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お寺の儀式、各宗派で似てるけど少し意味が違うこと [仏教]

お寺の儀式、各宗派で似てるけど少し意味が違うこと

お寺の儀式で、似てるけど宗派によって少し意味が違うことがあります。今日はそのいくつかををまとめて簡単にご説明します。大きく分けると、浄土真宗とそれ以外、という分け方がわかりやすいと思います。日本の大乗仏教を支える寺の儀式について、かんたんにまとめます。

最初にお断りすると、私は、たんなる仏教学専攻の一学修者であり、仏門に入っているわけではありません。

ですから、今から書くことも間違いがあるかもしれません。

ただ、日本の大乗仏教がどういう仕組みで存在するかは、知っておくべき基本的な学修の範囲であり、もとより、仏教系の大学や大学院は、住職科目の単位や、学階(仏教界の学位)の認定なども行うので、学生ならばその世界についても意識はせざるを得ないわけです。

といったことを踏まえて、以下をお読みいただけると幸甚です。

檀家と門徒


どちらも、各宗派のお寺の、たとえれば後援会員のようなものですね。

お布施をして寺を経済的に支え、法事をしたり墓地を永代使用したりします。

違いは、檀家は家単位、門徒は個人単位の表現です。

ただし、門徒というのは親鸞が創設した浄土真宗の宗派・寺院で使用される言葉で、他の仏教の宗派では、「信徒」とか、「信者」を使うほうが一般的な言い方になります。

個人的な話ですが、ある浄土真宗本願寺派のお寺で、私の亡父が両親の法事や墓の建立をやってしまったために、なしくずしに祭祀承継者にさせられてしまいました。

「承継」というぐらいですから、子どもに引き継がれることが多いのですが、私はやりたくないので、私の長年の悩み事です。

根拠もない供養の大任を安請け合いして、子孫に負担の遺産を遺さないようにしましょう。

戒名と法名と法号


戒名(かいみょう)と法名(ほうみょう)と法号(ほうごう)は、いずれも仏教名ですが、それぞれ異なる意味と用途があります。

戒名は、「出家した仏教徒」や「亡くなった人」に与えられる名前です。

「与えられる」といってもただではなく、お金は払います。

しかも、何段階かに分かれて(笑)

出家というのは、日本でいうとお寺に入って僧侶として修行することです。

なぜ、亡くなったら生前の名前ではいけないのか。

亡くなったら戒名を付けなければいけないのか。

いけなくはありません。

亡くなった人をいちいち戒名で呼びますか?

志村けんさんは、いつまでも志村けんさんであり、瑞心院喜山健徳居士さんとは呼ばないでしょ?

亡くなっても、生前の名前を使うでしょ?

つまり、戒名はつける義務も法律もありませんし、社会通念上の根拠もありません。

お寺がお布施をとるための口実です。

お釈迦様が、戒名をつけろとした事実は、どこを探しても出てきません。

位牌に書けないじゃないかって?

位牌という物自体が、中国の民間信仰から摂り入れたもので、本来の仏教にあったわけではないです。

これに対しては、寺側にも言い分はあります。

戒名は、出家した際に仏教の戒律を守ることへの決意や、亡くなった人の功徳を称えるために授与するのだと。

しかし、日本の仏教は戒律がきわめて甘く、そんなもん、あってないようなものだろうと思います。

あったら、メディアでの放言や飲酒、肉食を隠さない瀬戸内寂聴さんのような人の説明がつかないでしょう。

誰とはいいませんが、YouTubeでたくさんの視聴者を抱える曹洞宗の某住職は派手に商売をやってるじゃないですか。

お釈迦様の仏教だったら、それらは許されなかったはずです。

亡くなった人の功徳を称えるのなら、遺族が心のなかでもできるでしょう。

それが気が引けるのでしたら、最近では、葬儀の際に出前僧侶のサービスができて、1万円ぐらいで戒名を作ってくれるので、それを利用したらいいと思います。

実家が檀家になっている寺があるとかいって、そこに頼むと、何十万もかかることもありますよ。

一方、法名は、門徒が一般の門徒から一歩進んで仏弟子となった名告りとして「おかみそり」を受けたり、得度をしたりして、もしくは亡くなって与えられる名前です。

さきほど、門徒は「後援会員」と書きましたが、おかみそりを受けた門徒は「正会員」といったところかな。

門徒はあくまでも、一般人として寺を支えますが、おかみそりを受けた人は、浄土真宗への帰依を公然とさせる「在家信者」になるわけです。

「おかみそり」というのは、帰敬式とも呼ばれ、真宗門徒として新たな人生を歩み出すことを誓う儀式です。

つまり、法名というのは、生きているうちから与えられるのです。

戒名とのいちばんの違いがそこです。

「おかみそり」といっても、カミソリをあてるのは真似だけです。

浄土真宗は半僧半俗(非僧非俗)といって、お坊さん特有の剃髪はしないのです。←宗派によって得度のときのみ行う場合はある。

法号も、法名と同じ「仏弟子になる」という意味ですが、日蓮宗の表現です。

得度と受戒


得度というのは、僧侶になって寺に所属し、住職のお弟子になって修行するための「弟子入り」「入門」にあたる儀式です。

多くの宗派は、住職への弟子入りですから出家しますが、これも浄土真宗だけは半僧半俗(非僧非俗)のため在家で得度後も過ごします。

会社員が、ちょっとだけ休んで、わずかな修行と得度式に参加する、ということもあります。

髪もそらないので、同僚も、僧侶になったことは気づきません。

隠れ僧侶、結構いると思いますよ。

この後、出家僧侶は修行の日々を送りますが、落語家で言う真打ちにあたるのが「受戒」です。

この儀式があって、僧侶として一人前になるわけです。

こちらも、浄土真宗だけは在家修業なので、というより宗派によっては修業すらないので、理論上「受戒」の儀式はないと思いますが、これは真宗十派+単立(どの派にも属さない独立系)で微妙に違うので、私も全部は把握しておりません。

今は新規に檀家や門徒になるメリットはあるのでしょうか


ということで、みなさんは、どこかの宗派の檀家・もしくは真宗の門徒ですか。

今は核家族、その子弟がまた独立して家庭を作っている時代なので、地方の旧家でないと、お寺と長年付き合っている、というケースは少なくなっているかもしれませんね。

それでも、葬儀や法事が発生すると、お経をあげてもらいたいけれどお寺と付き合いがないからと言って、地域のお寺に頼む方が多いと思いますが、結構お金を取られますし、それが年忌法要の度に繰り返されると大変ですよね。

私個人は、前述のように、そういう場合でも、いちいち地域の寺に頼まず、その都度出前僧侶で十分じゃない?と思います。

ネットで探すと、いろいろ出てきますから。

何度か書いていますが、本来の仏教は霊魂を認めていませんし、亡くなった後の肉体に意味は持たないという立場です。

ですから、葬儀や法事は、本来の仏教では、亡くなった人のためではなく、遺された人々のために行うものです。

もちろん、遺された人の気持として、せめて華やかにお金をかけてと思うことは妨げませんが、まあ、私でしたら、自分や今の家族にそのお金は優先的に使います。

だってたぶん、亡くなった方は、それを望むと思いますよ。

みなさんは、いかが思われますか。

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南無

法名は院号を付けたので、50をお渡ししました。
相場は有ってないようなものです。お寺さんによって随分違います。
私の知るところ、5万~上は有りません。100万以上も結構あります。1説には頂くものによって違いが有る、という方もいますが真相はどうなのでしょうか。お寺さん、ご住職様のお考えによって違いが有りますから私には何とも言えません。
by 南無 (2023-05-28 01:28) 

赤面症

戒名の値段で、仏の地位が変わるってw
誰もアチラの世界なんか見たこともないのに。
by 赤面症 (2023-05-28 01:35) 

よしあき・ギャラリー

私は浄土真宗の檀家の家に生まれましたが、今は遠く離れて住んでいるため、これを維持するのには結構苦労しています。^^;
by よしあき・ギャラリー (2023-05-28 05:59) 

我流麺童

菩提寺で亡親の戒名をつけてもらいましたが、その時に相場を聞いたのですが、居士でも50万と高い金額でした。
by 我流麺童 (2023-05-28 06:32) 

十円木馬

うちの場合は、法名になりますが、全て「釋**」、位牌は置かず過去帳です。
毎朝仏壇で、「讃仏偈」か「重誓偈」を唱えるのが習慣になりましたが、お金はかけなくとも、日々唱えることで供養になっていると信じています。


by 十円木馬 (2023-05-28 08:09) 

青い森のヨッチン

葬式仏教で上等!と公然と言っているお坊さんもおられますね
田舎に住出居るのでお寺は一つのお寺しかなく葬儀も独占状況でしたが最近はこんな閉鎖的で保守的な田舎にも家族葬ホールも街中にできて今後は葬式仏教も安泰ではないようです。
いっぷくさんの解説は分かりやすくてためになります。

by 青い森のヨッチン (2023-05-28 10:16) 

いっぷく

今読み直したら、なんかお寺を否定しているような書き方になってますね。
すみません。
記事に書いたように、私も浄土真宗の門徒ですから、寺を否定しているわけではないんですよ。

出前僧侶とか、葬儀や墓の在り方もかわってきているのに、寺が旧態依然とした檀家制度から一歩も進まず、今や住職はロクな法話も出来ないようでは時代に取り残されるよ、ということを言いたかったのです。
何十万ももらうのなら、それにふさわしい価値と信頼を、「仏様の力」ではなく自分のパーソナリティーをもって、ふさわしい対価としてほしい、ということです。
by いっぷく (2023-05-28 10:44) 

pn

出前の坊さんいいっすね、まあ葬式はどうでもいいんだけどお骨ってそのまま家に置いといちゃダメなんでしたよね確か。墓を買わなきゃいけないシステム?
by pn (2023-05-28 13:13) 

風太郎

数年前に友人の父親が亡くなり、お坊さんが戒名に「院」をつけるので50万円と言われたが、
30万円しか持ち合わせがなかったので30万円渡したら20万円足りないと言われたそうです。
「くそ坊主!」と怒っていました。
by 風太郎 (2023-05-28 20:14) 

そらへい

浄土宗は約一週間ほど、寺に通い詰めて
五重相伝というのを受けます。
その時、生前戒名をもらいます。
もちろん、普通の勤め人は
なかなか一週間休めませんので
最近はずいぶん形骸化していると思います。
ま、あの手この手ですね。
by そらへい (2023-05-28 21:03) 

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