高橋お伝の“冤罪人生”を描いた漫画『娼婦お伝』 [仏教]
高橋お伝の“冤罪人生”を描いた漫画『娼婦お伝』は、『まんがグリム童話 昭和の淫らな風習』(汐見朝子著、ぶんか社)に収録されています。女性死刑囚として当時の教科書にも載りましたが、実際は毒婦ではなく殺人行為は相手に非があったことがわかっています。
高橋お伝という人をご存知ですか。
高橋お伝は、斬首された女性死刑囚として、当時の教科書でも“明治の毒婦”と呼ばれましたが、実際は毒婦ではなく、殺人行為は相手に非があったことがわかっています。
斬首(ざんしゅ)とは、罪人の首を日本刀により胴体から切断する刑罰です。
高橋お伝が処刑されたのは、明治12(1879)年ですが、翌年から斬首刑が廃止されているので、高橋お伝は「最後の年度の斬首刑囚」といわれています。
本書『まんがグリム童話 昭和の淫らな風習』は2023年06月06日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
稀代の毒婦とされたが……
【明治の美人毒婦】 高橋お伝 ?斬首されて性器をホルマリン漬けにされた女死刑囚 - 草の実堂 https://t.co/LNREYCnux2
— 草の実堂 (@kusanomido) June 4, 2023
高橋お伝は、母親が奉公していた沼田藩の家老との間に出来た不義の子だったため、生後すぐに母子で高橋家に持参金付きで押し付けられたとあります。
押し付けられた「孕み女」だったため、夫となった人や祖母となった人からは、お伝やお伝の母親はいつも虐待されていました。
持参金もらっておいて虐待って。高橋家も汚いことすんなよ、と思いますけどね。
祖母からは、「いつもヘラヘラしている」と、せっかんされるお伝でしたが、それは「謝っていい子にすれば好いてもらえる」という、お伝なりの処世術でした。
近所の子供達からも、いじめられていました。
そんなとき、「いい子にしていれば、いつかは……」
と自分に言い聞かせるものの、ついぽろりと涙も出ようというものです。
そんなとき、「私がお前の父親になってやろう。養女のカネが嫁に行くことになってね。また誰か子供を育てたいと思って」と、養父の実兄である久右衛門が声をかけます。
久右衛門は、一族の中でも商売に成功した裕福な家で、身寄りのない子を何人も育てては嫁に出してやり、立派な人物として近所でも有名でした。
「ご立派ですな、久右衛門さん。恵まれぬ娘を養女にしては教育して出してやる。なかなかできんことですなあ」
と、いわれていたようですが、性悪説、もしくは性弱説者の私は、この時点であやしいと思いますけどね。
半年後に、嫁ぐ養女・カネは歓迎してくれました。
「半年だけでも私たちは姉妹として暮らすんだから、姉さんて呼んでね」
字も編み物も教えてくれたカネ。
本当に親切ですが、ただひとつ気になることを言います。
「ごめんね。私はアンタが来てくれたからお嫁に行けるの。アンタも大人になるまでの辛抱だからね。どうしても我慢出来ない時は、横浜の私の嫁ぎ先まで逃げておいで」
その意味は、カネが嫁いだ夜、わかります。
少女しか愛せない久右衛門は、養女に御伽をさせていたのです。
ね、だから怪しいんですよ。
たしかに、昼間は、お伝はお嬢様のように暮らしました。
学業を習い、美しい着物を与えられて……。
世間の有象無象は、そこだけを見て「立派な養父だ」というわけですが、真実はわからないものです。
久右衛門にもて遊ばれたお伝は、18歳になって「大人の女はもういらぬ」と払い下げられるかのように、親族の男に嫁がされました。
夫の名は高橋浪之助。
ああそうか、久右衛門の親族だから、やはり「高橋」姓なんですね。
新婚初夜。
お伝は浪之助に対して、久右衛門にしたような御伽をしかけて浪之助は驚き、久右衛門との性活を察します。
以来、浪之助は、宝物を扱うようにお伝を大事にしました。
お伝にとって、生まれて初めての幸せな日々でしたが、ただ、それは長続きしませんでした。
浪之助が「らい病」(ハンセン病)にかかってしまったのです。
今は、薬で治ると判明しましたが、当時は不治の病であるだけでなく、「らい予防法」なる人権を無視した差別や偏見がまかり通り、患者は罪人のように扱われていました。
たとえば、女性は子供を産めなくさせられるとかね。
しかし、薬は高い、差別はされるで、困ったお伝は、横浜のカネを訪ねます。
カネは居候を歓迎してくれましたが、気持ち悪いのはカネの亭主の吉蔵。
古物商と金貸しを営んでいるのですが、お伝をジロジロなめるように見ています。
吉蔵からは、「俺が貸してやろうか」と言われましたが、お伝はそれを断り、娼婦になって金を稼ぎます。
異人のは「大きい」ので辛かったそうですが、「我慢する」ことを誓います。
しかし、吉蔵は、お伝の夫の浪之助と、姉さんのカネを薬殺。
お伝は、ついに堪忍袋の尾が切れ、吉蔵を殺害してしまいます。
お伝は、わざわざ「かたきをせいばいする」などという書き置きを証拠に残したために、殺害の罪で逮捕。
毒婦にあらず
— お散歩マスター(結一) (@WalkAroundTokyo) August 9, 2020
明治の女性、高橋お伝。
生まれるや養子にだされ、愛の形を知らなかったのかもしれない。
19歳で結婚するも、夫はハンセン病に。不治の病だ。治療費を得るためお伝は一途に娼婦となる。
虚しくも
夫は他界した。
喪失の心につけいったのは博徒。
借財が膨らみ手に負えない。 pic.twitter.com/5TL47Knltx
裁判でも、お伝はそれを繰り返しましたが、裁判官は、どうせ娼婦なんだから、うさんくさい吉蔵と一緒になりたくて、じゃまになったカネと浪之助を始末したとされ、死刑に処せられました。
冤罪は国やメディアで作られる
明治政府は、お伝の話を、「毒婦」の物語に仕立て上げて、道徳教科書にまで利用。
本書によれば、定説の尊さを説くため、お伝のことは、男を利用しては殺し、男好きゆえに娼婦になった…という歪められた虚像が描かれたといいます。
「夫を毒殺して男たちを手玉に取った稀代の毒婦」などという歌舞伎まで大ヒット。
斬首されたお伝の遺体から、なんと医学者が性器を切り取ったという話もあります。
たとえ殺人事件でも、そこまでするか、というのが、我が日本が戦前に実際にやってきたことなんです。
戦前は良かったとか、日本は差別がなかったとか、トンでもないですよ。
南千住回向院にある墓
— 冒険紀行チャンネル (@boukenkikou) June 5, 2023
左から鼠小僧次郎吉・片岡直次郎・高橋お伝・腕の喜三郎の墓。#小塚原刑場 #回向院 #南千住 #cooljapan #心霊スポット #南千住回向院 #鼠小僧 #高橋お伝 #珍しい墓 pic.twitter.com/7vwSBE7Y8p
冤罪といえば、いぜん、このブログでもご紹介しましたが、ワイドショーに「ふとん叩きおばさん」として報じられた事件は、実は180度異なる真相がありました。
#奈良騒音傷害事件 を描いた、『驚愕!!ふとん叩き引っ越しおばさんの知られざる真実』(画:桐野さおり/原作:有田万里、ユサブル)ワイドショーで、「引っ越し、引っ越し」と大声で叫ぶ悪い騒音おばさんとして何度も放送されましたが、真実は違いました⇒https://t.co/jtlXRkTceJ #ふとん叩き pic.twitter.com/a4HsuXBk6c
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) June 4, 2023
和歌山カレー事件も、真犯人が別にいるといわれています。
一方的に叩かれている事件は、逆張りで疑ってみるぐらいでちょうどいいかもしれませんね。
それにしても改めて感じたのは、人生は、「ほしのもと」がいかに大切かということです。
今も、全国には約2万5千人の子どもが児童養護施設で暮らしており、入所理由の約65%は親の虐待といいます。
一部のお寺では、子育ての悩み相談や、児童のためのイベント開催協力などを行ったりしているそうですが、個々の住職の善意にとどまるのではなくて、〇〇宗の宗門単位で話し合って、連携を取って定期的に行われるといいですね。
寺院も、ジリ貧の檀家制度に依存するだけでなく、地域とともに生きる、という姿勢を明確に打ち出すことで、活路を見いだせるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
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上村一夫の漫画で見たことあります。
谷中霊園の入り口に、お墓があるとか。
葬ってくれた、名もなき庶民の優しさを感じました。
by 赤面症 (2023-06-06 01:28)
ロリ系エロ漫画の原型と言える内容ですね、引き取ってやろうの時点で察しがつく。
昔の方が差別ひどかったと思うけど、浪乃助さん立派だなぁ。
by pn (2023-06-06 06:23)
こういう話は悲しいです。
親戚縁者だって夜になると、信じられない行動するのは実体験で分かってます。
母方の家は厳しかったので信用していたのに・・・
日本人は民度が高いとか言いますが、違いますよね。
by コーヒーカップ (2023-06-06 14:30)
暴力・虐待・差別、まぁ明治なら当たり前だったと。
それでも江戸よりマシだったのかも。
昭和でセーフなことも今やアウトですし・・・
by tai-yama (2023-06-06 21:44)