか」と一方的になじるだけで、何も助けてくれませんでした。

追いつめられたきよみは、とうとう……。

対策をとれるネットワークづくりを


こういう事件を聞くと、人はすぐ、「母親が遊びたい盛りだったから鬼畜になった」と評します。

でも、この事件は、「恋人を優先させたバカな母親」という単純な話ではないのです。

真相は逆で、同棲相手との時間をもっと取れていたら、このような事件は起らなかったかもしれません。

この事件で、描かれていた気になる点を枚挙します。

両親が離婚
きよみ自身も若すぎる子連れ離婚
娘の愛ちゃんは発達遅滞

ここまでは、漫画でも読めばわかるように描かれています。

そこに私がもう一つ付け足すと、このきよみ自身にも発達障害があり得ます。

ですから、単純な「男狂いからの犯行」と決めつけるものではないのです。

ということは、保育関係者が、もう少し有用なサポートをできなかったのか、という思いがあります。

きよみは、燕市の社会福祉課に、育児疲れを訴えて相談したわけです。

この手の事件にありがちな、自分の不作為を隠蔽したわけではないのです。

率直にSOSを出していたのです。

乳幼児の発達相談・支援施設と役所が、情報を共有しつつ連携して対策を立てられなかったのか。

介護だって、各病院、訪問介護、ケアマネなどが、情報を共有しているではありませんか。

話を、今回の宮城県栗原市の小学生事件に戻すと、警察も、地域の人達の暮らしから、悩んでいる人、困っている人への対策を取れるようなネットワークづくりはできないものかなと思った次第です。

なお、以前もこういう視点から書くと、決まって「お前は犯人をかばうのか」という混ぜっ返しのコメントをする人がいたのですが、意図に沿った批評をしていただけると幸甚です。

「ママ、バイバイ。」~2014年新潟県3歳女児殺害事件~(単話版) (ストーリーな女たち) - 藤田素子
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赤面症

構ってちゃんはスルーしかないのでは?
by 赤面症 (2023-07-08 01:15) 

コーヒーカップ

いろいろな要素が重なったストレスは、思いがけない行動に。
自分はあまり積み重なると、無意識な行動してる時あるので
「自分がおかしい」は分かります。
おかしいことが分かり自己で対応できるうちは良いんですけどね。

by コーヒーカップ (2023-07-08 04:50) 

pn

SOSが伝わらない理由をもっと掘り下げていかないとこんな事件は続くんでしょうね。
社会福祉課、児相、病院、警察。話に行って帰らされる気持ちを考えるとやるせない。
by pn (2023-07-08 06:29) 

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