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橋田壽賀子さん訃報、「昭和」がまたひとつ消えた [懐かし映画・ドラマ]

橋田壽賀子さんの訃報でもちきりですが、「昭和」がまたひとつ消えた思いで残念ですね。

映画⇒テレビドラマと活躍されました。

もう作品の数は数え切れませんが、マスコミは、『おしん』と『渡る世間は鬼ばかり』を代表作として紹介していますね。

私個人は、後にも書くように『渡る世間は鬼ばかり』自体は、設定もストーリーもあまり好きではないのですが、『となりの芝生』『ああ家族』も含めた、嫁姑3部作は、橋田壽賀子さんらしい作品だと思います。



これが訃報のOGPです。


作品ではないのですが、印象に残るのは、『春よ、来い』安田成美降板騒動と、『渡鬼』の山岡久乃さん降板騒動です。

『春よ、来い』騒動の真相


『春よ、来い』(1994年10月3日~1995年9月30日)は、橋田壽賀子さんの自伝をドラマ化したNHK連続テレビ小説です。

ソウルにおいて軍需産業で儲けた父親(高橋英樹)を描いた脚本だったため、日韓併合時代を否定する在日朝鮮人の安田家が脚本を許せなくて降板したと当時噂され、それをべらべらワイドショーでコメントした評論家の塩田丸男さんは、以後テレビから消えてしまいました。

高堀冬彦さんが、26年ぶりに真相を書いています。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78992

それによると、歴史観に関わるストーリーへの不満ではなく、日常の小さなエピソードを大切に人情の機微を描くゆっくりとした進行で、かつセリフの修正を許さない橋田壽賀子さんの脚本になじめなかったそうです。

そして、安田成美が降板を申し入れ、同様の理由でベテラン女優が降板。

橋田ファミリーの中田喜子に交代しています。

他人を批判しない高橋英樹さんが、安田成美さんの降板に批判的だったので、どうしたのだろうと当時思いましたが、高橋英樹さんの信条は「役者は転がされる存在」。

つまり、橋田壽賀子という人にどう料理されるかを楽しめるようでなければならない、という意図だったのだろうと思います。

橋田壽賀子さんは当時、「飼い犬に手を噛まれた」というようなコメントを出して物議を醸しましたが、以後はその件にノーコメントを貫きました。

『渡鬼』の山岡久乃さん降板騒動


もうひとつは、山岡久乃さんの降板騒動。

山岡久乃さんがドラマを突然降板したことで、「山岡さんは私のことがよっぽどお嫌いなんでしょうね」などと不用意な発言を行ったことで、ファミリーの内紛のようにマスコミは騒ぎましたが、実は山岡さんは胆管癌であることを公表。

自責の念にかられた橋田壽賀子さんは、神社にお百度参りをしたという話は、よく出てきますね。



『春よ、来い』のときもそうですが、たぶん、自分の脚本を演じる役者に対しては、ものすごく期待をかけている反動で、降板されると裏切られたような気持ちになってしまう人なのかもしれません。


橋田壽賀子さんは、すでに生前から、友だちもいない、葬儀もお別れ会もしないと宣言していましたが、人に期待しすぎると自分が傷つく、という気持ちがあったのかなともいます。

その気持はよくわかるので、マスコミがいくら橋田壽賀子さんの悪口を書いても、私は決して悪い人には思えませんでした。


渡る世間は鬼ばかり


Wikiには晩年の代表作のように書かれておりますし、遺作なので、『渡る世間は鬼ばかり』(1990年10月11日~2011年9月29日、TBS)は、ご紹介しないわけにはいかないでしょう。

このことは何度か書いてますが、一介のサラリーマン(藤岡琢也)が、岡倉家を継ぐだの継がないだのという話が旧弊な上にこっけいで、定年になってから料理人になるというのも職人仕事をナメている気がして、私個人は、このドラマはあまり好みの設定やストーリーではありませんでした。

ただ、以前、映画レビューブロガーが「きれいなことを書く平岩弓枝と、ドロドロしたものを書く橋田壽賀子ごときなど脚本家としては比較にすらならない」などというコメントをされていたので、ここで回答しておくと、私はそういう意味では、橋田壽賀子作品を否定するつもりはまったくありません。

考えても見て下さい。

きれいごとなら、誰からも批判されず気持ちよく書けます。

しかし、倫理的でないこと、残酷なこと、くだらない事などについて、人間がそれをせずにおれないことを、世間の評判や自らの良心とたたかってでも、書ききれるかどうかこそが、作家の大切な資質ではないでしょうか。



明るく伸びゆく高度経済成長時代に、水前寺清子が星の王子さまの石坂浩二と結婚する綺麗事だけを書いていればよかった『ありがとう』の時代と、緊縮財政の格差社会で「失われた○年」といわれた平成時代、「墓じまい」だの「両親の介護」だのという暗い現実を反映した『渡鬼』では、そりゃ、後者の方がドロドロ重くなるに決まってるじゃないですかーっ!

30年以上にわたり、嫁姑だの継母だののイビリを書き続けるというのは、並大抵の精神力ではないとおもいます。橋田さんはすごい方だと思いますよ。

人間の真実とは、「きれいなもの」も「ドロドロしたもの」も存在するから成立しているのです。



老後の一つ話にしよう


これも何度かご紹介していますが、1987年に放送された、渡鬼のプロトタイプであった『ああ家族』(1987年1月5日~2月27日、TBS)というドラマは、石井ふく子P、橋田壽賀子脚本でした。

当時、私は小さな劇団に所属していて、緑山スタジオで撮影するTBSドラマによく呼ばれたのですが、同作第1回に、鑑識の役で2シーン出ています。(左から大空真弓さん、山口崇さん、私、ベンガルさん)

ああ家族

これだけでは、橋田ファミリーは名乗れないか。

でもまあ、老後の一つ話になります。

生前のご遺徳お偲び申し上げます。

人生ムダなことはひとつもなかった~私の履歴書 - 橋田 壽賀子
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コメント 11

tai-yama

「春よ、来い」は(残念ながら)今の時代ではできないドラマ
ですね。渡る世間は鬼ばかりはあの内容で20年続いて
いたのが凄いなと思ったり。

by tai-yama (2021-04-05 23:32) 

ナベちはる

先日の田中邦衛さん然り今回の橋田壽賀子さん然り…どんどんと「昭和」が消えていきますね…
by ナベちはる (2021-04-06 00:54) 

pn

役者は転がされる存在かぁ、なんにでもなれるもんね役者は。とは言え少しは台詞修正許して欲しいかも(笑)。
江頭も何かコメント出すんだろうか・・・
by pn (2021-04-06 06:21) 

kousaku

テレビはあまり見ないのでましてドラマは全く見ないですから作品はわかりませんがお名前だけは知っておりますがお亡くなりになったそうですねご冥福お祈りします。
今田のおしんは海外では人気のようですね。
by kousaku (2021-04-06 07:45) 

Rinko

まさに「昭和」がまたひとつ消えましたね。
90歳過ぎてもお元気でいらしたのに、残念です。
ご冥福をお祈りいたします。
by Rinko (2021-04-06 07:59) 

旅爺さん

橋田壽賀子さんの『渡る世間は鬼ばかり』はテレビで大部
賑わしてましたね。ご冥福をお祈り致します。
by 旅爺さん (2021-04-06 09:26) 

mio

橋田寿賀子さんの作品で一番好きなのは
「おんな太閤記」です。脚本家という存
在すら理解していなかった子供の頃、
「あれ?ありがとうに出てくる人ばっか
りだ!」と不思議に思ったんですよね(笑)
渡鬼では相続とか嫁姑とかいろいろとお
勉強させていただきました。父が祖母よ
りも先に他界した時、「嫁には相続権が
ないからおばあちゃんが死んだら家から
追い出されるかもしれない。早く養女に
なっておいた方がいいよ」って母を祖母
の養女にしました。
by mio (2021-04-06 09:50) 

なかちゃん

これだけ長い間人気の脚本家なのだから、きっと素晴らしい方だったんだろうなと思います。
というのも、せっかく機会があったと思うのに、どれも観た記憶がないんです。
ですから、残念ながら『だろうな』です。

by なかちゃん (2021-04-06 14:56) 

エンジェル

私も渡鬼はドロドロした内容であまり好きではなかったのですが、なぜか見てしまいました(苦笑)いつも「こんな設定有りえない」などとツッコミを入れながら見てました(笑)
by エンジェル (2021-04-06 17:39) 

ぴーすけ君

「渡鬼」は、もう続きが見られないのね
今どきのことをモリモリ入れファミリードラマ。

by ぴーすけ君 (2021-04-06 17:43) 

JUNKO

天寿を全うされましたね。お見事な人生でした。あやかりたいものです。
by JUNKO (2021-04-06 22:30) 

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