医療的ケア児支援法が成立、適切な支援は「努力」から「責務」に [障害者]
医療的ケア児支援法が、可決・成立しました。
全会一致というのが、すばらしいですね。
障碍・難病者の中でも、日常的に痰の吸引や人工呼吸器などが必要な、推計2万人以上いるといわれる医療的ケア児について、国や自治体が支援することを決めた法律です。
医療的ケア児というのは、障碍や難病で、たんを吸引したり、人工呼吸器を使って呼吸を行ったりなど、日常生活に医療的ケアを必要とする子どもです。
24時間体制のサポートが必要なので、両親が離職して介護しなければならない場合もあります。
医療的ケア児支援法は、子どもや家族が住んでいる地域にかかわらず、適切な支援を受けられることを基本理念に位置づけ、国や自治体に支援の責務があると明記し、必要な対応を求めています。
たとえば、医療的ケア児が学校に行きたいと言ったら、国や自治体がそれを助けることが法律で決まったということです。
今までは、医療的ケア児が「学校に行きたい」と言っても、学校や自治体から、「専従の看護師を置かなきゃなんないし、なんかあったら責任問題だから面倒なのはお断り」と、厄介者扱いされてしまうことがほとんどでした。
もうこれからは、それは許されなくなりました。
今までは、支援は「努力義務」でしたが、これからは法的根拠のある「責務」に「格上げ」されたのです。
法律は、障害や医療的ケアの有無にかかわらず、誰でも安心して子どもを産み、育てることができる社会を目指します。
これで、医療的ケアの必要なお子さんは、堂々と進学できます。
このブログでは、医療的ケア児が、本人や親御さんらの頑張りで、進学や入学にこぎつけた話を、何人かご紹介したことがあります。
中でも、私が一番印象に残っているのは、この方です。
先天性ミオパチーという筋肉の難病がある高橋祥太さん。
父親が貿易関係の仕事をされていて、将来は自分も外国と関わる仕事がしたいので大学に行きたいが、私立高校は「見た目」で門前払い。入学試験すら受けられなかった。
そこで、絶対合格して「先生たちを見返してやるぞ!」と思い、一生懸命勉強して都立高校に合格。
支援学校中等部のたくさんの先生方から、 「おめでとう」「この学校の大金星だ!」などと言われうれしかった、というスピーチが、2019年医療的ケア児のスピーチ大会のグランプリに輝きました。
ただ、『毎日新聞』では、今後への懸念も書かれています。
「支援法ができてもすぐに担い手不足が解消し家族の負担が減るわけではない。」「深刻なのは支援の地域間格差と親、特に母親の負担の大きさだ」と指摘しています。
つまり、現状では供給力が不足しているということです。
この解決は、担い手の育成と、手厚い報酬が不可欠です。
要するに、もっとお金が必要ということです。
本法律の施行に伴って、各自治体に地方交付税として医療的ケア児支援のための予算は配分されます。
それが十分な予算を持たないと、絵に描いた餅におわってしまいます。
政府は、オリンピックに医療従事者をかき集める意欲があるなら、成立した医療的ケア児支援法のために、積極財政を行えないとは言えないでしょう。
……と、書くと、障碍者なんかにに金をかけるな、無駄だと言う手合いが必ず出てくるんですよね。
無駄どころか、積極財政による雇用の創出が経済を活性化させますから、財務省の好きな「税収アップ」にも繋がります。
また、障碍・難病者のうち、意欲や能力があるのに「ハンデ」のために進学を諦めていた人が進学できることで、産業諸分野に有力な人材を育成し送り出すこともできます。
経済が活性化して人材の確保ができれば、企業は設備投資や新プロジェクトなど、金を借りて新しい取り組みを行い始めます。
その前提でこそ、「アベノミクス第一の矢」と称した金融政策がデフレの解消にいきてくるのです。
私も10年前の火災で、長男が身障者1級、要介護5、遷延性意識障害の診断を受けた時期があります。
退院後のことを考えて、病院の看護師団より、たん吸引の特訓も受けました。
その後、長男は回復して、人工呼吸もたん吸引も行わずに済みましたが、その経験から言うと、家族ができることは限りがありますので、医療、介護の力で助けてもらわなければならないことはよくわかります。
この法案が、障碍・難病者、その家族の負担軽減につながることを期待しています。
在宅医療が必要な子どものための図解ケアテキストQ&A: 家族といっしょに読める! - 梶原 厚子, 田村 正徳, 梶原 厚子
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全会一致というのが、すばらしいですね。
障碍・難病者の中でも、日常的に痰の吸引や人工呼吸器などが必要な、推計2万人以上いるといわれる医療的ケア児について、国や自治体が支援することを決めた法律です。
医療的ケア児支援法とはなんだ
医療的ケア児というのは、障碍や難病で、たんを吸引したり、人工呼吸器を使って呼吸を行ったりなど、日常生活に医療的ケアを必要とする子どもです。
24時間体制のサポートが必要なので、両親が離職して介護しなければならない場合もあります。
医療的ケア児支援法は、子どもや家族が住んでいる地域にかかわらず、適切な支援を受けられることを基本理念に位置づけ、国や自治体に支援の責務があると明記し、必要な対応を求めています。
たとえば、医療的ケア児が学校に行きたいと言ったら、国や自治体がそれを助けることが法律で決まったということです。
今までは、医療的ケア児が「学校に行きたい」と言っても、学校や自治体から、「専従の看護師を置かなきゃなんないし、なんかあったら責任問題だから面倒なのはお断り」と、厄介者扱いされてしまうことがほとんどでした。
もうこれからは、それは許されなくなりました。
今までは、支援は「努力義務」でしたが、これからは法的根拠のある「責務」に「格上げ」されたのです。
法律は、障害や医療的ケアの有無にかかわらず、誰でも安心して子どもを産み、育てることができる社会を目指します。
医療的ケア児支援法成立 人工呼吸器やたん吸引が必要な子ども支援 https://t.co/TotLLvmZik @YouTubeより
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) June 12, 2021
これで、医療的ケアの必要なお子さんは、堂々と進学できます。
酸素吸引をしていることで門前払いを食った
このブログでは、医療的ケア児が、本人や親御さんらの頑張りで、進学や入学にこぎつけた話を、何人かご紹介したことがあります。
中でも、私が一番印象に残っているのは、この方です。
国立成育医療研究センター“もみじの家”で開催された『医療的ケア児者の主張コンクール』というスピーチ大会。2019年グランプリに輝いた『僕の夢』は、先天性ミオパチーという筋肉の難病をもった支援学校中等部の生徒が公立高校合格という『大金星』にたどり着く内容です。https://t.co/epO2XEFc2b pic.twitter.com/lLp0MqwcbW
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) June 12, 2021
先天性ミオパチーという筋肉の難病がある高橋祥太さん。
父親が貿易関係の仕事をされていて、将来は自分も外国と関わる仕事がしたいので大学に行きたいが、私立高校は「見た目」で門前払い。入学試験すら受けられなかった。
そこで、絶対合格して「先生たちを見返してやるぞ!」と思い、一生懸命勉強して都立高校に合格。
支援学校中等部のたくさんの先生方から、 「おめでとう」「この学校の大金星だ!」などと言われうれしかった、というスピーチが、2019年医療的ケア児のスピーチ大会のグランプリに輝きました。
障碍・難病者とその家族の負担を軽減できるよう期待
ただ、『毎日新聞』では、今後への懸念も書かれています。
「支援法ができてもすぐに担い手不足が解消し家族の負担が減るわけではない。」「深刻なのは支援の地域間格差と親、特に母親の負担の大きさだ」と指摘しています。
記者の目:医療的ケア児支援法案成立へ 介護の担い手不足解消を=賀川智子(東京地方部) | 毎日新聞 https://t.co/unBVNIC5lK
— 石川良直 (@I_yoshinao) June 11, 2021
つまり、現状では供給力が不足しているということです。
この解決は、担い手の育成と、手厚い報酬が不可欠です。
要するに、もっとお金が必要ということです。
本法律の施行に伴って、各自治体に地方交付税として医療的ケア児支援のための予算は配分されます。
それが十分な予算を持たないと、絵に描いた餅におわってしまいます。
政府は、オリンピックに医療従事者をかき集める意欲があるなら、成立した医療的ケア児支援法のために、積極財政を行えないとは言えないでしょう。
……と、書くと、障碍者なんかにに金をかけるな、無駄だと言う手合いが必ず出てくるんですよね。
無駄どころか、積極財政による雇用の創出が経済を活性化させますから、財務省の好きな「税収アップ」にも繋がります。
また、障碍・難病者のうち、意欲や能力があるのに「ハンデ」のために進学を諦めていた人が進学できることで、産業諸分野に有力な人材を育成し送り出すこともできます。
経済が活性化して人材の確保ができれば、企業は設備投資や新プロジェクトなど、金を借りて新しい取り組みを行い始めます。
その前提でこそ、「アベノミクス第一の矢」と称した金融政策がデフレの解消にいきてくるのです。
私も10年前の火災で、長男が身障者1級、要介護5、遷延性意識障害の診断を受けた時期があります。
退院後のことを考えて、病院の看護師団より、たん吸引の特訓も受けました。
その後、長男は回復して、人工呼吸もたん吸引も行わずに済みましたが、その経験から言うと、家族ができることは限りがありますので、医療、介護の力で助けてもらわなければならないことはよくわかります。
この法案が、障碍・難病者、その家族の負担軽減につながることを期待しています。
在宅医療が必要な子どものための図解ケアテキストQ&A: 家族といっしょに読める! - 梶原 厚子, 田村 正徳, 梶原 厚子
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「医療的ケア児支援法」、該当者や関係者の軽減とともに一般への周知徹底にも期待したいですね。
by ナベちはる (2021-06-13 01:28)
「どんな子も見捨てない」法案と言われてきましたが、これまでは医療的ケアが必要な子どもがいたら、親が仕事をやめて付き添わなくてはならなかった。
だから、正確には、「どんな子も親も見捨てない」法案だと思います。
本当によかった。
考えさせられます。
by skeptics (2021-06-13 02:04)
おはようございます。
良い法案が成立してよかったです。
まだ人手不足とか課題があるかもですが、今後も政府、地方も支援が広がっていってくれれるといいですね。
by SGD楓 (2021-06-13 05:52)
ご心配ありがとうございます
もうすっかり体調が元に戻りましたので、これからぼちぼちネタを探して更新いします(^o^)
by KINYAN (2021-06-13 07:49)
現状がよく分かっていませんが親への経済支援も充実されるのかな?
by pn (2021-06-13 08:34)
医療的ケア児支援法成立、すばらしいと思います。どの子も希望する教育が受けられるために、急いで人的支援、環境整備のための十分な予算化を希望します。
by ハマコウ (2021-06-13 09:43)
コロナの話題ばかりで、このような大切なことを見逃していました。
by ヨッシーパパ (2021-06-13 20:14)
素晴らしいスピーチですね✨
この法案は障害を持った子供達には希望の光になるはずです。つまらないところにお金をかけないでこのような方々への支援をどんどんして欲しいものです。
by エンジェル (2021-06-13 22:31)
積極的支出は待ったなしですな。
by おっつぁん (2021-06-13 23:37)